大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第1回「夜明け前」

 いよいよ今年(2019年)の大河ドラマが始まりました。東京オリンピックが題材ということで、最近では来年に迫った夏季東京オリンピックへの嫌悪感がますます蓄積されていく精神状態のなか、ずっと視聴を続けられる自信はないのですが、当ブログを始めてから12年連続で大河ドラマの初回の感想記事を掲載してきたので、今年も初回は視聴して感想記事を掲載することにしました。今年から大河ドラマの4K放送が始まります。午前9時からと早い時間の放送ですし、せっかく4K放送の視聴環境を昨年末に整えたということもありますので(関連記事)、今後の大河ドラマは午前9時から視聴することになりそうです。

 さて、初回の内容ですが、1959年、東京オリンピック招致目前の東京日本橋で、落語家の古今亭志ん生が娘の美津子とともにタクシーで寄席に向かう場面から始まります。その頃、東京オリンピック招致委員会は、招致での演説を予定した外務省の職員が重傷を負い、その代役を誰とするかで紛糾していました。しかし、代役の演説がオリンピック委員に感銘を与え、東京が1964年のオリンピック開催地と決まります。古今亭志ん生は高座で、自分が見聞してきた日本とオリンピックにまつわる噺を始めます。この後オープニングとなるのですが、音楽は大河ドラマらしからぬ軽い感じで、賛否両論ありそうです。私は、悪くないかな、と思いますが。

 この後、舞台は1909年に戻ります。まだ日本はオリンピックに参加したことはなく、前年にロンドンでオリンピックが開催され、次は1912年にストックホルムで開催される予定でした。嘉納治五郎は駐日フランス大使から、ストックホルム大会に参加するよう、要請を受けます。文部省をはじめとして各所にオリンピック参加の支援を要請する嘉納ですが、要人で好意的な態度を示したのは大隈重信くらいで、自身が校長を務める東京高等師範学校教授も反対します。嘉納も自信を喪失し、オリンピック参加要請を断ろうとしますが、オリンピックの理念とスタジアムの素晴らしさに感銘して日本の参加を約束し、アジア人として初の国際オリンピック委員となります。

 嘉納は、世界で通用する選手がいるのか、確認するために国内の予選会の開催を決断し、根強い反対のなか、着々と準備を進めていきます。しかし、嘉納は弱気になり、世界で通用するような韋駄天がいるのか、懐疑的になっていました。そうした状況で開催された国内予選会のマラソンで、脱落者が続出します。責任問題になる、可能が責め立てられるなか、先頭で戻ってきたのは金栗四三で、しかも世界記録を樹立しました。体調が悪い中、嘉納は歓喜します。

 前半?の主人公である金栗四三は今回ほとんど出番がなく、実質的な主人公は嘉納治五郎でした。全体的には、なかなか面白い話になっており、大河ドラマの初回としてはよかったのではないか、と思います。しかし、1959年と明治時代を行き来する構成は、やや散漫な印象も受けました。次回からは主人公に相応しく金栗四三の出番が多くなるのでしょうが、古今亭志ん生が狂言回し的役割を担っているので、今後もたびたび1959年と明治時代とを行き来することになりそうです。これが頻繁なようだと、本作の面白さを損なってしまうのではないか、と懸念されますが、上手くはまれば傑作になるかもしれません。上述したように東京オリンピックへの嫌悪感は蓄積されていく一方ですが、連続ドラマとしてはなかなか楽しめそうなので、視聴は最終回まで続けられそうです。ただ、感想記事の掲載は途中で挫折するかもしれませんが。

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