生体鉱物から構成される被甲を持つ昆虫
生体鉱物から構成される被甲を持つ昆虫に関する研究(Li et al., 2020)が報道されました。生体鉱物から構成される骨格は、5億5000万年以上前に出現しました。この種の被甲は、ロブスターなど甲殻類や他の海洋動物で観察されていますが、昆虫では見つかっていませんでした。この研究は、パナマハキリアリ(Acromyrmex echinatior)の働きアリの外骨格が、マグネシウムを多量に含む方解石でできた被甲で覆われている、と報告しています。この研究では、パナマハキリアリが成熟するにつれて、その被甲が発達し、外骨格の硬度が増してほぼ全身を覆うようになる、と明らかになりました。
この研究は、生体鉱物化した外骨格を持つ働きアリは、そのような外骨格を持たない働きアリと比較して、ハキリアリ(Atta cephalotes)の兵隊アリと遭遇した時に生き延びる確率が高く、また、この被甲が昆虫病原菌(Metarhizium anisopliae)への感染を防御する上で役立っていると、いう観察結果を示しています。この研究は、生体鉱物から構成される被甲が比較的よく研究されている昆虫種で発見されたことは、こうした被甲がこれまで考えられていたよりも広範に見られる可能性を示唆している、と指摘します。この発見は、被甲の進化を解明する上で重要な意味を持つ可能性があります。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
動物学:生体鉱物からなる被甲を持つ昆虫が初めて発見された
生物自体が作り出す鉱物(生体鉱物)からなる被甲を持つ海洋生物は数多く見つかっているが、このほど、そうした昆虫種の初めての実例となるパナマハキリアリ(Acromyrmex echinatior)が見つかったことを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。この発見は、被甲の進化を解明する上で重要な意味を持つ可能性があり、自然界における生体鉱物の使用についての我々の知識を広げる。
生体鉱物からなる骨格は、5億5000万年以上前に出現した。この種の被甲は、ロブスターなど甲殻類や他の海洋動物で観察されているが、昆虫には見つかっていなかった。
Cameron Currieたちの研究チームは、パナマハキリアリの働きアリの外骨格が、マグネシウムを多量に含む方解石でできた被甲で覆われていることを発見したと報告している。今回の研究では、パナマハキリアリが成熟するにつれて被甲が発達して、外骨格の硬度が増し、ほぼ全身を覆うようになることが明らかになった。Currieたちは、生体鉱物化した外骨格を持つ働きアリは、そのような外骨格を持たない働きアリに比べて、ハキリアリ(Atta cephalotes)の兵隊アリと遭遇した時に生き延びる確率が高く、また、この被甲が昆虫病原菌Metarhizium anisopliaeへの感染を防御する上で役立っているという観察結果を示している。
Currieたちは、生体鉱物からなる被甲が比較的よく研究されている昆虫種で発見されたことは、こうした被甲がこれまで考えられていたよりも広範に見られる可能性を示唆していると結論付けている。
参考文献:
Li H. et al.(2020): Biomineral armor in leaf-cutter ants. Nature Communications, 11, 5792.
https://doi.org/10.1038/s41467-020-19566-3
この研究は、生体鉱物化した外骨格を持つ働きアリは、そのような外骨格を持たない働きアリと比較して、ハキリアリ(Atta cephalotes)の兵隊アリと遭遇した時に生き延びる確率が高く、また、この被甲が昆虫病原菌(Metarhizium anisopliae)への感染を防御する上で役立っていると、いう観察結果を示しています。この研究は、生体鉱物から構成される被甲が比較的よく研究されている昆虫種で発見されたことは、こうした被甲がこれまで考えられていたよりも広範に見られる可能性を示唆している、と指摘します。この発見は、被甲の進化を解明する上で重要な意味を持つ可能性があります。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
動物学:生体鉱物からなる被甲を持つ昆虫が初めて発見された
生物自体が作り出す鉱物(生体鉱物)からなる被甲を持つ海洋生物は数多く見つかっているが、このほど、そうした昆虫種の初めての実例となるパナマハキリアリ(Acromyrmex echinatior)が見つかったことを報告する論文が、Nature Communications に掲載される。この発見は、被甲の進化を解明する上で重要な意味を持つ可能性があり、自然界における生体鉱物の使用についての我々の知識を広げる。
生体鉱物からなる骨格は、5億5000万年以上前に出現した。この種の被甲は、ロブスターなど甲殻類や他の海洋動物で観察されているが、昆虫には見つかっていなかった。
Cameron Currieたちの研究チームは、パナマハキリアリの働きアリの外骨格が、マグネシウムを多量に含む方解石でできた被甲で覆われていることを発見したと報告している。今回の研究では、パナマハキリアリが成熟するにつれて被甲が発達して、外骨格の硬度が増し、ほぼ全身を覆うようになることが明らかになった。Currieたちは、生体鉱物化した外骨格を持つ働きアリは、そのような外骨格を持たない働きアリに比べて、ハキリアリ(Atta cephalotes)の兵隊アリと遭遇した時に生き延びる確率が高く、また、この被甲が昆虫病原菌Metarhizium anisopliaeへの感染を防御する上で役立っているという観察結果を示している。
Currieたちは、生体鉱物からなる被甲が比較的よく研究されている昆虫種で発見されたことは、こうした被甲がこれまで考えられていたよりも広範に見られる可能性を示唆していると結論付けている。
参考文献:
Li H. et al.(2020): Biomineral armor in leaf-cutter ants. Nature Communications, 11, 5792.
https://doi.org/10.1038/s41467-020-19566-3
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