毛皮の中の微生物を個体間で共有するオオコウモリ
オオコウモリの毛皮の中の微生物の個体間共有に関する研究(Kolodny et al., 2019)が公表されました。動物の体内や体表に存在する微生物叢(マイクロバイオーム)は環境的・社会的要因の影響を受けており、宿主の行動および健康に影響を与える、と知られています。こうした要因は、環境変化に対する個体の反応と個体群の反応を共に変化させると考えられます。しかし、微生物叢が経時的にどう変化するかを調べた研究の大多数は、ヒトまたは実験室内のモデル生物のいずれかに限られています。
この研究は、エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)の2つのコロニー(一方は飼育下、もう一方は自由生活)の毛皮および腸内の微生物叢を分析しました。コウモリの毛皮および肛門のスワブ検体を13週にわたって毎週採取した結果、任意の1日に採取された別々の個体の毛皮微生物叢の方が、別々の日に同一のコウモリから採取された毛皮微生物叢よりも類似している、と明らかになりました。また、コウモリの毛皮に見られる揮発性化合物にも同じ結果が認められました。
コウモリの毛皮微生物叢で共有されているこうした変化は、一緒にねぐらにつくなどのコロニーレベルの振る舞いが、コロニー全体の微生物の変化を協調させるように働いている、と示唆しています。対照的に、コウモリの腸内微生物叢は個体レベルで極めて顕著に変動し、そうした変動は宿主の免疫や生理状態により生じている可能性が高い、と明らかになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
オオコウモリは毛皮の中の微生物を個体間で共有する
コロニーで生息するオオコウモリたちは毛皮の中に同じ微生物群集を共有しており、それは時間の経過に伴ってみな同じように変化することを明らかにした論文が、今週掲載される。この知見は、オオコウモリのコロニーで形成される毛皮マイクロバイオームが画一的であり、個体ごとに異なる腸内マイクロバイオームとは対照的であることを示唆している。
動物の体内や体表に存在する微生物群集は、環境的・社会的要因の影響を受けており、宿主の行動および健康に影響を与えることが知られている。こうした要因は、環境変化に対する個体の反応と個体群の反応を共に変化させると考えられる。しかし、マイクロバイオームが経時的にどう変化するかを調べた研究の大多数は、ヒトまたは実験室内のモデル生物のいずれかに限られている。
Oren Kolodny、Maya Weinbergたちは今回、エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)の2つのコロニー(一方は飼育下、もう一方は自由生活)の毛皮および腸内のマイクロバイオームを分析した。コウモリの毛皮および肛門のスワブ検体を13週にわたって毎週採取した結果、任意の1日に採取された別々の個体の毛皮マイクロバイオームの方が、別々の日に同一のコウモリから採取された毛皮マイクロバイオームよりも類似していることが明らかになった。また、コウモリの毛皮に見られる揮発性化合物にも同じ結果が認められた。
コウモリの毛皮マイクロバイオームで共有されているこうした変化は、一緒にねぐらにつくなどのコロニーレベルの振る舞いがコロニー全体の微生物の変化を協調させるように働いていることを示唆している。対照的に、コウモリの腸内マイクロバイオームは個体レベルで極めて顕著に変動し、そうした変動は宿主の免疫や生理状態によって生じている可能性が高いことが分かった。
参考文献:
Kolodny O. et al.(2019): Coordinated change at the colony level in fruit bat fur microbiomes through time. Nature Ecology & Evolution, 3, 1, 116–124.
https://doi.org/10.1038/s41559-018-0731-z
この研究は、エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)の2つのコロニー(一方は飼育下、もう一方は自由生活)の毛皮および腸内の微生物叢を分析しました。コウモリの毛皮および肛門のスワブ検体を13週にわたって毎週採取した結果、任意の1日に採取された別々の個体の毛皮微生物叢の方が、別々の日に同一のコウモリから採取された毛皮微生物叢よりも類似している、と明らかになりました。また、コウモリの毛皮に見られる揮発性化合物にも同じ結果が認められました。
コウモリの毛皮微生物叢で共有されているこうした変化は、一緒にねぐらにつくなどのコロニーレベルの振る舞いが、コロニー全体の微生物の変化を協調させるように働いている、と示唆しています。対照的に、コウモリの腸内微生物叢は個体レベルで極めて顕著に変動し、そうした変動は宿主の免疫や生理状態により生じている可能性が高い、と明らかになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
オオコウモリは毛皮の中の微生物を個体間で共有する
コロニーで生息するオオコウモリたちは毛皮の中に同じ微生物群集を共有しており、それは時間の経過に伴ってみな同じように変化することを明らかにした論文が、今週掲載される。この知見は、オオコウモリのコロニーで形成される毛皮マイクロバイオームが画一的であり、個体ごとに異なる腸内マイクロバイオームとは対照的であることを示唆している。
動物の体内や体表に存在する微生物群集は、環境的・社会的要因の影響を受けており、宿主の行動および健康に影響を与えることが知られている。こうした要因は、環境変化に対する個体の反応と個体群の反応を共に変化させると考えられる。しかし、マイクロバイオームが経時的にどう変化するかを調べた研究の大多数は、ヒトまたは実験室内のモデル生物のいずれかに限られている。
Oren Kolodny、Maya Weinbergたちは今回、エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)の2つのコロニー(一方は飼育下、もう一方は自由生活)の毛皮および腸内のマイクロバイオームを分析した。コウモリの毛皮および肛門のスワブ検体を13週にわたって毎週採取した結果、任意の1日に採取された別々の個体の毛皮マイクロバイオームの方が、別々の日に同一のコウモリから採取された毛皮マイクロバイオームよりも類似していることが明らかになった。また、コウモリの毛皮に見られる揮発性化合物にも同じ結果が認められた。
コウモリの毛皮マイクロバイオームで共有されているこうした変化は、一緒にねぐらにつくなどのコロニーレベルの振る舞いがコロニー全体の微生物の変化を協調させるように働いていることを示唆している。対照的に、コウモリの腸内マイクロバイオームは個体レベルで極めて顕著に変動し、そうした変動は宿主の免疫や生理状態によって生じている可能性が高いことが分かった。
参考文献:
Kolodny O. et al.(2019): Coordinated change at the colony level in fruit bat fur microbiomes through time. Nature Ecology & Evolution, 3, 1, 116–124.
https://doi.org/10.1038/s41559-018-0731-z
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