絶滅しにくい革新性のある鳥類

 革新性のある鳥類が絶滅しにくいことを報告した研究(Ducatez et al., 2020)が公表されました。革新を行なう能力は種を絶滅リスクに強くする、と長年考えられてきましたが、それを全球レベルで徹底的に検証することは困難でした。この研究は、世界の多くの地域から集めた8600種以上の鳥類のデータセットを解析しました。このデータセットには、種の食餌への新たな食物資源の取り込みや、新規の採餌法を記録した3800件以上の新規行動の情報が含まれます。

 新しい行動の一例として、ニュージーランドの鵜は、魚の捕り方を民間フェリーの動きに合わせることにより強い水流を利用する、と観察されています。この研究は、そうした行動データを種ごとの絶滅リスクの情報と照合しました。そのモデリングにより、革新的な行動を示す種は絶滅リスクが低く、絶滅リスクはそうした行動が増えるほどさらに低くなる、と明らかになりました。また、行動の可塑性は生息地の変化による鳥類の絶滅リスクを低下させるだけで、侵略種や乱獲に対する感受性には影響がないことも分かりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化学:革新性を有する鳥類は絶滅しにくい

 新しい状況に対処するために行動を変化させる鳥類種は対処しない種よりも絶滅しにくいとすることを示した論文が、Nature Ecology & Evolution に掲載される。

 革新を行う能力は種を絶滅リスクに強くする、と長年考えられてきたが、それを全球レベルで徹底的に検証することは困難であった。

 今回、Simon Ducatezたちは、世界の多くの地域から集めた8600種以上の鳥類のデータセットを解析した。このデータセットには、種の食餌への新たな食物資源の取り込みや新規の採餌法を記録した3800件以上の新規行動の情報が含まれる。新しい行動の一例として、ニュージーランドの鵜(ウ)は、魚の捕り方を民間フェリーの動きに合わせることによって強い水流を利用することが観察されている。研究チームは、そうした行動データを種ごとの絶滅リスクの情報と照らし合わせた。そのモデリングにより、革新的な行動を示す種は絶滅リスクが低く、絶滅リスクが、そうした行動が増えるほどさらに低くなることが明らかになった。

 また、行動の可塑性は生息地の変化による鳥類の絶滅リスクを低下させるだけであって、侵略種や乱獲に対する感受性には影響がないことも分かった。



参考文献:
Ducatez S. et al.(2020): Behavioural plasticity is associated with reduced extinction risk in birds. Nature Ecology & Evolution, 4, 6, 788–793.
https://doi.org/10.1038/s41559-020-1168-8

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