大河ドラマ『青天を衝け』第10回「栄一、志士になる」

 喜作が江戸に留学することを知って焦った栄一は、自分も江戸に行きたい、と父に頼み込み、1ヶ月だけではあるものの許可されます。開国し、物価高騰など世情が騒然とするなか、一定以上の知識層の中に栄一のような直情的な行動を起こす者もおり、そうした雰囲気がよく描かれているように思います。栄一は江戸で喜作や長七郎と再会し、長七郎の師である大橋訥庵やその弟子たちと出会い、攘夷思想に感化され、草莽の志士としての自覚を強めていき、約束の1ヶ月を過ぎてやっと血洗島に戻りました。ここは、歴史ドラマと青春群像劇が融合してなかなか楽しめました。

 今回は栄一の江戸行きおよび千代との関係が中心で、徳川慶喜視点の「中央政界」の話は短めでした。ただ今回は、まだ慶喜が本格的に表舞台に復帰する前なので、和宮降嫁と、徳川家茂と天璋院との会話が中心でした。和宮降嫁に憤激した人々は当時少なくなかったようで、長七郎は大橋訥庵やその弟子たちに、和宮降嫁を進めた安藤信正を斬るよう、要請されます。武士になりたがる長七郎は、この殺害計画に入れ込みますが、兄の惇忠だけではなく栄一も、根本から変えねばならない、と反対します。けっきょく、長七郎は兄と栄一の説得を受け入れて坂下門外の変には加わりませんでした。今回も栄一を幕末情勢に位置づけたなかなか丁寧な描写になっており、楽しめました。

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