大相撲初場所千秋楽

 今場所は大荒れとなりました。初日には3横綱・3大関が出場しましたが、稀勢の里関は4日目に引退を表明し(関連記事)、初日から4連敗の栃ノ心関は5日目から、2勝3敗となった鶴竜関は6日目から、終盤に3連敗した白鵬関は14日目から休場となりました。横綱・大関陣で15日間出場したのは大関の高安関と豪栄道関だけですが、両者ともに9勝6敗と勝ち越すのが精いっぱいでした。栃ノ心関は場所前に太股を痛め、高安関は場所直前にインフルエンザにかかり、白鵬関は手術を経ての休場明けと上位陣には苦しい材料がそろっていましたが、それにしても、横綱・大関陣がここまで崩れるとは予想していませんでした。当ブログでは最近何度も述べていますが、横綱・大関陣は高安関を除いて全員30代ですから、一気に世代交代が進むかもしれません。

 大荒れの今場所の優勝争いは、2敗の玉鷲関を先場所優勝の3敗の貴景勝関が追う展開で千秋楽を迎えました。まず玉鷲関が遠藤関と対戦して突き落としで勝ち、13勝2敗で初優勝を果たしました。確かに、玉鷲関は三役経験が割と長く、34歳という年齢の割には若い相撲を取るとは思いますが、いかに横綱・大関陣が総崩れになったとはいえ、この結果はやや意外でした。貴景勝関は豪栄道関と対戦して押し出されて負け、11勝4敗となりました。勝てば大関昇進有力だったでしょうが、千秋楽の内容があまりにも悪かったので、見送りでしょうか。

 今場所は10日目まで白鵬関が全勝で、追う力士とは星二つの差がありましたから、このまま白鵬関が独走で優勝を決めるのだろうな、と私も含めて多くの相撲愛好家が考えていたことでしょう。白鵬関は序盤には危ない相撲もあったものの、中盤には調子を上げてきたように見えましたから、全勝優勝の可能性が高いな、と10日目の時点で私は思っていたくらいでした。しかし白鵬関は、明らかに状態が悪く再出場してきた御嶽海関に11日目に敗れてから3連敗となり、14日目から休場となりました。さすがの白鵬関も、手術後の休場明けということで、調子を維持するのに苦労していたのでしょうし、全盛期からは衰えたこともあるのでしょう。今場所の鶴竜関の様子を見ていると、鶴竜関の引退は早いかもしれないので、白鵬関には何とか、若手の横綱昇進までは休場を挟みつつ現役を続けてもらいたものです。現時点では、貴景勝関が最も横綱に近いと言えるかもしれませんが、押し相撲で横綱として安定した成績を残せるのか、不安も残りますので、何とか若手力士がもう一人、早いうちに横綱に昇進してもらいたいものです。

 私が期待している逸ノ城関は6勝9敗と負け越してしまいました。今場所は上位陣にかなり勝ちましたし、強い相撲も見せましたが、攻め込まれて上体が起きた時の脆さは相変わらずです。何とか来場所は巻き返してもらいたいものです。本来ならば、今頃は照ノ富士関が横綱として君臨していたはずなのですが、来場所は序二段に陥落することになりそうで、本当に残念なことになりました。まあ、照ノ富士関の相撲は強引でしたから、仮に横綱に昇進するまで大怪我がなかったとしても、いつかは大怪我をして、横綱としては短命に終わったかもしれませんが。

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