翼竜類の食性

 翼竜類の食性に関する研究(Bestwick et al., 2020)が公表されました。食物を噛んだ時、食物に歯型が残るのと同様に歯にも跡が残ります。歯に残る跡は、食物によって異なるため、こうした跡を用いて、さまざまな動物の食生活を推測できます。この研究は、17属のさまざまな翼竜の歯の化石に残されたマイクロメートル以下の跡のパターンを分析しました。飛行捕食者だったこれらの翼竜は、2億1000万年~6600万年前頃の中生代に生息していましたが、その食性についてはあまり知られていません。

 この研究では、多彩な情報が得られました。たとえば、ディモルフォドンはさまざまな脊椎動物を餌とし、ランフォリンクスは魚類を食べ、アウストリアダクティルスは甲虫や甲殻類などの「硬い」無脊椎動物を食べていました。獲物の範囲が非常に限定された翼竜がいた一方で、広食性捕食者の翼竜もいました。翼竜類の祖先種は無脊椎動物を食べていましたが、その後、魚や肉を食べるように進化した、と推測されます。この研究は、こうした変遷が中生代末期にかけて多様化した鳥類との競争により引き起こされた可能性を指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


翼竜類の歯から分かった食物の好み

 翼竜類の歯に残された跡の研究から、翼竜類が進化の過程で、多種多様な食物を摂取するようになったことを明らかにした論文が、今週、Nature Communications に掲載される。今回の研究は、翼を持つ爬虫類である翼竜類の進化と、翼竜類がさまざまな生態系で果たした役割について解明を進める上で役立つ。

 食物を噛んだ時、食物に歯型が残るのと同様に歯にも跡が残る。歯に残る跡は、食物によって異なるため、こうした跡を用いて、さまざまな動物の食生活を推測できる。今回、Jordan Bestwickたちの研究チームは、17属のさまざまな翼竜の歯の化石に残されたマイクロメートル以下の跡のパターンを分析した。飛行捕食者だったこれらの翼竜は、2億1000万年~6600万年前の中生代に生息していたが、その食餌について知られていることは比較的少ない。

 今回の研究では、多彩な情報が得られた。例えば、ディモルフォドンはさまざまな脊椎動物を餌とし、ランフォリンクスは魚類を食べ、アウストリアダクティルスは甲虫や甲殻類などの「硬い」無脊椎動物を食べていた。獲物の範囲が非常に限定された翼竜がいた一方、広食性捕食者の翼竜もいた。翼竜類の祖先種は、無脊椎動物を食べていたが、その後、魚や肉を食べるように進化したとされた。Bestwickたちは、こうした変遷が、中生代末期にかけて多様化した鳥類との競争によって引き起こされた可能性があると考えている。



参考文献:
Bestwick J. et al.(2020): Dietary diversity and evolution of the earliest flying vertebrates revealed by dental microwear texture analysis. Nature Communications, 11, 5293.
https://doi.org/10.1038/s41467-020-19022-2

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