『卑弥呼』第1話「日向の女」(追記有)

 『ビッグコミックオリジナル』2018年9月20日号掲載分の感想です。待望の中村真理子氏の新作が始まりました。『天智と天武~新説・日本書紀~』の完結(関連記事)後、中村氏の新作としてカエサルの伝記が予告されてからずいぶんと経過し、今年(2018年)6月に読み切りとして『さらばカエサル』が『ビッグコミックオリジナル』に掲載されました(関連記事)。『さらばカエサル』にて「中村氏は近々再登場!!」と告知されていて楽しみにしていたのですが、卑弥呼が題材となり、今でも邪馬台国論争にはそれなりに関心があるので、本作の今後の展開には大いに期待しています。

 本当は、『天智と天武~新説・日本書紀~』の空白期間とも言うべき、天武・持統・文武朝を描く連載が始まってほしかったのですが、それは『卑弥呼』完結後の楽しみにとっておきます。もっとも、『卑弥呼』もできるだけ長く続いてほしいものではありますが。原作はリチャード・ウー氏で、長崎尚志氏の原作者名義の一つですから、この点では『イリヤッド』と同じで、その意味でもたいへん楽しみです。なお、『イリヤッド』での原作者名義は東周斎雅楽で、『イリヤッド』にはリチャード・ウー(漢字表記では呉文明)という人物が登場します(関連記事)。『イリヤッド』の最終回(関連記事)から11年以上経過し、再び『ビッグコミックオリジナル』を月2回購入することになり、日常生活における楽しみが増えました。新たにテーマを設定しようかとも思ったのですが、あまり増やし過ぎても面倒なので、当分は『天智と天武~新説・日本書紀~』に分類しておきます。


 さて、初回の内容ですが、まずは、主人公のヤノハらしき人物が、洞窟もしくは地下牢で、自分は暗闇の中で死ぬ、思い返せば、短いが波瀾万丈の人生だった、と回想する場面から始まります。おそらくこれは、今回よりもかなり先の場面なのでしょうが、これが最終回につながるのか、あるいは途中でつながってさらに物語が展開するのか、気になるところです。この冒頭の場面もそうですが、謎解き要素のかなり強い作品になりそうで、この点でも大いに楽しめそうです。

 実質的な物語は、100人以上の首が野原に晒されている場面から始まります。時は弥生時代、場所は日向(ヒムカ)です。この「ヒムカ」が具体的にどこなのか、今回は断定されていませんが、かなりの程度は推測可能だと思いますので、後述します。野原には見張りの男性が二人立っており、ヤノハ(この時点ではまだ名前と出自は明かされていません)が草陰に隠れて密かに窺っていました。やがて日食が始まり、見張りの男性二人が動揺したところを、ヤノハは相次いで襲撃して殺し、養母(ということはこの時点では不明なのですが)の首を奪い取り、立ち去ります。

 その後しばらくして、多くの人の首が晒されている野原に、ヒルメという身分の高そうな女性とその従者たちが現れます。トヨタマという従者は、この地の武器はまだ青銅なので、鉄の武器には太刀打ちできないだろう、とヒルメに語ります。やがて日食も終わり、ヒルメ一行は先を急ぎます。賊は穂波(ホミ)の国の者だろうか、とトヨタマに尋ねられたヒルメは、ここは日向なので、穂波の者が都萬(ツマ)を越えて来ることはできないだろう、と答えます。従者の男性は、内海(うちうみ)から上陸した五百木(イオキ)の海賊だろう、と言います。いつまで倭国では戦乱が続くのか、と嘆くトヨタマを、それも近く終わる、とヒルメは諭します。ヒルメたちは殺された見張り二人に気づき、見張りがいたのは祟りを恐れていたからで、槍の穂先にはこの地の「日の守(ひのもり)」の首があったに違いない、とヒルメは指摘します。従者の一人から、見張り二人は青銅の刀で殺されている(傷口を見て判断できるのでしょうか?)、と報告を受けたヒルメは、武器は劣っていても手練れがいるのだな、と感心します。賊の一団が近隣で襲撃を続けているだろう、ということから、ヒルメたちはこの場を立ち去ります。

