Kate Wong「ホモ・サピエンス成功の舞台裏」
『日経サイエンス』2018年12月号の特集「新・人類学 ヒトはなぜ人間になったのか」第2部「「他者」とのかかわり」に掲載された解説です。本論文は、現生人類(Homo sapiens)が「成功(個体数と生息範囲の観点からはそう言って問題ないでしょう)」した理由について、近年の見解を紹介しています。この問題については当ブログでも以前まとめましたが(関連記事)、現生人類の起源について近年まで有力だった見解は、次の通りです。現生人類はアフリカの一地域(東部もしくは南部)において20万年前頃に出現して、6万~5万年前頃にアフリカから世界中へと拡散し、この非アフリカ系現代人の祖先集団の出アフリカは1回のみで、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)などの先住人類とは交雑せず、置換しました。
本論文は現生人類の起源に関して、アフリカ単一起源説を前提としつつも、現生人類の派生的な形態学的特徴がアフリカ各地で異なる年代・場所・集団に出現し、比較的孤立していた複数集団間の交雑も含まれる複雑な移住・交流により現生人類が形成された、との「アフリカ多地域進化説」と、現生人類とネアンデルタール人との交雑が確認されたことを紹介し、近年までの有力説が大きく修正されることになった、と指摘します。また本論文は、現生人類とネアンデルタール人とのヨーロッパでの接触が、両集団に技術的・芸術的な大発展をもたらしたのではないか、とも指摘しています。
参考文献:
Wong K. (2018)、『日経サイエンス』編集部訳「ホモ・サピエンス成功の舞台裏」『日経サイエンス』2018年12月号P62-67
本論文は現生人類の起源に関して、アフリカ単一起源説を前提としつつも、現生人類の派生的な形態学的特徴がアフリカ各地で異なる年代・場所・集団に出現し、比較的孤立していた複数集団間の交雑も含まれる複雑な移住・交流により現生人類が形成された、との「アフリカ多地域進化説」と、現生人類とネアンデルタール人との交雑が確認されたことを紹介し、近年までの有力説が大きく修正されることになった、と指摘します。また本論文は、現生人類とネアンデルタール人とのヨーロッパでの接触が、両集団に技術的・芸術的な大発展をもたらしたのではないか、とも指摘しています。
参考文献:
Wong K. (2018)、『日経サイエンス』編集部訳「ホモ・サピエンス成功の舞台裏」『日経サイエンス』2018年12月号P62-67
この記事へのコメント