現代日本社会の特徴をよく表している発言

 Twitterにて、現代日本社会の特徴をよく表していると思う発言を見かけました。以下に全文を引用します。

俺ちまたではネトウヨとか言われてんだけどね、わかるっしょ、ネトウヨになる理由が。海外のあまりにもひどい配送、病院、学校、運用、契約書無視、誠意皆無対応なんかに毎日毎日毎日触れてるとそうなっちまうんだよ!! 日本のサービスは真面目だし日本人嘘つかないからさ…もう疲れたよ。

 発言者の「めいろま」氏は、私が6年近く前(2013年11月14日)にTwitterを始めた頃から有名人だったようで、私もTwitterを始めてすぐに知ったと記憶しています。私が初めて知った頃の「めいろま」氏は有名な「出羽守」で、むしろ「ネトウヨ」から毛嫌いされているような人だったと記憶していますが、近年では、上記の発言にあるように、アンチ「ネトウヨ」の人々から「ネトウヨ」と批判・罵倒・嘲笑されているようです。その理由として、外国(確かイギリス在住だったと記憶しています)の諸サービスのひどさにたいして、日本のサービスのよさが挙げられています。もちろん、外国、もっと限定してイギリスといってもサービスにより違いがあり、日本が常に優れているとは限らないのでしょうが、全体的に、日本のサービスが世界において良好な部類に入る可能性は高いだろう、と私は考えています。その意味で、上記のような感想は本音なのだろうな、とも思います。

 もっとも、こうしたサービスのよさが、しばしば厳しい労働環境の犠牲の上に成立していることも否定できないでしょう。こうした「お客様」優先主義こそ、現代日本社会の最も深刻な病巣ではないか、と私は以前から考えています。しかし、それが消費者にとって快適なものであることも間違いありません。日本社会で生まれ育ち、ずっと日本国籍を保有してきた私から見て、日本社会は、消費者としてのみ過ごすならばかなり快適だと思います。その意味で、外国からの観光客にとっては悪くない国だと思います。しかし、労働者として生活する場合、日本社会では不愉快な経験をしてストレスを溜めてしまう可能性がかなり高いことも確かだと思います。

 以前にも述べましたが(関連記事)、多くの社会問題はトレードオフ(交換)と合成の誤謬に行きつくものだと思います。良好なサービスによる快適さは、しばしば厳しい労働環境の犠牲の上に成立しています(トレードオフ)。しかし、日本の労働者は全員消費者であり(逆に、日本の消費者は全員労働者とは限りませんが)、つい快適さのために良好なサービスを求めてしまいます。現代日本社会の厳しい労働環境も、邪悪な個人や特定階層の陰謀ではなく、個々の合理的な選択の積み重ねという側面が多分にあります(合成の誤謬)。そのため、社会問題の改善は難しく、もちろん私程度の知見では有効な具体策は思いつかないのですが、こうした矛盾を抱えて解決策を講じていくのも人間の宿命だろう、と開き直るしかないでしょうか。

この記事へのコメント

2019年10月31日 09:00
利を取り続けるとお金が足りなくなる。
2019年11月01日 03:03
欲望の制御は人類の普遍的問題だと思います。

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