 崖の近くにまでやって来たヒルメたちは、ヤノハが養母を埋葬しようと穴を掘っているところに遭遇します。ヤノハは警戒心と敵意を露にして刀を抜きますが、ヒルメは冷静に、自分たちは敵ではないので刀を下ろせ、とヤノハに伝えます。それでも刀を下ろさないヤノハに、ヒルメの従者の男性であるホオリが、ヒルメは暈(クマ)の国の「日の巫女の長」だ、と言ってヤノハの無礼を咎めます。ヤノハは、暈からわざわざ物見遊山にでも来たのか、と憎まれ口を叩きます。ヤノハによると、日向はどの国にも属さないものの、暈が守ることになっていたそうです。多くの者が殺された後になって何をしに来たのだ、と言いたくなるのはよく分かります。ヒルメは、日向は遠く、報せを聞いて駆けつけたが手遅れだった、と答えます。

 なぜ危険を冒してまで首を奪ったのか、と尋ねられたヤノハは、「おっかあ」が天照(アマテラス)様に召されるためだ、と答えます。ヒルメは、ヤノハが「日の守」の養女だったと悟ります。ヤノハはそれなりの年齢(10代半ば~後半?)なのに、顔や体に黥(イレズミ)を入れていない、とヒルメの従者の女性であるイクメが指摘します。『三国志』の『魏書』「烏丸鮮卑東夷伝」には、「男子無大小皆黥面文身」とあります。本作の日向では、一定以上の年齢になると、「日の守」とその後継者候補?を除いて男女は全員黥を入れる、との設定なのでしょうか。「お暈(ひがさ)さま」が欠けた時、賊(見張り二人)が動揺するのを狙って襲ったようだから、「日の守」の養女ゆえに天照様の動きが読めるのか、とヒルメは言いますが、ヤノハは反応しません。穴を掘り続けてよいのか、とヤノハに問われたヒルメは、ホオリに手伝うよう命じます。

 邑は全滅したので「日の守」は継げないだろうから、これからどうするのだ、とヒルメに問われたヤノハは、養母を供養した後は、ただひたすら生き残ることだけを考える、と答えます。本当の両親や兄弟姉妹はいないのか、とヒルメに問われたヤノハは、生みの親の顔は知らず、弟はいたが、昨夜の襲撃で逃げ遅れたので生きてはいないだろう、と答えます。ヤノハが忠義者であることから、連れ帰るよう、イクメはヒルメに進言し、自分もそう考えていた、とヒルメは答えます。しかし、トヨタマは浮かない顔で、「日の巫女」の見習いとするには年をとっている、と言います。するとヒルメは、戦部(イクサベ)に入れて鍛えるのはどうか、と提案し、イクメも賛同します。ヒルメは、養母を葬り無反応なヤノハを、自分たちに同行しないか、と誘います。イクメも、見習いとして「種智院(シュチイン)」で修業しないか、とヤノハを誘います。ヤノハは立ち上がり、ヒルメに付いてく決意を示します。ヤノハはヒルメに名を訊かれ、ここで初めてヤノハという名が明かされます。おそらくずっと後の時点からの回想でしょうが、その時の私には彼らに従うしか生きる術がなかった、と当時のヤノハの心境が語られています。

 ヒルメは、暈の国にある、「日の巫女」集団の学舎である種智院(さすがに空海との関連がある、という設定ではないでしょうが)で修業を始めます。そこにいるのは、師を除けば見習いの女性だけでした。イクメが講師として、倭国について生徒たちに教えます。倭国は八つの島からなり、100以上の国があって100年ほど各国が争っている(倭国大乱)、とイクメは解説します。生徒から戦いの原因について問われたイクメは、鉄と答えて解説を続けます。鉄の原料は韓(から)よりもたらされ、商いを独占しているのは那(ナ)・松浦(マツラ)・怡土(イト)の三国です。那国は穂波と協定を結び、川を渡って内海に出る権利を獲得しました。那国は大倭豊秋津島(オホヤマトトヨアキツシマ)および伊予之二名島(イヨノフタナシマ)の諸国と独占的に鉄の商いができるようになったわけです。那の富は倭国一で暈以上ですが、内海に接する五百木・伊予・宍戸(アナト)・伯方(ハカタ)が那に通行税を要求し、さらにその取り分をめぐって争いを起こしました。一方、鉄を入手する道が閉ざされた秋津島の他の20余国が決起し、倭国は混沌を極めています。

