『Newton』2019年1月号「創刊450号 記念大特集サピエンス」

 第一部が「人類の誕生」、第二部が「文明の芽生え」、第三部が「科学の躍進」で、執筆者は全員編集部員です。執筆協力者から期待できそうだと思い、購入しました。全体的に、一般向け雑誌であることを意識して、分かりやすい解説になっていると思います。第二部と第三部についてはよく分かりませんが、少なくとも第一部に関しては、基本的には近年の知見を反映したものになっており、なかなかよいと思います。なお、本文では芸術は現生人類(Homo sapiens)だけの営みとされていますが、年表では、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の所産と考えられる洞窟壁画(関連記事)が取り上げられているので、本文でも言及があっても良かったのではないか、と思います。年表には気温の推移が掲載されていますし、なかなか有益です。

 第二部と第三部、とくに第三部は第一部と比較して明らかに勉強不足の分野なので、復習にもなりました。第三部は科学史の解説になっており、現代社会が科学革命の成果に大きく依存していることを改めて思い知らされます。また、基礎研究の重要さが指摘されていることもよいと思います。科学革命は、世界の重要な事柄について、すでに神や賢者によりすべて示されている、とするキリスト教・イスラム教・儒教などの伝統的な知的観念とは異なり、進んで無知であることを認めたことが画期的だった、と指摘されています(関連記事)。科学革命がなぜヨーロッパで起きたのか、という問題は散々論じられているでしょうが、不勉強な分野なので、今後少しずつ関連書籍を読んでいきたいものです。

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