ベーリンジアにおけるマンモスの絶滅

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、マンモスの絶滅に関する研究(MacDonald et al., 2012)が公表されました。この研究は、地域別の放射性炭素測定年代データベースを用いて、現在のアラスカからシベリア東部にまたがる地域で、マンモスの最後の生息地となったベーリンジア(ベーリング陸橋)における絶滅パターンを調べました。その結果、45000~30000年前頃には、マンモスがベーリンジアの広大な大地に大量生息していた、と明らかになりました。

 大陸部のマンモスは、最後には北部に集中して生息していましたが、気候が温暖化し、泥炭地・湿潤ツンドラ・針葉樹林が発生した1万年前頃に消滅しました。最後まで島部に生息していた集団は、4000年前頃に絶滅しました。この研究はベーリンジアにおけるマンモスの絶滅に関して、複数の原因だった可能性がひじょうに高く、気候・生息地の変化とヒトの存在による長期的減少の結果だった、と結論づけています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【古生物学】マンモス絶滅の軌跡

 放射性炭素年代測定によってマンモス絶滅の時空間的パターンを調べる研究が行われた。その結果、45,000〜30,000年前にベーリンジアに大量に生息していたマンモスが、気候の変化、生息地の変化とヒトの存在による長期的な個体数減少を経て、最後まで島部に生息していた個体群が約4,000年前に絶滅したことが明らかになった。この結果を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。

 今回、G MacDonaldたちは、地域別の放射性炭素測定年代データベースを用いて、ベーリンジア(現在のアラスカからシベリア東部にまたがる地域でマンモスの最後の生息地となった)における絶滅パターンを調べた。その結果、45,000〜30,000年前の最終氷期に、マンモスがベーリンジアの広大な大地に大量生息していたことがわかった。大陸のマンモスは、最後には北部に集中して生息していたが、気候が温暖化し、泥炭地、湿潤ツンドラと針葉樹林が発生した約10,000年前に消滅した。そして、最後まで島部に生息していた集団は、約4,000年前に絶滅したこともわかった。MacDonaldたちは、マンモス絶滅が、複数の原因によっている可能性が非常に高く、気候、生息地の変化とヒトの存在による長期的減少の結果だったと結論づけている。



参考文献:
MacDonald GM. et al.(2012): Pattern of extinction of the woolly mammoth in Beringia. Nature Communications, 3, 893.
https://doi.org/10.1038/ncomms1881

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