 このイクメの解説の場面には地図が掲載されています。ただ、当時使われていたものなのか、読者への説明の便宜的なものなのか、はっきりしません。この地図が作中設定を正確に反映しているならば、作中の諸国を『三国志』の諸国と照合すると、那=奴、松浦=末盧、怡土=伊都、穂波=不弥となりそうです。作中の地図は現代のような正確なものではないのですが、那・松浦・怡土は通説にしたがって九州北部の佐賀県~福岡県と設定されているようです。穂波は九州北東部というか、旧国名の豊前に相当するように見えます。都萬は穂波の南に位置し、旧国名の豊後に相当しそうです。しばらくは本作の舞台になりそうな暈は、現在の行政区分で言えば熊本県と鹿児島県に相当しそうです。後の熊襲とも関わりがある、という設定でしょうか。日向は地図には明記されていないのですが、暈の東で都萬の南に位置する区域が空白になっており、ここが日向のようです。後の旧国名の日向、現在の行政区分では宮崎県に相当するようです。日向の武器は鉄製でないとヒルメが語っていますが、弥生時代~古墳時代初期の宮崎県の鉄器出土数は、鹿児島県を除く九州の他県よりずっと少ないので、その意味でも、本作のヒムカは宮崎県と考えてよさそうです。ここまでは九州となります。内海は瀬戸内海で間違いなさそうです。伯方は瀬戸内海の島で、五百木・伊予・二名島は四国の国のようです。宍戸は現在の行政区分では山口県のようで、大倭豊秋津島は山口県より東の本州を指しており、吉備や畿内もその中にまとめられているようです。九州の一国たる暈の人々の視点なので、本州の国々への関心はさほど高くないのでしょうか。

 倭国大乱とのイクメの解説を聞いた生徒たちは、それを鎮めるのが暈の王であるタケル様なのですね、と目を輝かせて言います。王の名前がタケルであることからも、暈の国は後の熊襲とつながりがある、という設定のように思えます。イクメも、タケル王こそ真の日見彦(ヒミヒコ)で、タケル王に天照様のお告げが降りれば世は太平だ、と生徒たちに誇らしげに語ります。しかし、いつタケル王に平和のお告げが降りるのか、と訊かれたイクメは、分からないと答えて、それまでにお前たちは懸命に、天照様への奉仕の心・暈の国の言い伝え・漢字を学ぶのだ、と諭します。生徒たちは、漢字と言われても何のことか、分からないようです。イクメは、海の向こうには韓、帯方郡の先には巨大な帝の国があり、今は後漢と呼ばれている、漢字では、暈の国は「日」の下に「軍」と記す、つまり天照様の下で戦うという意味だ、と生徒たちに教えます。すでに、倭国では一部の人々が漢字を使っていた、という設定なのでしょうか。後漢や魏との通交の必要上、漢字を解する知識層は存在したでしょうが、その役割を担ったのは、朝鮮半島にいた漢人系役人で、日本列島に定住したか、日本列島と朝鮮半島を往復していたのではないか、と思います。ここで解説文にて、日の巫女は総勢千人で、王の側近の紫の冠位が最高で、全部で12色あり、日の巫女全員と祈祷部(イノリベ)の長であるヒルメは紫の冠位で、二番目の薄紫色の冠位は副長のウサメだ、と明かされます。7世紀初頭に制定されたとする冠位十二階につながる制度がすでにこの時代にあった、という設定なのでしょうか。

