協同育児と托卵を使い分けるカッコウ
協同育児と托卵を使い分けるカッコウについての研究(Riehl, and Strong., 2019)が公表されました。協同営巣する鳥類は、社会的寄生者(宿主の巣に卵を産み付けるだけで孵卵や育児をしないもの)に対して無防備です。熱帯に生息するカッコウの一種であるオニオオハシカッコウ(Crotophaga major)は一風変わっており、協同育児を行う雌と托卵する雌が混在していて、その両方を行う雌もいます。ところが、雌のオニオオハシカッコウがこうした異なる繁殖戦略をいつ、どのような理由でとるかについては、実験的証拠がありませんでした。
この研究は、オニオオハシカッコウの二つの代替的な繁殖戦略による適応度の利益の調査を目的としてパナマで実施された、11年間の現地調査の結果を報告しています。この現地調査で、個体群の雌の大部分が繁殖期当初は協同育児を行なうものの、少数の雌は、最初の巣が破壊されると、その後は托卵する、と明らかになりました。また、一度托卵した雌は、それを繰り返す傾向も見られました。この研究は、長年にわたる調査の結果、いずれの繁殖戦略の適応度の利益もほぼ同じであることを実証しました。托卵を選んだ雌は卵をより多く産みますが、寄生者の卵は孵化しないことが多いため、ヒナの生存率がより低くなります。一方、常に協同繁殖する雌が産む卵は少ないのですが、そのヒナの生存率はより高くなります。これらの知見は、オニオオハシカッコウの繁殖戦略に関する手掛かりとなっており、個体群において協同的繁殖と寄生的繁殖が、巣の捕食を避けるための代替戦略として進化してきたことを示唆します。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。
【生態学】協同育児と托卵を使い分けるカッコウが得る利益
熱帯に生息するカッコウの雌は、協同育児を行えないときに托卵することを、11年間の現地調査データから明らかにした論文が、今週掲載される。
協同営巣する鳥類は、社会的寄生者(宿主の巣に卵を産み付けるだけで孵卵や育児をしないもの)に対して無防備だ。熱帯に生息するカッコウの一種であるオニオオハシカッコウ(Crotophaga major)は、一風変わっており、協同育児を行う雌と托卵する雌が混在していて、その両方を行う雌もいる。ところが、雌のオニオオハシカッコウがこうした異なる繁殖戦略をいつ、どのような理由でとるかについては、実験的証拠がなかった。
今回Christina Riehlたちの研究グループは、オニオオハシカッコウの2つの代替的な繁殖戦略による適応度の利益を調べることを目的としてパナマで実施された11年間の現地調査の結果を報告している。この現地調査でRiehlたちは、個体群の雌の大部分が繁殖期当初は協同育児を行うが、少数の雌は、最初の巣が破壊されると、その後は托卵することを明らかにした。また、一度托卵した雌は、それを繰り返す傾向も見られた。Riehlたちは、長年にわたる調査の結果、いずれの繁殖戦略の適応度の利益もほぼ同じであることを実証した。一度も托卵したことがなく、一貫して協同育児を行ったオニオオハシカッコウは、協同育児と托卵の両方を行った個体と比べて産卵数が多く、自らの巣で育てたヒナの数も多かったため、生殖生産量の合計に差はなかった。
以上の知見は、オニオオハシカッコウの繁殖戦略に関する手掛かりとなっており、個体群において協同的繁殖と寄生的繁殖の戦術が使い分けられる仕組みを実証した。
進化学:協同繁殖を行うカッコウの代替繁殖戦術としての社会寄生
Cover Story:よく練られた繁殖戦略:オニオオハシカッコウの協同繁殖から托卵への切り替えが巣の捕食から逃れるのに役立つ仕組み
今週号では、オニオオハシカッコウ(Crotophaga major)と呼ばれる熱帯のカッコウの営巣戦略の研究で、不正行為の潜在的な利益と不利益が明らかにされている。通常この鳥は、2羽以上の雌とその配偶者が巣を共有する協同繁殖を選ぶ。しかし、この最初の巣が壊されると、雌の一部は戦術を変え、他の巣に産卵して放置し、その巣の所有者に子の世話をさせるという托卵行為に及ぶ。今回C RiehlとM Strongは、パナマでの11年間の野外調査で得られたデータを用いて、この2つの繁殖戦略の適応度利得がほぼ同じであることを示している。托卵を選んだ雌は卵をより多く産むが、寄生者の卵は孵化しないことが多いため、ヒナの生存率がより低かった。一方、常に協同繁殖する雌が産む卵は少ないが、そのヒナの生存率はより高い。今回の結果は、これら2つの繁殖行動が巣の捕食を避けるための代替戦術として進化してきたことを示唆している。
参考文献:
Riehl C, and Strong MJ.(2019): Social parasitism as an alternative reproductive tactic in a cooperatively breeding cuckoo. Nature, 567, 7746, 96–99.
