絶滅したホラアナグマの現生種への遺伝的影響
取り上げるのが遅れてしまいましたが、絶滅したホラアナグマの現生種への遺伝的影響に関する研究(Barlow et al., 2018)が報道されました。この研究は、71000~34000年前頃のホラアナグマ4頭のゲノム塩基配列を調べ、古代および現代のヒグマの他、アメリカグマ・ツキノワグマ・ガネグマ・パンダ・ホッキョクグマと比較しました。これらのうちホッキョクグマは、過去にヒグマとの交雑が確認されています。この研究は、塩基配列を解読した全てのヒグマのゲノムに、0.9~2.4%の割合でホラアナグマDNAの寄与があることと、ホラアナグマにも、比率は低いもののヒグマのDNAが含まれることを明らかにしました。
この研究は、ヒグマとホラアナグマは、ホラアナグマが絶滅する前に交雑したはずだと結論づけています。DNAをさらに解析すると、両種の間に遺伝子流動があった、と明らかになりました。現生人類(Homo sapiens)でも非アフリカ系現代人がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のような絶滅人類のDNAを少量有していることは知られていましたが、更新世の絶滅種のDNAが人類系統以外の現生個体群に見いだされたのは、今回が初めてです。もっとも、現生人類とネアンデルタール人は、ヒグマとホラアナグマよりも近い関係にある、とも指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
現生種の中に残るクマ絶滅種のDNA
ホラアナグマは2万5000年前に絶滅したが、そのDNAが今もヒグマの中で生き続けていることを明らかにした論文が、今週掲載される。
Axel Barlowたちは、7万1000~3万4000年前に生きていたホラアナグマ4頭のゲノム塩基配列を調べた。そして、それを古代および現代のヒグマの他、アメリカグマ、ツキノワグマ、メガネグマ、パンダ、ホッキョクグマのDNAおよびゲノム塩基配列と比較した。これらのうちホッキョクグマは、過去にヒグマとの交雑が認められている。
Barlowたちは、塩基配列を解読した全てのヒグマのゲノムに0.9~2.4%の割合でホラアナグマDNAの寄与があること、また同様に、ホラアナグマにも、比率は低いがヒグマのDNAが含まれることを明らかにした。このことからBarlowたちは、ヒグマとホラアナグマは、ホラアナグマが絶滅する前に交雑したはずであると結論付けている。DNAをさらに解析すると、両種の間に遺伝子流動があったことが明らかになった。
現代の非アフリカ人がネアンデルタール人やデニソワ人などの絶滅した古代ヒト族集団と共通のDNAを少量有していることは知られていたが、氷河時代の絶滅種のDNAがヒト系統以外の現生個体群に見いだされたのは、今回が初めてである。
参考文献:
Barlow A. et al.(2018): Partial genomic survival of cave bears in living brown bears. Nature Ecology & Evolution, 2, 1563–1570.
https://doi.org/10.1038/s41559-018-0654-8
この研究は、ヒグマとホラアナグマは、ホラアナグマが絶滅する前に交雑したはずだと結論づけています。DNAをさらに解析すると、両種の間に遺伝子流動があった、と明らかになりました。現生人類(Homo sapiens)でも非アフリカ系現代人がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のような絶滅人類のDNAを少量有していることは知られていましたが、更新世の絶滅種のDNAが人類系統以外の現生個体群に見いだされたのは、今回が初めてです。もっとも、現生人類とネアンデルタール人は、ヒグマとホラアナグマよりも近い関係にある、とも指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
現生種の中に残るクマ絶滅種のDNA
ホラアナグマは2万5000年前に絶滅したが、そのDNAが今もヒグマの中で生き続けていることを明らかにした論文が、今週掲載される。
Axel Barlowたちは、7万1000~3万4000年前に生きていたホラアナグマ4頭のゲノム塩基配列を調べた。そして、それを古代および現代のヒグマの他、アメリカグマ、ツキノワグマ、メガネグマ、パンダ、ホッキョクグマのDNAおよびゲノム塩基配列と比較した。これらのうちホッキョクグマは、過去にヒグマとの交雑が認められている。
Barlowたちは、塩基配列を解読した全てのヒグマのゲノムに0.9~2.4%の割合でホラアナグマDNAの寄与があること、また同様に、ホラアナグマにも、比率は低いがヒグマのDNAが含まれることを明らかにした。このことからBarlowたちは、ヒグマとホラアナグマは、ホラアナグマが絶滅する前に交雑したはずであると結論付けている。DNAをさらに解析すると、両種の間に遺伝子流動があったことが明らかになった。
現代の非アフリカ人がネアンデルタール人やデニソワ人などの絶滅した古代ヒト族集団と共通のDNAを少量有していることは知られていたが、氷河時代の絶滅種のDNAがヒト系統以外の現生個体群に見いだされたのは、今回が初めてである。
参考文献:
Barlow A. et al.(2018): Partial genomic survival of cave bears in living brown bears. Nature Ecology & Evolution, 2, 1563–1570.
https://doi.org/10.1038/s41559-018-0654-8
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