大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第44回「ぼくたちの失敗」

 1962年、ジャカルタで開催されたアジア大会において、アラブ諸国および中華人民共和国との連携を強化していたインドネシアのスカルノ政権がイスラム教徒と中華民国(台湾)を実質的に排除しようとしたため、田畑政治たち日本選手団は参加すべきか否か、苦悩します。田畑はけっきょく開会式直前に参加を決意しますが、日本ではこの決定が批判され、田畑が槍玉に挙げられます。オリンピック担当大臣の川島正次郎は、参加を決めたのは自分ではなく、東京オリンピック組織委員会の会長の津島寿一と都知事の東龍太郎と田畑だと責任転嫁を図ります。

 田畑は河野一郎から助言を受けて、正式大会から親善大会に変えようとしますが、インドネシア国民は激昂します。田畑は閉会後も国際陸連から責め立てられ、親善大会扱いにしようと画策しますが、失言によりさらに窮地に追い込まれます。川島はここぞとばかりに田畑と津島を責め立て、田畑と津島は国会に参考人として招致されます。田畑は国会で議員たちに糾弾され、自分がどこで間違ってしまったのか、考えます。田畑はかつて高橋是清と面会したさいに、政治家もオリンピックを利用すればよい、と言ったことを想起します。津島は批判に耐えられず、会長辞任を申し出ますが、田畑の辞任も条件とし、田畑は事務総長を解任されます。

 今回は田畑が解任へと追い込まれる政治劇でした。田畑が、自分の間違いの原点を探し、高橋是清との面会に思いが及ぶ場面は、長期の連続ドラマらしいつながりでよかった、と思います。ただ、今回もそれなりに長かった落語場面が、終盤になっても本筋と上手く接続しているとは言えないように思えるのは、残念です。まあ、田畑夫妻と落語の場面を重ねていたところは上手かったと思いますが。それでも、最終回では落語場面の重要な意味が浮かび上がってくるのではないか、と期待しています。

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