喫煙と飲酒による脳の高齢化
喫煙と飲酒による脳の高齢化に関する研究(Ning et al., 2020)が公表されました。以前の研究で、特定の生活習慣(過度の喫煙やアルコール摂取など)が特定の脳領域に悪影響を及ぼす、と示されていますが、とくに脳全体を考えた場合に、喫煙とアルコール摂取が脳年齢とどのように関連しているのか、明らかではありません。この研究は、機械学習のいくつかの手法とMRIを用いて、イギリスバイオバンクにデータ登録されている45~81歳の被験者(合計17308人)の相対脳年齢を決定しました。相対脳年齢は、MRI測定に基づく脳年齢を同世代の平均脳年齢に照らして算定されます。
この研究は、喫煙習慣に関する情報が収集された11651人において、1日の大半または1日中喫煙していた者の相対脳年齢が、喫煙頻度が低い者や禁煙している者より高かったことを見いだしました。喫煙量が1パック・年増えると、相対脳年齢が0.03年上昇していました。1パック・年は、1年を通じて平均1日1箱のタバコを吸うことと定義されます。また、飲酒行動に関する情報が収集された11600人において、ほぼ毎日飲酒していた者の相対脳年齢が、それよりも飲酒頻度が低い者又は全く飲酒しない者の相対脳年齢より高いことも明らかになりました。また、1日当たりのアルコール摂取量が1グラム増えると、相対脳年齢が0.02年高くなりました。
これらの知見は、喫煙と飲酒が脳年齢に及ぼす有害な影響は、おもに喫煙と飲酒の頻度が高い者に生じており、脳年齢がわずかに上昇することを示唆しています。この研究は、喫煙とアルコール摂取以外にも、さまざまな環境因子と遺伝因子が脳年齢に関連しているかもしれない点にも注意を喚起しています。また、こうした関連の解明をさらに進めるには、より大きなサンプルを用いた研究が必要とも指摘されています。脳年齢のわずかな上昇とはいえ、煙草と酒が心底嫌いな私にとって、勇気づけられる研究です。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【健康】毎日の喫煙と飲酒が脳の高齢化につながっているかもしれない
飲酒と喫煙を毎日行う者は、それよりも飲酒と喫煙の頻度が低い者と比べて、相対脳年齢がやや高いという研究結果を報告する論文が掲載される。
以前の研究で、特定の生活習慣(過度の喫煙やアルコール摂取など)が特定の脳領域に悪影響を及ぼすことが示されているが、特に脳全体を考えた場合に、喫煙とアルコール摂取が脳年齢とどのように関連しているのかは明らかでない。
今回、Arthur W. Togaたちの研究チームは、機械学習のいくつかの手法とMRIを用いて、英国バイオバンクにデータ登録されている45~81歳の被験者(合計1万7308人)の相対脳年齢を決定した。相対脳年齢は、MRI測定に基づく脳年齢を同世代の平均脳年齢に照らして算定される。
Togaたちは、喫煙習慣に関する情報が収集された1万1651人において、1日の大半または1日中喫煙していた者の相対脳年齢が、喫煙頻度が低い者や禁煙している者より高かったことを見いだした。そして、喫煙量が1パック・年増えると、相対脳年齢が0.03年上昇していた。1パック・年は、1年を通じて平均1日1箱のタバコを吸うことと定義される。また、飲酒行動に関する情報が収集された11600人において、ほぼ毎日飲酒していた者の相対脳年齢がそれよりも飲酒頻度が低い者又は全く飲酒しない者の相対脳年齢より高かった。また、1日当たりのアルコール摂取量が1グラム増えると、相対脳年齢が0.02年高くなった。以上の知見は、喫煙と飲酒が脳年齢に及ぼす有害な影響が、主に喫煙と飲酒の頻度が高い者に生じており、脳年齢がわずかに上昇することを示唆している。
Togaたちは、喫煙とアルコール摂取以外にも、さまざまな環境因子と遺伝因子が脳年齢に関連している可能性がある点にも注意を要するとしている。こうした関連の解明をさらに進めるには、より大きなサンプルを用いた研究が必要とされる。
参考文献:
Ning K. et al.(2020): Association of relative brain age with tobacco smoking, alcohol consumption, and genetic variants. Scientific Reports, 10, 10.
