関幸彦『戦争の日本史5 東北の騒乱と奥州合戦』
吉川弘文館より2006年11月に刊行されました。本書は、前九年合戦・後三年合戦・奥州合戦(源頼朝が奥州藤原氏を攻め滅ぼした戦い)を扱っています。一般書ながら、研究史の把握・整理が多いのが特徴となっています。本書は、東北地方と河内源氏という共通点を有するこれら三合戦から、中世的世界の成立の経緯・背景・その意味、頼朝の御家人たちの間で共有され、近代以降の日本社会の歴史認識にも影響を及ぼした記憶の創造過程といった問題を論じています。戦闘そのものの描写は少なめで、その背景・意義の解説が主体となっていることも特徴です。
本書は東北地方で行なわれた合戦を扱っているだけに、東北の勢力についての解説が多くなっていますが、前九年合戦・後三年合戦において、奥州合戦の時と比較するとずっと「未熟」だったとはいえ、河内源氏が坂東武者を動員していたことや、東北の勢力が坂東の勢力との提携も企図していたことにも言及しており、坂東の動向にもそれなりの分量を割いています。また、奥州藤原氏をはじめとして東北の在地勢力が、都の諸権門と強いつながりを有していたこともに言及されており、奥州藤原氏やその前の東北の「覇者」だった清原氏や安倍氏は、必ずしも「中央から独立した勢力」とは言えない、と指摘されていることも注目されます。
本書は東北地方で行なわれた合戦を扱っているだけに、東北の勢力についての解説が多くなっていますが、前九年合戦・後三年合戦において、奥州合戦の時と比較するとずっと「未熟」だったとはいえ、河内源氏が坂東武者を動員していたことや、東北の勢力が坂東の勢力との提携も企図していたことにも言及しており、坂東の動向にもそれなりの分量を割いています。また、奥州藤原氏をはじめとして東北の在地勢力が、都の諸権門と強いつながりを有していたこともに言及されており、奥州藤原氏やその前の東北の「覇者」だった清原氏や安倍氏は、必ずしも「中央から独立した勢力」とは言えない、と指摘されていることも注目されます。
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