 ヤノハはイクメの講義を受けつつ、戦部で訓練を始めます。戦部の師長はククリという名の男性です。戦部とは日見彦および日見彦に仕える巫女集団を守る女性だけの近衛兵だ、とククリは説明します。お前たちにはあらゆる武器を教え込む、お前たちの命は天照様のもので、手がちぎれようとも足がもげようとも、王と日の巫女集団を守るのが使命だ、とククリは見習いの女性たちに伝えます。解説文にて、戦部は祈祷部を頂点とする多くの部の最下層で、見習のヤノハの服の色は薄黒と明かされています。この時代に、すでに6世紀の部につながるような制度があった、という設定なのかもしれません。ヤノハは、ヌカデと捔力(すもう)の訓練を始めます。この時代の捔力は、現在の相撲とは異なり、蹴り合って勝負を決めるようなものだった、とされています。ヤノハは多少苦戦しつつも相手を圧倒しますが、そのまま殺しそうな勢いだったので、周囲が慌てて止めます。ヤノハの狂気が伝わってくる描写でした。

 訓練を終えたヤノハが建物の屋根に登って景色を眺めていると、女性が話しかけてきます。あの山が山杜(ヤマト)で、国ではなく天照大御神(アマテラスオオミカミ)に一番近い聖地だ、そこで我々の年長のおよそ千人の巫女が平和を祈っている、とその女性はヤノハに説明します。その女性は、モモソと名乗ります。モモソは赤の衣を着ており、日の巫女の最高位で祈祷女見習いなのに、屋根に登ってよいのか、とヤノハに訊かれたモモソは、気分転換に外の世界を見たくなった、と答えます。モモソは、自分は祈祷女になる前に死ぬ運命なのだ、とヤノハに明かします。ヤノハにその理由を訊かれたモモソは、「トンカラリン」と答えます。それは天照がどの巫女に降るか見る命がけの儀式で、ヒルメはそれを復活させるようだ、とモモソはヤノハに明かします。疑問に思うヤノハに、倭国大乱を鎮めるには日見子(ヒミコ)がどうしても必要だ、とモモソは説明します。ヒミコとは誰だ、とヤノハに問われたモモソは、直接は答えず、暈のタケル王に天照様が降りるという話は虚構で、その虚構ゆえに倭国のほとんどの人は死ぬ運命だ、とヤノハに伝えます。なぜそんなことが分かるのか、とヤノハに問われたモモソは、私には未来が見える、と笑顔で答えます。モモソとの出会いが、自分を暗闇と死へと導いた、とヤノハが回想するところで今回は終了です。


 初回だけではまだ本作の世界観・設定がよくつかめず、その意味では謎解き要素が多いとも言えるわけで、今後どのように明かされていくのか、楽しみです。本作の舞台は明らかに九州だと思います。予告では、邪馬台国論争とも絡めて本作が紹介されていましたが、本作が邪馬台国九州説を採用している、と判断するのは時期尚早かな、と思います。本作には山杜(ヤマト)という山が登場し、邪馬台国の由来とされるのでしょうが、倭国大乱が鉄をめぐる西日本諸国の広汎な争いと設定されているようなので、それを鎮めて倭国をまとめた卑弥呼(本作では日見子?)が、新たに都を畿内というか纏向に定める、という展開も予想されます。

 まだ本作の世界観はすべて明かされていないでしょうし、日本列島に限らず重要人物も続々と登場するでしょうから、現時点で本作の今後を予想するのはなかなか困難です。そう考えると、『天智と天武~新説・日本書紀~』は、関連史料がこの時代よりはるかに多いるだけに、謎解き要素という点では本作より少なかったな、と思います。卑弥呼の時代は、『三国志』の時代でもあります。『三国志』で倭国の扱いがわりと大きいのは、倭国の朝貢および魏からの冊封に、晋王朝の実質的な開祖とも言うべき司馬懿が深く関わっているからかもしれず、その意味で、司馬懿など『三国志』の有名人物の登場も予想されます。邪馬台国論争は現代日本社会ではかなり人気のある歴史的話題で、『三国志』の時代もそれに劣らず人気のある時代なので、両者を結びつけるような展開になれば、本作が高い人気を得ることになるのではないか、と期待されます。

