『卑弥呼』第51話「急襲」
『ビッグコミックオリジナル』2020年12月5日号掲載分の感想です。前回は、穂波(ホミ)の国の重臣であるトモが、日下(ヒノモト)の国と結んで山社(ヤマト)を攻めようとするならば、トモを殺す、とトメ将軍が誓うところで終了しました。今回は、荒爪山(アラツメヤマ)の夜萬加(ヤマカ)で、ヒルメが2人の男性のために、田畑が狼や野犬に荒らされないよう、祈っている場面から始まります。礼を言う男性2人が、砂金での支払いはできないと言うと、2人が裕福ではないと知っているヒルメは、構わない、と言います。すると、せめてものお礼をしたい、という2人は、粟と稗と兎の燻製肉を献上します。肉は神に仕える身なので犬に与えるが、粟と稗はありがたい、とヒルメは喜びます。2人が退出した後、ヒルメはすぐに兎の燻製肉を食べ、こんな美味いものを初めて食べた、暈(クマ)の国にある「日の巫女」集団の学舎である種智院(シュチイン)から追放されても、少しはよいことがあるものだ、と呟きます。そこへアオという犬(狼かもしれませんが)が入ってきて、山杜(ヤマト)にいるナツハからの頼りを渡します。木簡のようなものには阿比留(アビル)文字で、日見子(ヒミコ)と称するヤノハが山社の国の閼宗(アソ)にいる、とありました。
閼宗では、トメ将軍が、ヤノハから至急閼宗に来るよう命じられたミマアキの到来を待っていました。ミマアキはヤノハに呼ばれ、トメ将軍とともに豊秋津島(トヨアキツシマ、本州を指すと思われます)に行き、日下(ヒノモト)を探るよう命じます。倭を平らかにするには日下の動静を知る必要があり、昼の王になるべき逸材であるミマアキに探ってもらいいた、というわけです。気が進まないミマアキは、食事などヤノハの世話を誰がするのか、と食い下がりますが、もう決めたことだ、とヤノハはミマアキに改めて命じます。その頃、夜萬加のシカオ、五百木(イオキ)のミミヒコ、多禰(タネ)のハヤトといった男たちが閼宗(阿蘇)の近くと思われる場所に集まっていました。首領格らしき男性は褒美の砂金を渡し、明日の朝、那(ナ)の国の使者(トメ将軍)が発った後に決行する、と男たちに言い渡します。
翌朝、気が進まないミマアキを、ヤノハはミマト将軍・イクメとともに見送ります。弟のミマアキがこの旅で立ち直ることを願うイクメですが、父であるミマト将軍は、ミマアキはヤノハから嫌われたと勘違いしているだろう、と指摘します。ヤノハは、ミマアキならいずれ自分の真意を分かってくれるはずだ、と確信していました。そこへ、前後から10人ずつの男性が襲ってきます。山社国内ということでミマト将軍も油断しており、ミマト将軍も含めて兵は7人しかいない状況です。ヤノハは襲撃してきた男性の黥を見て、前方から襲ってきたのは五百木の兵、後方から襲ってきたのは多禰の兵だと悟ります。ヤノハの故郷の邑は多くの賊に襲われていたので、その黥で出身地が分かるようになった、というわけです。五百木は伊予之二名島(イヨノフタナノシマ、四国と思われます)、多禰は南の島(種子島でしょうか)と離れた者同士なのに、と不審に思うイクメに、足軽なので何者かに雇われた寄せ集めだろう、とミマト将軍は答えます。オオヒコから、2人が殺されたと報告を受けたミマト将軍は、襲撃者たちを館に引き込む間にヤノハを外へ連れ出すよう、命じます。しかし、ヤノハはそれを思いとどまらせます。外では、多数の犬と狼が襲撃者たちに噛みつき、あっという間に全滅させました。そこへナツハが現れ、ヤノハに笑顔を見せます。ヤノハは涙を浮かべるナツハに礼を述べ、ミマアキの代わりにナツハに警固と食事の世話を頼みたい、と言います。俯いたナツハが不敵な笑みを浮かべるところで、今回は終了です。
今回は、ヒルメの策略が描かれました。ヒルメは、ヤノハがナツハを信頼するよう、暈とは離れた地域の兵を雇ってヤノハを襲撃させ、それをナツハに防がせたのでしょう。ヒルメがヤノハへの復讐のため、ナツハにどのような指示を出したのか、まだ明かされておらず、狡猾なヒルメがどのような策を講じているのか、気になります。ヤノハはナツハが弟のチカラオかもしれないと考えているようですが、どのような意図・感情でナツハに自分の世話を命じたのか、気になるところです。『三国志』には、卑弥呼(日見子)の部屋に出入りして給仕の世話をしていたというただ一人の男性と、政治を補佐した「男弟」の存在が記されており、前者がミマアキ、後者がチカラオ(ナツハ)だと予想していたのですが、最近の展開から推測すると、この役割は逆になるかもしれません。ただ、ナツハはヒルメを母のように慕い、ヒルメによるヤノハへの復讐を実行しようとしていますから、今後ナツハがヤノハに屈して真の忠誠を誓う展開も、ナツハが弟のチカラオかもしれないと考えつつ、ヤノハがナツハを返り討ちにして殺すか追放する展開も考えられます。今回、急な襲撃に対するナツハの対応は不自然でしたから、ヤノハはナツハを信用しているのではなく、自分への敵意を知りつつ、それを利用するつもりなのかもしれません。ヤノハとナツハとの関係がどう描かれるのか、楽しみです。また、日下がどのような国なのか、トメ将軍とミマアキが山社にとって潜在的な敵国と思われる日下でどのように危機的状況に対処するのか、という点も注目されます。
