スペインで発見された中新世の小型霊長類
取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、スペインで発見された中新世の小型霊長類に関する研究(Alba et al., 2015)が公表されました。日本語の解説記事もあります。狭鼻下目(狭鼻小目)は霊長類で、旧世界ザルと類人猿が互いに分岐する前から生息しており、類人猿はさらに小型類人猿と大型類人猿へと分岐しました。小型類人猿は狭鼻下目に見られる特徴を有していないため、大型類人猿の矮性版との見解も提示されています。
しかし、2011年1月にスペインのカタロニア地方で発見された新種の小型霊長類(Pliobates catalonia)の化石は、この2種類の類人猿が分岐したと考えられているよりもかなり後となる1160万年前頃に生息していたにもかかわらず、狭鼻下目と大型類人猿の特徴を併せ持っています。たとえば、歯はより祖先的で、鋭い歯尖はより中央にあって突き出しているものの、頭蓋と脳の対体重比は大型類人猿のそれにより近いことが明らかになっています。
この新種小型霊長類で注目されるのは肢で、手首の回内運動によって充分な回転が得られるため、慎重に木に這い登ることが可能になっています。これは大型類人猿の特徴です。しかし、肘には現生類人猿とその他の霊長類を区別する重要な特徴はなく、腕でぶら下がりながら肘の関節を固定することが可能になっています。さらにややこしいことに、この新種小型霊長類の骨張った外耳は、狭鼻下目より前に生息していたサルより祖先的です。総合すると、これらの知見は、あらゆる類人猿の最も新しい共通の祖先は一般的に考えられていたほど大型類人猿には似ていない可能性があることを示しています。
参考文献:
Alba DM. et al.(2015): Miocene small-bodied ape from Eurasia sheds light on hominoid evolution. Science, 350, 6260, aab2625.
https://doi.org/10.1126/science.aab2625
しかし、2011年1月にスペインのカタロニア地方で発見された新種の小型霊長類(Pliobates catalonia)の化石は、この2種類の類人猿が分岐したと考えられているよりもかなり後となる1160万年前頃に生息していたにもかかわらず、狭鼻下目と大型類人猿の特徴を併せ持っています。たとえば、歯はより祖先的で、鋭い歯尖はより中央にあって突き出しているものの、頭蓋と脳の対体重比は大型類人猿のそれにより近いことが明らかになっています。
この新種小型霊長類で注目されるのは肢で、手首の回内運動によって充分な回転が得られるため、慎重に木に這い登ることが可能になっています。これは大型類人猿の特徴です。しかし、肘には現生類人猿とその他の霊長類を区別する重要な特徴はなく、腕でぶら下がりながら肘の関節を固定することが可能になっています。さらにややこしいことに、この新種小型霊長類の骨張った外耳は、狭鼻下目より前に生息していたサルより祖先的です。総合すると、これらの知見は、あらゆる類人猿の最も新しい共通の祖先は一般的に考えられていたほど大型類人猿には似ていない可能性があることを示しています。
参考文献:
Alba DM. et al.(2015): Miocene small-bodied ape from Eurasia sheds light on hominoid evolution. Science, 350, 6260, aab2625.
https://doi.org/10.1126/science.aab2625
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