先コロンブス期の人為的活動に起因するアマゾン川流域の植物の優占種
取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、先コロンブス期の人為的活動に起因するアマゾン川流域の植物の優占種に関する研究(Levis et al., 2017)が公表されました。日本語の解説記事もあります。アマゾン川流域における植物の栽培は8000年以上前から行なわれています。この研究は、植物の栽培がもたらす永続的な影響をより詳しく理解するため、アマゾン川流域の1170ヶ所の森林区域及び4000種類以上の植物種に関する既存データを解析しました。これにより、先コロンブス期の人々により一時的・部分的あるいは完全に栽培されていた植物種が85種類特定されました。
その結果、これらの栽培種は栽培されていなかった種に比べて優占種となっている可能性が5倍も高い、と明らかになりました。さらに、栽培種は先コロンブス期の居住地・塚・棚地及び岩絵といった遺跡周辺に集中していることも明らかになりました。アマゾン川流域における栽培種の相対的な数の多さと豊富さの変化の30%は地域の環境条件により説明がつき、またその20%は過去の人間活動を表す指標により説明できる、と本論文は推測しています。
この知見は、ヒトが栽培種によりアマゾン川流域の森林を豊かにしたのか、あるいは元々これらの種が豊富だったために人間がその近くに住むことを選択したのかという、「卵が先か、鶏が先か」に類似した問題を提起している、と本論文は指摘します。本論文はこれについて、他には見られない生態的地位の存在と複数の栽培種が予期しない場所で見つかっていることなどから、ヒトがアマゾン川流域の森林を豊かにした可能性が高い、と推測しています。先コロンブス期アメリカ大陸での人為的開発の程度については今でも議論されているようですが、さまざまな証拠からは、大規模なものだった可能性が高いのではないか、と思います(関連記事)。
参考文献:
Levis C. et al.(2017): Persistent effects of pre-Columbian plant domestication on Amazonian forest composition. Science, 355, 6328, 925-931.
https://doi.org/10.1126/science.aal0157
その結果、これらの栽培種は栽培されていなかった種に比べて優占種となっている可能性が5倍も高い、と明らかになりました。さらに、栽培種は先コロンブス期の居住地・塚・棚地及び岩絵といった遺跡周辺に集中していることも明らかになりました。アマゾン川流域における栽培種の相対的な数の多さと豊富さの変化の30%は地域の環境条件により説明がつき、またその20%は過去の人間活動を表す指標により説明できる、と本論文は推測しています。
この知見は、ヒトが栽培種によりアマゾン川流域の森林を豊かにしたのか、あるいは元々これらの種が豊富だったために人間がその近くに住むことを選択したのかという、「卵が先か、鶏が先か」に類似した問題を提起している、と本論文は指摘します。本論文はこれについて、他には見られない生態的地位の存在と複数の栽培種が予期しない場所で見つかっていることなどから、ヒトがアマゾン川流域の森林を豊かにした可能性が高い、と推測しています。先コロンブス期アメリカ大陸での人為的開発の程度については今でも議論されているようですが、さまざまな証拠からは、大規模なものだった可能性が高いのではないか、と思います(関連記事)。
参考文献:
Levis C. et al.(2017): Persistent effects of pre-Columbian plant domestication on Amazonian forest composition. Science, 355, 6328, 925-931.
https://doi.org/10.1126/science.aal0157
この記事へのコメント