閼宗では、トメ将軍が、ヤノハから至急閼宗に来るよう命じられたミマアキの到来を待っていました。ミマアキはヤノハに呼ばれ、トメ将軍とともに豊秋津島(トヨアキツシマ、本州を指すと思われます)に行き、日下(ヒノモト)を探るよう命じます。倭を平らかにするには日下の動静を知る必要があり、昼の王になるべき逸材であるミマアキに探ってもらいいた、というわけです。気が進まないミマアキは、食事などヤノハの世話を誰がするのか、と食い下がりますが、もう決めたことだ、とヤノハはミマアキに改めて命じます。その頃、夜萬加のシカオ、五百木(イオキ)のミミヒコ、多禰(タネ)のハヤトといった男たちが閼宗(阿蘇)の近くと思われる場所に集まっていました。首領格らしき男性は褒美の砂金を渡し、明日の朝、那(ナ)の国の使者(トメ将軍)が発った後に決行する、と男たちに言い渡します。
翌朝、気が進まないミマアキを、ヤノハはミマト将軍・イクメとともに見送ります。弟のミマアキがこの旅で立ち直ることを願うイクメですが、父であるミマト将軍は、ミマアキはヤノハから嫌われたと勘違いしているだろう、と指摘します。ヤノハは、ミマアキならいずれ自分の真意を分かってくれるはずだ、と確信していました。そこへ、前後から10人ずつの男性が襲ってきます。山社国内ということでミマト将軍も油断しており、ミマト将軍も含めて兵は7人しかいない状況です。ヤノハは襲撃してきた男性の黥を見て、前方から襲ってきたのは五百木の兵、後方から襲ってきたのは多禰の兵だと悟ります。ヤノハの故郷の邑は多くの賊に襲われていたので、その黥で出身地が分かるようになった、というわけです。五百木は伊予之二名島(イヨノフタナノシマ、四国と思われます)、多禰は南の島(種子島でしょうか)と離れた者同士なのに、と不審に思うイクメに、足軽なので何者かに雇われた寄せ集めだろう、とミマト将軍は答えます。オオヒコから、2人が殺されたと報告を受けたミマト将軍は、襲撃者たちを館に引き込む間にヤノハを外へ連れ出すよう、命じます。しかし、ヤノハはそれを思いとどまらせます。外では、多数の犬と狼が襲撃者たちに噛みつき、あっという間に全滅させました。そこへナツハが現れ、ヤノハに笑顔を見せます。ヤノハは涙を浮かべるナツハに礼を述べ、ミマアキの代わりにナツハに警固と食事の世話を頼みたい、と言います。俯いたナツハが不敵な笑みを浮かべるところで、今回は終了です。
今回は、ヒルメの策略が描かれました。ヒルメは、ヤノハがナツハを信頼するよう、暈とは離れた地域の兵を雇ってヤノハを襲撃させ、それをナツハに防がせたのでしょう。ヒルメがヤノハへの復讐のため、ナツハにどのような指示を出したのか、まだ明かされておらず、狡猾なヒルメがどのような策を講じているのか、気になります。ヤノハはナツハが弟のチカラオかもしれないと考えているようですが、どのような意図・感情でナツハに自分の世話を命じたのか、気になるところです。『三国志』には、卑弥呼(日見子)の部屋に出入りして給仕の世話をしていたというただ一人の男性と、政治を補佐した「男弟」の存在が記されており、前者がミマアキ、後者がチカラオ(ナツハ)だと予想していたのですが、最近の展開から推測すると、この役割は逆になるかもしれません。ただ、ナツハはヒルメを母のように慕い、ヒルメによるヤノハへの復讐を実行しようとしていますから、今後ナツハがヤノハに屈して真の忠誠を誓う展開も、ナツハが弟のチカラオかもしれないと考えつつ、ヤノハがナツハを返り討ちにして殺すか追放する展開も考えられます。今回、急な襲撃に対するナツハの対応は不自然でしたから、ヤノハはナツハを信用しているのではなく、自分への敵意を知りつつ、それを利用するつもりなのかもしれません。ヤノハとナツハとの関係がどう描かれるのか、楽しみです。また、日下がどのような国なのか、トメ将軍とミマアキが山社にとって潜在的な敵国と思われる日下でどのように危機的状況に対処するのか、という点も注目されます。
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