古墳時代中期の会津地方の支配層男性の復元像

 古墳時代中期の会津地方の支配層男性の復元像について報道されました。福島県喜多方市の灰塚山古墳という前方後円墳で、2017年にほぼ完全な男性遺骸が発見されました。この男性は身長158cm、華奢な体型でした。また、この男性は比較的面長で、鼻の付け根が平らな渡来系の顔つきだった、とのことです。この男性には脊椎に癒着があり、腰痛に悩まされていたことが窺えます。死亡時推定年齢は50代後半で、歯のすり減り具合から、固い物は食べておらず、同位体分析から、コメと川魚を食べていた、と推測されています。

 この研究を率いた辻秀人氏は、能登半島などを経由して古墳時代の会津地方に到来した渡来系の集団がヤマト政権の政治的な後ろ盾を得ながら支配し、前方後円墳はその現れではないか、と述べているそうです。研究の進展が楽しみです。上記報道によると、ミトコンドリアDNA(mtDNA)も解析されたとのことですが、詳細は不明で、男性が渡来系と判断された根拠に用いられたのか、分かりません。形態から「渡来系」と判断されたのでしょうか。核DNAを解析すれば、より詳細にこの男性の出自を推測できるでしょうから、今後の研究の進展が期待されます。「縄文人」との関係など日本列島における人類集団の変遷は、今後大きく進展する可能性があり、楽しみです。

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