クサウオの形態とゲノム
クサウオの形態とゲノムに関する研究(Wang et al., 2019)が公表されました。海面下6000~11000mは、海洋の深度区分で最も深い領域です。超深海と呼ばれるこの領域は、高い静水圧・暗黒・低温・低酸素濃度・食物資源の欠乏により、地球上で有数の過酷な場所です。しかし超深海では、クサウオ類など数百種の生物が見つかっています。クサウオ類は超深海の食物網の頂点捕食者で、超深海の魚類動物相を支配しています。
この研究は、マリアナ海溝の水深約7000メートルのいくつかの地点で、複数のクサウオを捕獲しました。超深海のクサウオは、潮間帯凹地に生息する近縁種とは異なり、透明な皮膚・大きな胃・細い筋肉・わずかに骨化した骨格・不完全に閉じた頭蓋など、深海に対する複数の適応を示しています。この研究は、組織の石灰化と骨格の発達を調節するオステオカルシンの遺伝子が、超深海のクサウオでは短くなっていることを明らかにしました。これは、クサウオの独特の頭蓋と柔軟な骨格に寄与している可能性がありまます。
暗黒環境での生活に伴って、超深海のクサウオは複数の光受容体遺伝子を失い、明所での視覚が低下していました。またこの研究は、細胞膜の流動性を高めるさまざまな遺伝子のコピーを複数見いだしており、これらは超深海の極端な高圧下で細胞が機能するのを助けている、と推測しています。超深海のクサウオのゲノムが明らかになったことは、深海の極限環境に対する生物種の適応を解明するのに役立つ可能性がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
クサウオは暗い深海でどのように生存しているのか
クサウオの形態、体の構造、および高品質ゲノムについて報告する論文が、今週掲載される。この研究は、クサウオがマリアナ海溝の深くて暗い高圧条件下で生存することを可能にした適応を明らかにしている。
海面下6000~1万1000メートルは、海洋の深度区分で最も深い領域である。超深海と呼ばれるこの領域は、高い静水圧、暗黒、低温、低酸素濃度、および食物資源の欠乏により、地球上で有数の過酷な場所である。にもかかわらず、超深海では、クサウオ類など数百種の生物が見つかっている。クサウオ類は超深海の食物網の頂点捕食者であり、超深海の魚類動物相を支配している。
今回Wen Wangたちは、マリアナ海溝の水深約7000メートルのいくつかの地点で、複数のクサウオを捕獲した。超深海のクサウオは、潮間帯凹地に生息する近縁種とは異なり、透明な皮膚、大きな胃、細い筋肉、わずかに骨化した骨格、不完全に閉じた頭蓋など、深海に対する複数の適応を示している。
Wangたちは、組織の石灰化と骨格の発達を調節するオステオカルシンの遺伝子が、超深海のクサウオでは短くなっていることを明らかにした。このことは、クサウオの独特の頭蓋と柔軟な骨格に寄与している可能性がある。暗黒環境での生活に伴って、超深海のクサウオは複数の光受容体遺伝子を失い、明所での視覚が低下していた。またWangたちは、細胞膜の流動性を高めるさまざまな遺伝子のコピーを複数見いだしており、これらが超深海の極端な高圧下で細胞が機能するのを助けていると考えている。
今回、超深海のクサウオのゲノムが明らかになったことは、深海の極限環境に対する生物種の適応を解明するのに役立つ可能性があると、Wangたちは結んでいる。
参考文献:
Wang K. et al.(2019): Morphology and genome of a snailfish from the Mariana Trench provide insights into deep-sea adaptationowth. Nature Ecology & Evolution, 3, 5, 823–833.
https://doi.org/10.1038/s41559-019-0864-8
この研究は、マリアナ海溝の水深約7000メートルのいくつかの地点で、複数のクサウオを捕獲しました。超深海のクサウオは、潮間帯凹地に生息する近縁種とは異なり、透明な皮膚・大きな胃・細い筋肉・わずかに骨化した骨格・不完全に閉じた頭蓋など、深海に対する複数の適応を示しています。この研究は、組織の石灰化と骨格の発達を調節するオステオカルシンの遺伝子が、超深海のクサウオでは短くなっていることを明らかにしました。これは、クサウオの独特の頭蓋と柔軟な骨格に寄与している可能性がありまます。
暗黒環境での生活に伴って、超深海のクサウオは複数の光受容体遺伝子を失い、明所での視覚が低下していました。またこの研究は、細胞膜の流動性を高めるさまざまな遺伝子のコピーを複数見いだしており、これらは超深海の極端な高圧下で細胞が機能するのを助けている、と推測しています。超深海のクサウオのゲノムが明らかになったことは、深海の極限環境に対する生物種の適応を解明するのに役立つ可能性がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
クサウオは暗い深海でどのように生存しているのか
クサウオの形態、体の構造、および高品質ゲノムについて報告する論文が、今週掲載される。この研究は、クサウオがマリアナ海溝の深くて暗い高圧条件下で生存することを可能にした適応を明らかにしている。
海面下6000~1万1000メートルは、海洋の深度区分で最も深い領域である。超深海と呼ばれるこの領域は、高い静水圧、暗黒、低温、低酸素濃度、および食物資源の欠乏により、地球上で有数の過酷な場所である。にもかかわらず、超深海では、クサウオ類など数百種の生物が見つかっている。クサウオ類は超深海の食物網の頂点捕食者であり、超深海の魚類動物相を支配している。
今回Wen Wangたちは、マリアナ海溝の水深約7000メートルのいくつかの地点で、複数のクサウオを捕獲した。超深海のクサウオは、潮間帯凹地に生息する近縁種とは異なり、透明な皮膚、大きな胃、細い筋肉、わずかに骨化した骨格、不完全に閉じた頭蓋など、深海に対する複数の適応を示している。
Wangたちは、組織の石灰化と骨格の発達を調節するオステオカルシンの遺伝子が、超深海のクサウオでは短くなっていることを明らかにした。このことは、クサウオの独特の頭蓋と柔軟な骨格に寄与している可能性がある。暗黒環境での生活に伴って、超深海のクサウオは複数の光受容体遺伝子を失い、明所での視覚が低下していた。またWangたちは、細胞膜の流動性を高めるさまざまな遺伝子のコピーを複数見いだしており、これらが超深海の極端な高圧下で細胞が機能するのを助けていると考えている。
今回、超深海のクサウオのゲノムが明らかになったことは、深海の極限環境に対する生物種の適応を解明するのに役立つ可能性があると、Wangたちは結んでいる。
参考文献:
Wang K. et al.(2019): Morphology and genome of a snailfish from the Mariana Trench provide insights into deep-sea adaptationowth. Nature Ecology & Evolution, 3, 5, 823–833.
https://doi.org/10.1038/s41559-019-0864-8
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