鳥のつがいの絆を決定するのは雄の個性

 鳥のつがいの絆に関する研究(Firth et al., 2018)が公表されました。鳥類種の約90%は社会的に一雄一雌のつがいを形成し、関係が長く持続するほど高い生殖成果が伴う、と明らかになっています。しかし、そのような絆の形成に影響を与える要因は、あまり理解されていません。この研究は3年間にわたって、イギリスのオックスフォード近郊の森林に生息するシジュウカラ(Parus major)の社会的ネットワーク関係を追跡しました。その森林で捕獲した全ての鳥には個体識別用のマイクロチップが装着され、群れの中で絶えず関係し合う個々の鳥が追跡されました。その上で、標準化された「個性」検査が行なわれ、これらの個体が新たな環境の探索にどれだけ積極的であるか、すなわちどれだけ大胆であるか、調べられました。

 この研究は、交尾期が近づく中で、経時的に鳥たちの社会的ネットワーク関係を分析した結果、大胆さに欠ける雄と比較して、積極性の強い雄ほど早期に将来のパートナーと出会い、そのパートナーとより強固なネットワーク関係を、より迅速に構築する、と明らかになりました。しかし、つがいの絆の強さは、雌の個性とは無関係であることも明らかになりました。これは、個体の行動の差が動物の社会的ネットワークの構造と動態に影響を与える可能性があることを示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


鳥のつがいの絆は個性がカギである

 雄の鳥は、新たな環境を積極的に探索する大胆な個性を持っているものほど、交尾前に雌との間に強い愛着を形成することを明らかにした論文が、今週掲載される。この知見は、個体の行動の差が動物の社会的ネットワークの構造と動態に影響を与える可能性があることを示唆している。

 鳥類種の約90%は社会的に一雄一雌のつがいを形成し、関係が長く持続するほど高い生殖成果が伴うことが明らかにされている。しかし、そのような絆の形成に影響を与える要因は、あまり理解されていない。

 Josh Firthたちは、3年間にわたって英国オックスフォード近郊の森林に生息するシジュウカラ(Parus major)の社会的ネットワーク関係を追跡した。その森林で捕獲した全ての鳥には個体識別用のマイクロチップを装着し、群れの中で絶えず関係し合う個々を追跡した。その上で、標準化された「個性」検査を行い、これらの個体が新たな環境の探索にどれだけ積極的であるか、すなわちどれだけ大胆であるかを調べた。

 交尾期が近づく中で、経時的に鳥たちの社会的ネットワーク関係を分析した結果、大胆さに欠ける雄と比較して、積極性の強い雄ほど早期に将来のパートナーと出会い、そのパートナーとより強固なネットワーク関係を、より迅速に構築することが明らかになった。しかし、つがいの絆の強さは雌の鳥の個性とは無関係であることも分かった。



参考文献:
Firth JA. et al.(2018): Personality shapes pair bonding in a wild bird social system. Nature Ecology & Evolution, 2, 1696–1699.
https://doi.org/10.1038/s41559-018-0670-8

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