朝型人間の遺伝的要因
朝型人間の遺伝的要因に関する研究(Jones et al., 2019)が公表されました。この研究は、2集団(参加者総数69万7828人)における遺伝的変異を解析し、「自分は朝型人間だ」という自己申告との関連を調べました。この解析で同定された351座位(じゅうらいは24座位しか明らかになっていませんでした)のうち、327座位は、これまでクロノタイプ(特定の時間に睡眠を取る生得的傾向)と関連づけられていませんでした。自己申告は不正確であったりバイアスがかかっていたりする場合があるため、この研究は、参加者のうち活動モニターを使って睡眠の客観的測定値を得ていた8万5760人のデータを用いて、上記の知見のさらなる検証を行ないました。
その結果、クロノタイプ関連座位は睡眠のタイミングと関連しているものの、睡眠の質や睡眠時間とは関連していない、と確認されました。またこの研究は、複数の統計的検定を用いてクロノタイプと疾患の関係を調べ、朝型人間であることは、主観的幸福が相対的に高いことと相関しており、また、鬱と統合失調症のリスクが低いことと関連している、と明らかにしました。この研究は、これらの知見の大半が質問票への回答という自己申告に基づいているため、報告バイアスのかかりやすさの可能性を認めており、上述した遺伝的多様体が疾患の発症リスクにおいて因果的役割を果たしていることを確認するには、さらなる研究が必要と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【遺伝学】「朝型」人間の遺伝的要因に関する新知見
朝型人間かどうかに影響を及ぼし、メンタルヘルスに重大な意味を持つ遺伝的変異について報告する論文が、今週掲載される。このほど実施された大規模なゲノム規模関連解析は、過去の研究成果をさらに発展させたものであり、クロノタイプ(特定の時間に睡眠を取る生得的傾向)に関連する可能性のある遺伝的座位の数が24から351に増えた。
今回、Michael Weedonたちの研究グループは、2つの集団(参加者総数69万7828人)における遺伝的変異を解析して、「自分は朝型人間だ」という自己申告との関連を調べた。今回の解析で同定された座位のうち、327座位は、これまでクロノタイプと関連付けられていなかった。自己申告は、不正確であったりバイアスがかかっていたりすることがあるため、Weedonたちは、参加者のうち活動モニターを使って睡眠の客観的測定値を得ていた8万5760人のデータを用いて、上記の知見のさらなる検証を行った。その結果、クロノタイプ関連座位は睡眠のタイミングと関連しているが、睡眠の質や睡眠時間とは関連していないことが確認された。また、Weedonたちは、複数の統計的検定を用いてクロノタイプと疾患の関係を調べ、朝型人間であることは、主観的幸福が相対的に高いことと相関しており、また、うつと統合失調症のリスクが低いことと関連していることを見いだした。
Weedonたちは、今回の知見の大半が自己申告(つまり、質問票への回答)に基づいているため、報告バイアスがかかりやすい可能性があり、上述した遺伝的バリアントが疾患の発症リスクにおいて因果的役割を果たしていることを確認するためには、さらなる研究が必要であることを指摘している。
参考文献:
Jones SE. et al.(2019): Genome-wide association analyses of chronotype in 697,828 individuals provides insights into circadian rhythms. Nature Communications, 10, 343.
https://doi.org/10.1038/s41467-018-08259-7
その結果、クロノタイプ関連座位は睡眠のタイミングと関連しているものの、睡眠の質や睡眠時間とは関連していない、と確認されました。またこの研究は、複数の統計的検定を用いてクロノタイプと疾患の関係を調べ、朝型人間であることは、主観的幸福が相対的に高いことと相関しており、また、鬱と統合失調症のリスクが低いことと関連している、と明らかにしました。この研究は、これらの知見の大半が質問票への回答という自己申告に基づいているため、報告バイアスのかかりやすさの可能性を認めており、上述した遺伝的多様体が疾患の発症リスクにおいて因果的役割を果たしていることを確認するには、さらなる研究が必要と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【遺伝学】「朝型」人間の遺伝的要因に関する新知見
朝型人間かどうかに影響を及ぼし、メンタルヘルスに重大な意味を持つ遺伝的変異について報告する論文が、今週掲載される。このほど実施された大規模なゲノム規模関連解析は、過去の研究成果をさらに発展させたものであり、クロノタイプ(特定の時間に睡眠を取る生得的傾向)に関連する可能性のある遺伝的座位の数が24から351に増えた。
今回、Michael Weedonたちの研究グループは、2つの集団(参加者総数69万7828人)における遺伝的変異を解析して、「自分は朝型人間だ」という自己申告との関連を調べた。今回の解析で同定された座位のうち、327座位は、これまでクロノタイプと関連付けられていなかった。自己申告は、不正確であったりバイアスがかかっていたりすることがあるため、Weedonたちは、参加者のうち活動モニターを使って睡眠の客観的測定値を得ていた8万5760人のデータを用いて、上記の知見のさらなる検証を行った。その結果、クロノタイプ関連座位は睡眠のタイミングと関連しているが、睡眠の質や睡眠時間とは関連していないことが確認された。また、Weedonたちは、複数の統計的検定を用いてクロノタイプと疾患の関係を調べ、朝型人間であることは、主観的幸福が相対的に高いことと相関しており、また、うつと統合失調症のリスクが低いことと関連していることを見いだした。
Weedonたちは、今回の知見の大半が自己申告(つまり、質問票への回答)に基づいているため、報告バイアスがかかりやすい可能性があり、上述した遺伝的バリアントが疾患の発症リスクにおいて因果的役割を果たしていることを確認するためには、さらなる研究が必要であることを指摘している。
参考文献:
Jones SE. et al.(2019): Genome-wide association analyses of chronotype in 697,828 individuals provides insights into circadian rhythms. Nature Communications, 10, 343.
https://doi.org/10.1038/s41467-018-08259-7
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