ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』53話~56話
53話「ジーパン刑事登場」8
マカロニが殉職し、新たに一係に配属になったのはジーパンでした。ジーパンは、やはり存在感があり、初登場回から多くの視聴者に強い印象を残したのではないか、と思います。人物造形の方も、未熟な若手刑事と拳銃嫌いという設定が、今回だけではなくその後も上手く機能しており、ジーパンの登場から殉職までの1年1ヶ月ほどは、若手刑事の成長物語という側面が強くなっているように思います。マカロニに関しては、あまり成長物語といった感じはなかったのですが、1年での降板が当初は想定されていなかったこともあるのでしょうか。ジーパン以降の若手刑事の多くには、成長物語としての側面が見られるように思うので、本作の路線を決定づけるうえで、ジーパンの役割は大きかったと思います。
話の方は、ジーパンが自分の境遇を犯人と重ね合わせ、共感するところもあり、犯人も若い男性なので、青春ものといった感じになっています。犯人が狂気を秘めた役だったのは、いかにも本作の鎌田敏夫氏脚本とった感じです。それにしても、マカロニが殉職して大変なのは分かりますが、淡々とした感じでマカロニの後釜はいつ来るのですか、とボスに尋ねた殿下には驚かされました。シンコ・ゴリさん・山さん・長さんもマカロニの死を吹っ切れすぎているな、と思う描写もありましたが、ゴリさんが拳銃を持たないジーパンに怒鳴った場面で、マカロニの死を引きずっており、無理をして元気に振舞っているのだな、と明示されました。また、今回から事務員として久美ちゃんが登場したことも注目されます。この頃になると、各刑事のキャラ・若手刑事の成長物語といった基本的な構造・7人前後の刑事と事務員といった本作の一般的な印象に近づきあるように思います。マカロニ編は全体的に面白かったのですが、視聴率的な意味での本作の全盛期というか、多くの視聴者にとっての『太陽にほえろ!』像からすると、かなり異質だとは思います。
54話「汚れなき刑事魂」7
スナックで爆発事件が起き、3人が即死します。冒頭で店員の若い男性の怪しい動きが描かれ、犯人であることが強く示唆されます。その男性はジーパンの知り合いで、山さんがその男性を容疑者の一人として挙げたことにジーパンは強く反発します。ジーパンを山さん・長さん・ゴリさん、とくに山さんが教育していくといった感じで話が進み、未熟な若手刑事と教育係としてのベテラン刑事という王道的な構成となっています。けっきょくジーパンの知り合いが犯人で、若手刑事の未熟さと苦悩を強調する構成も王道的だと思います。ジーパンのアクションシーンはやはり魅力的で、最後の手錠を手で強引に外す場面はさすがにやり過ぎといった感もありますが、娯楽ドラマとしては有だと思います。メインゲストは水谷豊氏で、今となっては貴重な映像と言えるでしょう。
55話「どぶねずみ」7
銃砲店が襲撃され、一家は殺害されてライフル銃が盗まれます。犯人はすぐには事件を起こさず、捜査も行き詰りますが、ジーパンが老女に頼まれていた犬の捜索から、偶然犯人に行き当たります。事件とイヌの捜索がどう結びつくのか、気になっていたのですが、なかなか工夫されていると思います。犯人は本作ではたまに見る狂気を秘めた男性で、脚本は本作でそうした犯人を描くことの多い鎌田敏夫氏なので、いかにもといった感じです。人付き合いがあまり上手くなさそうなジーパンが、人間不信に陥っている同じく若者の犯人の心理を把握するという構造は、しっかりと計算されているな、と思います。犯人の人物像があまり掘り下げられなかったのは残念ですが、まずまず楽しめました。今回、本庁から平田昭彦氏の演じる西山警部(後に警視)が捜査に関わってきて、次の異動で七曲署の署長に赴任する、とボスに伝えます。本作の署長といえば、やはり出演期間が長期にわたっただけに、まず平田氏を思い浮かべる視聴者が多いことでしょう。西山警部がジーパンにジーパンの父親のことを話すなど、ジーパンのキャラを立てようという工夫が見られます。西山警部とジーパンとを対照的に描いた苦い結末も悪くなかったと思います。
56話「その灯を消すな」6
街を支配しようとする暴力団の前に、人々が屈服しそうになる中、若い男性をゴリさんが必死に庇う話です。かつて街を支配していた暴力団の組長が暴力団同士の抗争で人を殺してしまい、ゴリさんは怯える若い男性の証人を説得し、その証言のおかげで組長は逮捕されます。ゴリさんは証人の若い男性に、組長が出所しても必ず守る、と約束します。組長が出所することになり、ゴリさんは約束を守るべくその街に赴きます。ゴリさんは、地元の警察署に妨害され、暴力団に殴られて蹴られても耐え抜き、ついにかつて世話をした男性から重要な証言を得て、組長を逮捕に追い込みます。体力に優れた好漢であるゴリさんの個性がよく活かされており、この頃には各刑事のキャラが固まりつつあることを窺わせます。しかし、けっきょく若い男女は街を追われることになり、爽快感もあるものの、苦い結末となりました。終盤がやや急展開だったのは残念ですが、ゴリさんの活躍は楽しめました。ゴリさんが庇う若い男性を演じたのは北條清嗣(今回は北條清名義)氏で、本作の常連の一人ですが、善人役で出演したのは今回だけだと思います。
