大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第10回「真夏の夜の夢」

 金栗四三たち日本の選手団はストックホルムに到着します。今回は、ストックホルムでの開会までの練習期間が描かれました。オリンピック初参加となる日本の選手は四三と三島弥彦の2人だけで、四三は孤独な状況に悩んでいました。日本選手団の監督である大森兵蔵の病状は思わしくなく、四三はさらに不安に陥ります。この時代のオリンピック参加選手は基本的に「白人」で、四三も三島体格の差や文化の違いに戸惑いつつ練習に励んでいますが、三島は「白人」選手との力の違いを思い知らされ、意気消沈します。

 今回は、「世界」に挑む近代前期の日本の若者の苦悩・挫折が描かれ、これは時期・地域を問わず普遍的な物語でもあるので、その点では王道的だと思います。三島の苦悩は、前回までの地震に満ち溢れた自己陶酔的な描写と対照的で、この落差を狙っての前回までの三島の描写だったのでしょう。オリンピックが題材、それも東京オリンピックに収束するという構造は、個人的にたいへん不愉快なのですが、連続ドラマとしてはかなり楽しめています。このところ毎週、本作の視聴率低迷が面白おかしくメディアで取り上げられていますが、制作陣には、外野の無責任な声に惑わされず、今の作風を維持してもらいたいものです。

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