大河ドラマ『西郷どん』第42回「両雄激突」

 大久保一蔵(正助、利通)や岩倉具視や木戸孝允(桂小五郎)の外遊は長引き、留守政府の実質的な責任者たる西郷隆盛(吉之助)は、国内の不満と混乱を前に動かざるを得ないと決意し、新たな政策・人事には手をつけない、という岩倉との盟約に反して、江藤新平たちを新たに参議に引き立てたり、徴兵制や地租改正や学制や太陽暦への変更などといった新たな政策を推進したりします。多忙な隆盛は疲労で倒れてしまいます。

 そんな中、利通は他の外遊に出た要人よりも早く帰国しますが、留守政府を牛耳るつもりの江藤や後藤象二郎たちは利通を排斥しようとします。利通は病床の隆盛を訪ね、江藤たちを参議から排斥するよう、要求しますが、隆盛は同意しません。利通は、欧米の強勢・先進性を見てきた自分に逆らう人間を排除する、と宣言し、隆盛は、留守政府の要人と協力していけないようなら薩摩に帰れ、と言い返して、両者は決裂します。そんな中、朝鮮との外交問題が顕在化し、軍を派遣すべきか否か、政府内で意見が対立します。隆盛は、使節を派遣して交渉すべきで、自身が朝鮮に行く、と提案します。隆盛は大久保邸を訪ね、和解を図りますが、利通は会おうとしません。その後、岩倉も帰国し、伊藤博文(俊輔)は岩倉を料亭に呼び、江藤たちから政府中枢を追われた井上馨(聞多)・山県有朋とともに利通も交えて、政府の主導権を奪還する計画を立てます。参議となった利通は、内定していた隆盛の朝鮮への派遣に反対します。

 今回は隆盛と利通の決別が描かれましたが、率直に言って、描写不足だった感は否めません。同じく西郷隆盛が主人公ということで、本作と比較対象になる『翔ぶが如く』は1990年放送で、今年(2018年)と日付・曜日が一致していますが、その『翔ぶが如く』よりも現時点で1ヶ月以上進行が遅れているので、やや駆け足になってしまったように思われます。まあ、薩摩藩の下級藩士同士だった時代と、ともに中央政府の要人となった今とでは、両者の背負うものや誇りもまた違うでしょうから、今回のやり取りで修復不能な決別となってしまったのも仕方のないところだ、と好意的に解釈できるかもしれませんが。不満の残る内容が続いていますが、演技は全体的になかなかよいと思います。

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