https://doi.org/10.1038/s41598-019-56089-4
この研究は、喫煙習慣に関する情報が収集された11651人において、1日の大半または1日中喫煙していた者の相対脳年齢が、喫煙頻度が低い者や禁煙している者より高かったことを見いだしました。喫煙量が1パック・年増えると、相対脳年齢が0.03年上昇していました。1パック・年は、1年を通じて平均1日1箱のタバコを吸うことと定義されます。また、飲酒行動に関する情報が収集された11600人において、ほぼ毎日飲酒していた者の相対脳年齢が、それよりも飲酒頻度が低い者又は全く飲酒しない者の相対脳年齢より高いことも明らかになりました。また、1日当たりのアルコール摂取量が1グラム増えると、相対脳年齢が0.02年高くなりました。
これらの知見は、喫煙と飲酒が脳年齢に及ぼす有害な影響は、おもに喫煙と飲酒の頻度が高い者に生じており、脳年齢がわずかに上昇することを示唆しています。この研究は、喫煙とアルコール摂取以外にも、さまざまな環境因子と遺伝因子が脳年齢に関連しているかもしれない点にも注意を喚起しています。また、こうした関連の解明をさらに進めるには、より大きなサンプルを用いた研究が必要とも指摘されています。脳年齢のわずかな上昇とはいえ、煙草と酒が心底嫌いな私にとって、勇気づけられる研究です。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【健康】毎日の喫煙と飲酒が脳の高齢化につながっているかもしれない
飲酒と喫煙を毎日行う者は、それよりも飲酒と喫煙の頻度が低い者と比べて、相対脳年齢がやや高いという研究結果を報告する論文が掲載される。
以前の研究で、特定の生活習慣(過度の喫煙やアルコール摂取など)が特定の脳領域に悪影響を及ぼすことが示されているが、特に脳全体を考えた場合に、喫煙とアルコール摂取が脳年齢とどのように関連しているのかは明らかでない。
今回、Arthur W. Togaたちの研究チームは、機械学習のいくつかの手法とMRIを用いて、英国バイオバンクにデータ登録されている45~81歳の被験者(合計1万7308人)の相対脳年齢を決定した。相対脳年齢は、MRI測定に基づく脳年齢を同世代の平均脳年齢に照らして算定される。
Togaたちは、喫煙習慣に関する情報が収集された1万1651人において、1日の大半または1日中喫煙していた者の相対脳年齢が、喫煙頻度が低い者や禁煙している者より高かったことを見いだした。そして、喫煙量が1パック・年増えると、相対脳年齢が0.03年上昇していた。1パック・年は、1年を通じて平均1日1箱のタバコを吸うことと定義される。また、飲酒行動に関する情報が収集された11600人において、ほぼ毎日飲酒していた者の相対脳年齢がそれよりも飲酒頻度が低い者又は全く飲酒しない者の相対脳年齢より高かった。また、1日当たりのアルコール摂取量が1グラム増えると、相対脳年齢が0.02年高くなった。以上の知見は、喫煙と飲酒が脳年齢に及ぼす有害な影響が、主に喫煙と飲酒の頻度が高い者に生じており、脳年齢がわずかに上昇することを示唆している。
Togaたちは、喫煙とアルコール摂取以外にも、さまざまな環境因子と遺伝因子が脳年齢に関連している可能性がある点にも注意を要するとしている。こうした関連の解明をさらに進めるには、より大きなサンプルを用いた研究が必要とされる。
参考文献:
Ning K. et al.(2020): Association of relative brain age with tobacco smoking, alcohol consumption, and genetic variants. Scientific Reports, 10, 10.
https://doi.org/10.1038/s41598-019-56089-4
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