一流のスポーツ選手のパフォーマンスと腸内微生物叢の関係
一流のスポーツ選手のパフォーマンスと腸内微生物叢(ヒトの体内に住む微生物群、マイクロバイオーム)の関係についての研究(Scheiman et al., 2019)が公表されました。ヒトの微生物叢が健康に影響する、と知られています。以前の研究では、運動と微生物叢の変化との関連が示されましたが、こうした微生物叢の変化がスポーツ選手のパフォーマンスにどのように影響するかは分かっていませんでした。この研究は、ボストンマラソンの選手15人とランナーではない対照者10人から、マラソンの前後1週間にそれぞれ採取した糞便試料を解析しました。
その結果、運動後の選手の糞便中にはベイヨネラ属(Veillonella)の細菌が多くなり、ベイヨネラ属菌には乳酸(運動後の疲労に関連する代謝産物)の消費に必要な遺伝子が全て備わっている、と明らかになりました。これらの結果は、スポーツ選手87人からなる別のコホートでも確認されました。またこの研究は別の実験で、マラソン選手の1人からベイヨネラ属の細菌株1種類を単離し、マウス16匹に投与しました。その結果、この細菌を投与されたマウスは、対照群のマウスと比較して、トレッドミルテストの成績(走る時間の長さ)が13%上昇しました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
一流のスポーツ選手のパフォーマンスに腸内マイクロバイオームが関係する
一流ランナーの腸内マイクロバイオームに含まれる特定の細菌が、選手のパフォーマンスの向上に役立つ可能性があることを報告する論文が、今週掲載される。
ヒトのマイクロバイオーム(ヒトの体内に住む微生物群)がヒトの健康に影響することが知られている。以前の研究で、運動とマイクロバイオームの変化との関連が示されたが、こうしたマイクロバイオームの変化がスポーツ選手のパフォーマンスにどのように影響するかは分かっていなかった。
今回Aleksandar Kosticたちは、ボストンマラソンの選手15人とランナーではない対照者10人から、マラソンの前後1週間にそれぞれ採取した糞便試料を解析した。その結果、運動後の選手の糞便中にはベイヨネラ属(Veillonella)の細菌が多くなること、また、ベイヨネラ属菌には乳酸(運動後の疲労に関連する代謝産物)の消費に必要な遺伝子が全て備わっていることが明らかになった。これらの結果は、スポーツ選手87人からなる別のコホートでも確かめられた。また別の実験で、Kosticたちは、マラソン選手の1人からベイヨネラ属の細菌株1種類を単離し、マウス16匹に投与した。その結果、この細菌を投与されたマウスは、対照群のマウスに比べて、トレッドミルテストの成績(走る時間の長さ)が13%上昇した。
参考文献:
Scheiman J. et al.(2019): Meta-omics analysis of elite athletes identifies a performance-enhancing microbe that functions via lactate metabolism. Nature Medicine, 25, 7, 1104–1109.
https://doi.org/10.1038/s41591-019-0485-4
その結果、運動後の選手の糞便中にはベイヨネラ属(Veillonella)の細菌が多くなり、ベイヨネラ属菌には乳酸(運動後の疲労に関連する代謝産物)の消費に必要な遺伝子が全て備わっている、と明らかになりました。これらの結果は、スポーツ選手87人からなる別のコホートでも確認されました。またこの研究は別の実験で、マラソン選手の1人からベイヨネラ属の細菌株1種類を単離し、マウス16匹に投与しました。その結果、この細菌を投与されたマウスは、対照群のマウスと比較して、トレッドミルテストの成績(走る時間の長さ)が13%上昇しました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
一流のスポーツ選手のパフォーマンスに腸内マイクロバイオームが関係する
一流ランナーの腸内マイクロバイオームに含まれる特定の細菌が、選手のパフォーマンスの向上に役立つ可能性があることを報告する論文が、今週掲載される。
ヒトのマイクロバイオーム(ヒトの体内に住む微生物群)がヒトの健康に影響することが知られている。以前の研究で、運動とマイクロバイオームの変化との関連が示されたが、こうしたマイクロバイオームの変化がスポーツ選手のパフォーマンスにどのように影響するかは分かっていなかった。
今回Aleksandar Kosticたちは、ボストンマラソンの選手15人とランナーではない対照者10人から、マラソンの前後1週間にそれぞれ採取した糞便試料を解析した。その結果、運動後の選手の糞便中にはベイヨネラ属(Veillonella)の細菌が多くなること、また、ベイヨネラ属菌には乳酸(運動後の疲労に関連する代謝産物)の消費に必要な遺伝子が全て備わっていることが明らかになった。これらの結果は、スポーツ選手87人からなる別のコホートでも確かめられた。また別の実験で、Kosticたちは、マラソン選手の1人からベイヨネラ属の細菌株1種類を単離し、マウス16匹に投与した。その結果、この細菌を投与されたマウスは、対照群のマウスに比べて、トレッドミルテストの成績(走る時間の長さ)が13%上昇した。
参考文献:
Scheiman J. et al.(2019): Meta-omics analysis of elite athletes identifies a performance-enhancing microbe that functions via lactate metabolism. Nature Medicine, 25, 7, 1104–1109.
https://doi.org/10.1038/s41591-019-0485-4
この記事へのコメント