後期ホモ属の系統樹

 昨年(2018年3月)、後期ホモ属について系統・交雑関係をまとめました(関連記事)。しかし、上手く図を作成できなかったので、当ブログで取り上げた論文の図を掲載することにします。まずは、現生人類(Homo sapiens)と古代型ホモ属との交雑の論点を整理した論文(Wolf, and Akey., 2018)です(関連記事)。同論文は、おもに現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のデニソワ人(Denisovan)など古代型ホモ属との交雑を取り上げており、重要な論点が的確に整理されており、参考文献が多数引用されているので、この問題を調べるのにたいへん役立ちます。以下、同論文の図1です。
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 次は、中期更新世~青銅器時代までのヨーロッパの人類史を遺伝学的観点から検証した論文(Lazaridis., 2018)です(関連記事)。こちらはヨーロッパを対象としているので、ユーラシア東部やオセアニアやアメリカ大陸について図で詳しく取り上げられているわけではありませんが、古代DNA研究はヨーロッパを中心としてユーラシア西部において他地域よりもずっと進展しているので、現時点での詳細な系統樹はどうしても、ヨーロッパを中心としたユーラシア西部に偏ってしまいます。同論文では、ネアンデルタール人滅亡後のヨーロッパにおける現生人類の各地域集団の関係も簡潔に整理されており、たいへん有益だと思います。以下、同論文の図です。
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参考文献:
Lazaridis I.(2018): The evolutionary history of human populations in Europe. Current Opinion in Genetics & Development, 53, 21-27.
https://doi.org/10.1016/j.gde.2018.06.007

Wolf AB, Akey JM (2018) Outstanding questions in the study of archaic hominin admixture. PLoS Genet 14(5): e1007349.
https://doi.org/10.1371/journal.pgen.1007349

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