マカロニが殉職し、新たに一係に配属になったのはジーパンでした。ジーパンは、やはり存在感があり、初登場回から多くの視聴者に強い印象を残したのではないか、と思います。人物造形の方も、未熟な若手刑事と拳銃嫌いという設定が、今回だけではなくその後も上手く機能しており、ジーパンの登場から殉職までの1年1ヶ月ほどは、若手刑事の成長物語という側面が強くなっているように思います。マカロニに関しては、あまり成長物語といった感じはなかったのですが、1年での降板が当初は想定されていなかったこともあるのでしょうか。ジーパン以降の若手刑事の多くには、成長物語としての側面が見られるように思うので、本作の路線を決定づけるうえで、ジーパンの役割は大きかったと思います。
話の方は、ジーパンが自分の境遇を犯人と重ね合わせ、共感するところもあり、犯人も若い男性なので、青春ものといった感じになっています。犯人が狂気を秘めた役だったのは、いかにも本作の鎌田敏夫氏脚本とった感じです。それにしても、マカロニが殉職して大変なのは分かりますが、淡々とした感じでマカロニの後釜はいつ来るのですか、とボスに尋ねた殿下には驚かされました。シンコ・ゴリさん・山さん・長さんもマカロニの死を吹っ切れすぎているな、と思う描写もありましたが、ゴリさんが拳銃を持たないジーパンに怒鳴った場面で、マカロニの死を引きずっており、無理をして元気に振舞っているのだな、と明示されました。また、今回から事務員として久美ちゃんが登場したことも注目されます。この頃になると、各刑事のキャラ・若手刑事の成長物語といった基本的な構造・7人前後の刑事と事務員といった本作の一般的な印象に近づきあるように思います。マカロニ編は全体的に面白かったのですが、視聴率的な意味での本作の全盛期というか、多くの視聴者にとっての『太陽にほえろ!』像からすると、かなり異質だとは思います。
54話「汚れなき刑事魂」7
スナックで爆発事件が起き、3人が即死します。冒頭で店員の若い男性の怪しい動きが描かれ、犯人であることが強く示唆されます。その男性はジーパンの知り合いで、山さんがその男性を容疑者の一人として挙げたことにジーパンは強く反発します。ジーパンを山さん・長さん・ゴリさん、とくに山さんが教育していくといった感じで話が進み、未熟な若手刑事と教育係としてのベテラン刑事という王道的な構成となっています。けっきょくジーパンの知り合いが犯人で、若手刑事の未熟さと苦悩を強調する構成も王道的だと思います。ジーパンのアクションシーンはやはり魅力的で、最後の手錠を手で強引に外す場面はさすがにやり過ぎといった感もありますが、娯楽ドラマとしては有だと思います。メインゲストは水谷豊氏で、今となっては貴重な映像と言えるでしょう。
55話「どぶねずみ」7
銃砲店が襲撃され、一家は殺害されてライフル銃が盗まれます。犯人はすぐには事件を起こさず、捜査も行き詰りますが、ジーパンが老女に頼まれていた犬の捜索から、偶然犯人に行き当たります。事件とイヌの捜索がどう結びつくのか、気になっていたのですが、なかなか工夫されていると思います。犯人は本作ではたまに見る狂気を秘めた男性で、脚本は本作でそうした犯人を描くことの多い鎌田敏夫氏なので、いかにもといった感じです。人付き合いがあまり上手くなさそうなジーパンが、人間不信に陥っている同じく若者の犯人の心理を把握するという構造は、しっかりと計算されているな、と思います。犯人の人物像があまり掘り下げられなかったのは残念ですが、まずまず楽しめました。今回、本庁から平田昭彦氏の演じる西山警部(後に警視)が捜査に関わってきて、次の異動で七曲署の署長に赴任する、とボスに伝えます。本作の署長といえば、やはり出演期間が長期にわたっただけに、まず平田氏を思い浮かべる視聴者が多いことでしょう。西山警部がジーパンにジーパンの父親のことを話すなど、ジーパンのキャラを立てようという工夫が見られます。西山警部とジーパンとを対照的に描いた苦い結末も悪くなかったと思います。
56話「その灯を消すな」6
街を支配しようとする暴力団の前に、人々が屈服しそうになる中、若い男性をゴリさんが必死に庇う話です。かつて街を支配していた暴力団の組長が暴力団同士の抗争で人を殺してしまい、ゴリさんは怯える若い男性の証人を説得し、その証言のおかげで組長は逮捕されます。ゴリさんは証人の若い男性に、組長が出所しても必ず守る、と約束します。組長が出所することになり、ゴリさんは約束を守るべくその街に赴きます。ゴリさんは、地元の警察署に妨害され、暴力団に殴られて蹴られても耐え抜き、ついにかつて世話をした男性から重要な証言を得て、組長を逮捕に追い込みます。体力に優れた好漢であるゴリさんの個性がよく活かされており、この頃には各刑事のキャラが固まりつつあることを窺わせます。しかし、けっきょく若い男女は街を追われることになり、爽快感もあるものの、苦い結末となりました。終盤がやや急展開だったのは残念ですが、ゴリさんの活躍は楽しめました。ゴリさんが庇う若い男性を演じたのは北條清嗣(今回は北條清名義)氏で、本作の常連の一人ですが、善人役で出演したのは今回だけだと思います。
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