大河ドラマ『西郷どん』第40回「波乱の新政府」

 大久保利通(正助、一蔵)と岩倉具視は鹿児島を訪れ、東京の政府に出仕するように、との勅書を島津久光に伝えますが、久光は仮病を使って断ります。利通は西郷隆盛(吉之助)に廃藩置県の構想を伝え、政府への出仕と協力を要請します。隆盛は、諸藩から精兵を集めて天皇の軍隊を作り、改革に反対する諸勢力を牽制・鎮圧しようとします。利通は久光に東京に来るよう改めて説得しますが、久光は頑固に拒否し続けます。しかし利通は、久光の威圧に動じる様子を見せず、時代に取り残されるぞ、と久光を脅迫します。

 隆盛は熊吉とともに上京し、政府に加わります。新政府内はとても一枚岩とは言えず、利通の急進的な方針に批判的な高官は少なくありません。利通は隆盛に協力を要請し、利通の覚悟を見た隆盛は協力を約束します。しかし、贅沢に慣れた高官たちは、わざと質素な生活を見せつける隆盛を煙たがります。利通は、西洋列強に伍していくためには高官の贅沢な暮らしも必要なのだ、と隆盛を説得しますが、隆盛は納得しません。それでも隆盛は、利通が急ぐ廃藩置県に協力し、分裂しそうだった政府をまとめた結果、廃藩置県が断行されます。

 今回は新政府の内情が描かれました。隆盛は声望の高い政府要人ながら、他の腐敗した要人とは対照的な清貧なところが強調されました。これは、大河ドラマの主人公にありがちな美化とも言えますが、隆盛が新政府で浮いた存在であり、その在り様に不満を抱いていることを示すことで、後の下野を説得的に描こうとする意図ではないか、と思います。隆盛が利通に協力しつつも、不満というか違和感を抱いているところは詳しく描かれていたので、利通が外遊から帰国した後の対立の伏線としては悪くなかったのではないか、と思います。幕末~明治初期に詳しい視聴者にとっては不満の残る内容かもしれませんが、私は、何とか最終回まで視聴を続けられるくらいには楽しめています。

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