https://doi.org/10.1038/s41586-019-0981-1
この研究は、オニオオハシカッコウの二つの代替的な繁殖戦略による適応度の利益の調査を目的としてパナマで実施された、11年間の現地調査の結果を報告しています。この現地調査で、個体群の雌の大部分が繁殖期当初は協同育児を行なうものの、少数の雌は、最初の巣が破壊されると、その後は托卵する、と明らかになりました。また、一度托卵した雌は、それを繰り返す傾向も見られました。この研究は、長年にわたる調査の結果、いずれの繁殖戦略の適応度の利益もほぼ同じであることを実証しました。托卵を選んだ雌は卵をより多く産みますが、寄生者の卵は孵化しないことが多いため、ヒナの生存率がより低くなります。一方、常に協同繁殖する雌が産む卵は少ないのですが、そのヒナの生存率はより高くなります。これらの知見は、オニオオハシカッコウの繁殖戦略に関する手掛かりとなっており、個体群において協同的繁殖と寄生的繁殖が、巣の捕食を避けるための代替戦略として進化してきたことを示唆します。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。
【生態学】協同育児と托卵を使い分けるカッコウが得る利益
熱帯に生息するカッコウの雌は、協同育児を行えないときに托卵することを、11年間の現地調査データから明らかにした論文が、今週掲載される。
協同営巣する鳥類は、社会的寄生者(宿主の巣に卵を産み付けるだけで孵卵や育児をしないもの)に対して無防備だ。熱帯に生息するカッコウの一種であるオニオオハシカッコウ(Crotophaga major)は、一風変わっており、協同育児を行う雌と托卵する雌が混在していて、その両方を行う雌もいる。ところが、雌のオニオオハシカッコウがこうした異なる繁殖戦略をいつ、どのような理由でとるかについては、実験的証拠がなかった。
今回Christina Riehlたちの研究グループは、オニオオハシカッコウの2つの代替的な繁殖戦略による適応度の利益を調べることを目的としてパナマで実施された11年間の現地調査の結果を報告している。この現地調査でRiehlたちは、個体群の雌の大部分が繁殖期当初は協同育児を行うが、少数の雌は、最初の巣が破壊されると、その後は托卵することを明らかにした。また、一度托卵した雌は、それを繰り返す傾向も見られた。Riehlたちは、長年にわたる調査の結果、いずれの繁殖戦略の適応度の利益もほぼ同じであることを実証した。一度も托卵したことがなく、一貫して協同育児を行ったオニオオハシカッコウは、協同育児と托卵の両方を行った個体と比べて産卵数が多く、自らの巣で育てたヒナの数も多かったため、生殖生産量の合計に差はなかった。
以上の知見は、オニオオハシカッコウの繁殖戦略に関する手掛かりとなっており、個体群において協同的繁殖と寄生的繁殖の戦術が使い分けられる仕組みを実証した。
進化学:協同繁殖を行うカッコウの代替繁殖戦術としての社会寄生
Cover Story:よく練られた繁殖戦略:オニオオハシカッコウの協同繁殖から托卵への切り替えが巣の捕食から逃れるのに役立つ仕組み
今週号では、オニオオハシカッコウ(Crotophaga major)と呼ばれる熱帯のカッコウの営巣戦略の研究で、不正行為の潜在的な利益と不利益が明らかにされている。通常この鳥は、2羽以上の雌とその配偶者が巣を共有する協同繁殖を選ぶ。しかし、この最初の巣が壊されると、雌の一部は戦術を変え、他の巣に産卵して放置し、その巣の所有者に子の世話をさせるという托卵行為に及ぶ。今回C RiehlとM Strongは、パナマでの11年間の野外調査で得られたデータを用いて、この2つの繁殖戦略の適応度利得がほぼ同じであることを示している。托卵を選んだ雌は卵をより多く産むが、寄生者の卵は孵化しないことが多いため、ヒナの生存率がより低かった。一方、常に協同繁殖する雌が産む卵は少ないが、そのヒナの生存率はより高い。今回の結果は、これら2つの繁殖行動が巣の捕食を避けるための代替戦術として進化してきたことを示唆している。
参考文献:
Riehl C, and Strong MJ.(2019): Social parasitism as an alternative reproductive tactic in a cooperatively breeding cuckoo. Nature, 567, 7746, 96–99.
https://doi.org/10.1038/s41586-019-0981-1
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