 まあ、あまり先のことを予想しても仕方ないので、今回だけの情報である程度分かったことに限定して述べていきます。まず、言語はある程度共通しているようです。もっとも、漫画表現として、意思疎通困難な描写にすると読者に負担がかかる、という配慮もあるのかもしれませんが。次に、天照大神信仰は、少なくともある程度広範な地域で確立しているようです。もっとも、今回読んだ限りでは普遍的な太陽神信仰といった感じで、もちろん、まだ皇祖神といった要素は見られません。もっとも、本来の皇祖神はアマテラスではなくタカミムスヒとも指摘されています(関連記事)。

 それはさておき、鉄の流通をめぐる深刻な対立や技術・経済格差はあるにせよ、少なくとも九州においては、言語・信仰・風俗に関して共通点は多いようです。しばらくは暈の国(現在の熊本県と鹿児島県?)が舞台でしょうが、九州の他国、さらには四国・本州の各国も舞台となっていき、ある程度の文化の違いはあっても、基本的には類似した世界観において抗争・提携が展開していきそうです。朝鮮半島や後漢、さらには魏も舞台となりそうで、そうなった時に、文化の違いとそれに起因する摩擦や学習がどのように描かれるのか、楽しみです。

 本作の主人公は、明示されているわけではないのですが、ヤノハと考えて間違いなさそうです。今回冒頭の、ヤノハが洞窟もしくは地下牢で死を覚悟している時点からの回想を時々挟みつつ、物語は進行していきそうです。ヤノハの回想と今回描かれた狂気の側面から推測すると、ヤノハは暗殺や各種謀略など「汚れ仕事」に手を染めることになりそうです。モモソとの出会いにより自分は暗闇と死へと導かれた、とヤノハは回想していますから、モモソとの関わり合いのなかで、ヤノハは「堕ちていく」ことになるのでしょう。本作の主題はヤノハとモモソの関係性になる、と現時点では予想しています。ヤノハも強い性格の持ち主のようですから、モモソに一方的に利用されることはないでしょうし、未来が見えるというモモソも、得体の知れないところがあるので、ヤノハに担がれるだけということはないでしょう。信頼と不信、愛情と憎悪、嫉妬と尊敬といった複雑な関係性が両者の間で描かれるのではないか、と思います。あるいは、両者の性愛的な関係も描かれるかもしれません。

 そのモモソは、おそらく多くの読者が予感しているでしょうが、後の卑弥呼だと思います。名前は、卑弥呼の人物比定において有力説だろう倭迹迹日百襲姫命に由来するのでしょう。そうだとすると、現時点では九州が舞台と思われますが、後には纏向遺跡一帯が舞台となり、箸墓古墳の築造まで描かれるのかもしれません。ともかく、色々と謎解き要素の多い作品になりそうですし、現在はまだ後漢王朝の時代ですが、後には魏王朝が成立し、司馬懿などの有名人物の登場も予想されますから、今後の展開が楽しみです。第2話も、初回に続いて巻頭カラーとのことで、『ビッグコミックオリジナル』編集部も本作にはかなり力を入れているようです。編集部もそれだけ本作に手応えを感じているのでしょうが、本作が編集部の期待以上の高い人気を得て、長期間続くよう願っています。


追記(2018年9月6日)
 都萬は『三国志』の投馬だと思います。近年では、投馬国は本州と思いこんでしまっていたので、本文執筆時には思いつきませんでした。投馬国が九州、旧国名では豊後にあるとすると、『三国志』ではそこから南に行くと邪馬台国があるとされているので、邪馬台国は現在の宮崎県、旧国名では日向にある、ということになりそうです。ただ、本文でも述べたように、モモソが後の卑弥呼(本作では、倭国においては本来、日見子という表記と設定されているようですが)である可能性は高そうなので、最終的には奈良県の纏向遺跡一帯が邪馬台国になるのではないか、と予想しています。邪馬台国は九州にも畿内にも存在した、というわけです。確か、黒岩重吾氏がそのような説を提唱していたと記憶していますが、自信はありません。日向から奈良(大和)への東遷ということで、神武東遷説話とも絡めて話が進行しそうな気もします。そうだとすると、魏王朝も描かれるでしょうし、かなり雄大な物語になりそうで、今後の展開がひじょうに楽しみです。

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