新種の鳥類化石
新種の鳥類化石に関する研究(Imai et al., 2019)が公表されました。ドイツで発見されたジュラ紀後期(約1億6000万年~1億4000万年前)の始祖鳥は、最初の鳥類だと一般的には考えられていますが、現生鳥類に関連する特徴は、白亜紀まで出現しませんでした。最古となる既知の白亜紀の鳥類化石は、中国北東部で発見された2次元化石標本で、この化石鳥類には尾端骨がありません。尾端骨は現生鳥類の基本的な特徴で、脊柱の末端にあり、尾羽を支えています。
この研究は、白亜紀前期となる約1億2000万年前の、3次元的に保存されたハトほどのサイズの鳥類の化石について報告しています。この化石標本は、中国以外で初めて発見された白亜紀の祖先的鳥類種の化石で、Fukuipteryx primaと命名されました。この祖先的鳥類種は、始祖鳥といくつかの特徴(頑丈な叉骨・融合していない骨盤・前肢)を共有しているものの、充分に形成された尾端骨も有していた、とこの研究は指摘しています。以前の研究では、尾端骨が鳥類の初期進化における重要な飛翔適応の一つと示唆されていました。一方この研究は、この祖先的鳥類種に尾端骨があることから、尾端骨は単に尾の縮小の副産物にすぎず、飛翔適応とは関係がないとする最近提起された理論を裏づけるものだ、という見解を提示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【進化学】尾羽を振っていた白亜紀前期の新種のダイノバード
日本で発見された新種の鳥類の化石について報告する論文が掲載される。これは、約1億2000万年前の白亜紀前期に生息していた鳥類の化石標本とされ、初期鳥類の進化の解明が進むと考えられている。
ドイツで発見されたジュラ紀後期(およそ1億6000万年~1億4000万年前)の始祖鳥は、最初の鳥類だと一般に考えられているが、現生鳥類に関連する特徴は、白亜紀まで現れなかった。現在知られている最古の白亜紀の鳥類化石は、中国北東部で見つかった2次元化石標本であり、この化石鳥類には尾端骨がない。尾端骨は、現生鳥類の基本的な特徴で、脊柱の末端にあり、尾羽を支えている。
この論文で、福井県立大学の今井拓哉(いまい・たくや)たちは、3次元的に保存されたハトほどのサイズの鳥類の化石について記述している。この化石標本は、中国以外で初めて発見された白亜紀の原始的鳥類種の化石で、Fukuipteryx primaと命名された。今井たちは、F. primaと始祖鳥には、いくつかの共通の特徴(頑丈な叉骨、融合していない骨盤、前肢)があるが、F. primaには十分に形成された尾端骨もあったという見解を示している。以前の研究では、尾端骨が、鳥類の初期進化における重要な飛翔適応の1つであることが示唆されていた。これに対して、今井たちは、F. primaに尾端骨があるということは、尾端骨が単に尾の縮小の副産物に過ぎず、飛翔適応とは関係がないとする最近提起された理論を裏付けるものだという考えを提起している。
参考文献:
Imai T. et al.(2019): An unusual bird (Theropoda, Avialae) from the Early Cretaceous of Japan suggests complex evolutionary history of basal birds. Communications Biology, 2, 399.
https://doi.org/10.1038/s42003-019-0639-4
この研究は、白亜紀前期となる約1億2000万年前の、3次元的に保存されたハトほどのサイズの鳥類の化石について報告しています。この化石標本は、中国以外で初めて発見された白亜紀の祖先的鳥類種の化石で、Fukuipteryx primaと命名されました。この祖先的鳥類種は、始祖鳥といくつかの特徴(頑丈な叉骨・融合していない骨盤・前肢)を共有しているものの、充分に形成された尾端骨も有していた、とこの研究は指摘しています。以前の研究では、尾端骨が鳥類の初期進化における重要な飛翔適応の一つと示唆されていました。一方この研究は、この祖先的鳥類種に尾端骨があることから、尾端骨は単に尾の縮小の副産物にすぎず、飛翔適応とは関係がないとする最近提起された理論を裏づけるものだ、という見解を提示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【進化学】尾羽を振っていた白亜紀前期の新種のダイノバード
日本で発見された新種の鳥類の化石について報告する論文が掲載される。これは、約1億2000万年前の白亜紀前期に生息していた鳥類の化石標本とされ、初期鳥類の進化の解明が進むと考えられている。
ドイツで発見されたジュラ紀後期(およそ1億6000万年~1億4000万年前)の始祖鳥は、最初の鳥類だと一般に考えられているが、現生鳥類に関連する特徴は、白亜紀まで現れなかった。現在知られている最古の白亜紀の鳥類化石は、中国北東部で見つかった2次元化石標本であり、この化石鳥類には尾端骨がない。尾端骨は、現生鳥類の基本的な特徴で、脊柱の末端にあり、尾羽を支えている。
この論文で、福井県立大学の今井拓哉(いまい・たくや)たちは、3次元的に保存されたハトほどのサイズの鳥類の化石について記述している。この化石標本は、中国以外で初めて発見された白亜紀の原始的鳥類種の化石で、Fukuipteryx primaと命名された。今井たちは、F. primaと始祖鳥には、いくつかの共通の特徴(頑丈な叉骨、融合していない骨盤、前肢)があるが、F. primaには十分に形成された尾端骨もあったという見解を示している。以前の研究では、尾端骨が、鳥類の初期進化における重要な飛翔適応の1つであることが示唆されていた。これに対して、今井たちは、F. primaに尾端骨があるということは、尾端骨が単に尾の縮小の副産物に過ぎず、飛翔適応とは関係がないとする最近提起された理論を裏付けるものだという考えを提起している。
参考文献:
Imai T. et al.(2019): An unusual bird (Theropoda, Avialae) from the Early Cretaceous of Japan suggests complex evolutionary history of basal birds. Communications Biology, 2, 399.
https://doi.org/10.1038/s42003-019-0639-4
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