大相撲名古屋場所千秋楽

 今場所は4大関がいずれも休場となり、何とも寂しくなりましたが、千秋楽結びの一番まで両横綱が優勝を争ったので、何とか面目が保たれたように思います。14日目に白鵬関が琴奨菊関に敗れて2敗となり、白鵬関が鶴竜関を追いかける展開となったのは意外でしたが、逆転優勝の可能性という観点からは、反対の展開よりは盛り上がったのではないか、と思います。結びの一番では、鶴竜関が激しい巻き返しの応酬の末に寄り切って勝ち、6回目の優勝を果たしました。なかなか見ごたえのある一番だったと思います。正直なところ、両横綱とも満身創痍で全盛期の力はもうありませんが、若手が伸び悩んでおり、後述のように大関陣も不振なので、せめて後1~2年は両横綱に現役を続けてもらいたいものです。

 今場所の大関陣の不振は深刻で、貴景勝関は全休となり、大関昇進から2場所で陥落となりました。貴景勝関はまだ若いので、今後大関に復帰できる可能性もありますが、昨年(2018年)九州場所での初優勝後は研究されてきた感があり、大関復帰を楽観できる状況ではないと思います。何よりも、以前の状態に戻れるのか、心配ですし、親方との不和が報道されているのも気がかりです。今場所大関に復帰した栃ノ心関は初日から5連敗となり、6日目から休場しました。膝の状態がかなり悪そうなので、来場所は心配ですが、何とか勝ち越してもらいたいものです。豪栄道関は3勝4敗と不振で、8日目から休場しました。豪栄道関もすでに33歳で、近いうちに大関から陥落する可能性は低くないでしょう。高安関はまずまず好調でしたが、8日目の玉鷲関との取り組みで負傷し、10日目に何とか勝ち越したものの、11日目から休場となりました。高安関には、まだ数年は大関の地位を保てるだけの力は残っているように思います。

 先場所優勝の朝乃山関は東前頭筆頭で7勝8敗と負け越しました。やはり、上位相手にすぐ通用するだけの力はまだなかったようで、来場所での巻き返しに期待しています。逸ノ城関は9勝6敗と勝ち越しましたが、相変わらず強さと脆さが同居しているという感じです。白鵬関に勝った一番は見事でしたが、上体を起こされると脆いという欠点の解消はもう難しいかもしれません。逸ノ城関に関しては、もうすっかり攻略法が確立しているといった感じで、これでは大関昇進は難しそうです。本来なら、今頃は照ノ富士関と逸ノ城関が横綱として君臨していねばならなかった、と思うのですが。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック