腸内細菌の治療による心血管系リスクのある患者の健康状態の改善
腸内細菌の治療による心血管系リスクのある患者の健康状態の改善に関する研究(Depommier et al., 2019)が公表されました。心血管代謝疾患の世界的な広がりを打ち勝つために、科学者たちは、腸内微生物相を標的とした介入に関心を向けるようになっています。動物モデルでの以前の研究では、腸内細菌の一種であるアッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)には健康増進作用があり、体重過多のヒト、2型糖尿病や炎症性腸疾患を治療していないヒトの腸内ではその数が少ないことから、アッカーマンシア・ムシニフィラは肥満や耐糖能異常、インスリン抵抗性、肝臓の脂肪蓄積を減少させる、と明らかになっています。
この研究では、ヒトでは、生きたアッカーマンシア・ムシニフィラや低温殺菌アッカーマンシア・ムシニフィラは安全で、腸の忍容性が高い、と明らかにしています。この研究は、合計32人のボランティアに、プラセボあるいは生きたアッカーマンシア・ムシニフィラ、低温殺菌したアッカーマンシア・ムシニフィラを補助食品として3か月間摂取させました。その結果、プラセボを摂取した参加者と比較すると、殺菌したアッカーマンシア・ムシニフィラを摂取した参加者のみで、インスリン感受性の改善、インスリンレベルの低下、腸障壁の改善の兆候、血中コレステロールの改善などが見られました。ただ、この研究は、低温殺菌したアッカーマンシア・ムシニフィラの有益な作用が3ヶ月以上持続するかどうか確認し、多数の患者が参加する比較臨床試験で効果を評価するには、さらなる研究が必要と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
腸内細菌の治療によって、心血管系リスクのある患者の健康状態が改善するかもしれない
特定の腸内細菌の量を増やすことが、体重過多や肥満の人にとって有益かもしれないという、小規模な臨床試験の結果が、今週掲載される。Akkermansia muciniphilaは、腸内細菌の一種で、体重過多や肥満の人、2型糖尿病や炎症性腸疾患を治療していないヒトの腸内ではその数が少ない。この研究は、この細菌の投与はヒトに対して安全であり、健康状態の改善につながることを示唆している。
心血管代謝疾患の世界的な広がりを打ち勝つために、科学者たちは、腸内微生物相を標的とした介入にますます関心を向けるようになっている。以前に行われた動物モデルでの研究では、A. muciniphilaには健康増進作用があり、A. muciniphilaが肥満や耐糖能異常、インスリン抵抗性、肝臓の脂肪蓄積が減少させることが明らかになっている。
今回の概念実証研究でPatrice Caniたちは、ヒトでは、生きたA. muciniphilaや低温殺菌したA. muciniphilaは安全で、腸の忍容性が高いことを明らかにしている。合計32人のボランティアに、プラセボあるいは生きたA. muciniphila、低温殺菌したA. muciniphilaを補助食品として3か月間摂取させた。その結果、プラセボを摂取した参加者と比較すると、殺菌したA. muciniphilaを摂取した参加者のみで、インスリン感受性の改善、インスリンレベルの低下、腸障壁の改善の兆候、血中コレステロールの改善などが見られた。低温殺菌したA. muciniphilaの有益な作用が3か月以上持続するかどうかを確認するためには、また、多数の患者が参加する比較臨床試験で効果を評価するには、さらなる研究が必要である。
参考文献:
Depommier C. et al.(2019): Supplementation with Akkermansia muciniphila in overweight and obese human volunteers: a proof-of-concept exploratory study. Nature Medicine, 25, 8, 1096–1103.
https://doi.org/10.1038/s41591-019-0495-2
この研究では、ヒトでは、生きたアッカーマンシア・ムシニフィラや低温殺菌アッカーマンシア・ムシニフィラは安全で、腸の忍容性が高い、と明らかにしています。この研究は、合計32人のボランティアに、プラセボあるいは生きたアッカーマンシア・ムシニフィラ、低温殺菌したアッカーマンシア・ムシニフィラを補助食品として3か月間摂取させました。その結果、プラセボを摂取した参加者と比較すると、殺菌したアッカーマンシア・ムシニフィラを摂取した参加者のみで、インスリン感受性の改善、インスリンレベルの低下、腸障壁の改善の兆候、血中コレステロールの改善などが見られました。ただ、この研究は、低温殺菌したアッカーマンシア・ムシニフィラの有益な作用が3ヶ月以上持続するかどうか確認し、多数の患者が参加する比較臨床試験で効果を評価するには、さらなる研究が必要と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
腸内細菌の治療によって、心血管系リスクのある患者の健康状態が改善するかもしれない
特定の腸内細菌の量を増やすことが、体重過多や肥満の人にとって有益かもしれないという、小規模な臨床試験の結果が、今週掲載される。Akkermansia muciniphilaは、腸内細菌の一種で、体重過多や肥満の人、2型糖尿病や炎症性腸疾患を治療していないヒトの腸内ではその数が少ない。この研究は、この細菌の投与はヒトに対して安全であり、健康状態の改善につながることを示唆している。
心血管代謝疾患の世界的な広がりを打ち勝つために、科学者たちは、腸内微生物相を標的とした介入にますます関心を向けるようになっている。以前に行われた動物モデルでの研究では、A. muciniphilaには健康増進作用があり、A. muciniphilaが肥満や耐糖能異常、インスリン抵抗性、肝臓の脂肪蓄積が減少させることが明らかになっている。
今回の概念実証研究でPatrice Caniたちは、ヒトでは、生きたA. muciniphilaや低温殺菌したA. muciniphilaは安全で、腸の忍容性が高いことを明らかにしている。合計32人のボランティアに、プラセボあるいは生きたA. muciniphila、低温殺菌したA. muciniphilaを補助食品として3か月間摂取させた。その結果、プラセボを摂取した参加者と比較すると、殺菌したA. muciniphilaを摂取した参加者のみで、インスリン感受性の改善、インスリンレベルの低下、腸障壁の改善の兆候、血中コレステロールの改善などが見られた。低温殺菌したA. muciniphilaの有益な作用が3か月以上持続するかどうかを確認するためには、また、多数の患者が参加する比較臨床試験で効果を評価するには、さらなる研究が必要である。
参考文献:
Depommier C. et al.(2019): Supplementation with Akkermansia muciniphila in overweight and obese human volunteers: a proof-of-concept exploratory study. Nature Medicine, 25, 8, 1096–1103.
https://doi.org/10.1038/s41591-019-0495-2
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