知能と神経症傾向に関連する遺伝子
知能と神経症傾向に関連する遺伝子についての二つの研究が公表されました。一方の研究(Savage et al., 2018)は、25万人以上の遺伝的データと知能の測定値を解析しました。その結果、知能に関連する205の座位(そのうち190座位が新規)と、1016の特異的な遺伝子(そのうち939遺伝子が新規)が見つかりました。この研究は、これらの解析結果に基づき、知能が高い場合にはアルツハイマー病とADHD(注意欠陥・多動性障害)にたいする防御効果が認められる、との見解を提示しています。またこの研究は、神経系の発達とシナプス構造に関連する遺伝的経路も同定しました。
もう一方の研究(Nagel et al., 2018)は、鬱病と統合失調症の重要なリスク因子である神経症傾向について調べました。この研究では、約50万人について解析が行なわれ、神経症傾向に関連する500以上の遺伝子が同定されました。この研究は、神経症傾向には2つの異なる遺伝的サブクラスターがあり、一方が鬱気分、もう一方が不安感に関連している、との見解を提示しています。これら二つの研究から、認知の神経生物学的性質と遺伝学的性質に関する新たな手掛かりがもたらされました。これらの研究で得られたデータセットは、今後の神経精神疾患の研究に役立つのではないか、と指摘されています。また、こうした遺伝子の進化過程も注目されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
知能と神経症傾向に関連する遺伝子が新たに見つかる
知能と神経症傾向に関連する数百の遺伝的座位が新たに同定され、認知機能の解明がかなり幅広く進んだことを報告する2編の論文が、今週掲載される。
今回、Danielle Posthumaたちの研究グループは、25万人以上の遺伝的データと知能の測定値を解析した。その結果、知能に関連する205の座位(うち190座位が新規)と、1016の特異的な遺伝子(うち939遺伝子が新規)が見つかった。Posthumaたちは、今回の解析結果に基づいて、知能が高い場合に、アルツハイマー病とADHDに対する防御効果が認められるという考えを示している。また、Posthumaたちは、神経系の発達とシナプス構造に関連する遺伝的経路も同定した。
もう1つの論文で、Posthumaたちは、うつ病と統合失調症の重要なリスク因子である神経症傾向について調べた。この研究では、約50万人について解析が行われ、神経症傾向に関連する500以上の遺伝子が同定された。Posthumaたちは、神経症傾向には2つの異なる遺伝的サブクラスターがあり、一方がうつ気分、もう一方が不安感に関連していると説明している。
これら2報の論文から、認知の神経生物学的性質と遺伝学的性質に関する新たな手掛かりがもたらされた。Posthumaたちは、今回の研究で得られたデータセットが今後の神経精神疾患の研究に役立つと考えている。
参考文献:
Nagel M. et al.(2018): Meta-analysis of genome-wide association studies for neuroticism in 449,484 individuals identifies novel genetic loci and pathways. Nature Genetics, 50, 7, 920–927.
https://doi.org/10.1038/s41588-018-0151-7
Savage JE. et al.(2018): Genome-wide association meta-analysis in 269,867 individuals identifies new genetic and functional links to intelligence. Nature Genetics, 50, 7, 912–919.
https://doi.org/10.1038/s41588-018-0152-6
もう一方の研究(Nagel et al., 2018)は、鬱病と統合失調症の重要なリスク因子である神経症傾向について調べました。この研究では、約50万人について解析が行なわれ、神経症傾向に関連する500以上の遺伝子が同定されました。この研究は、神経症傾向には2つの異なる遺伝的サブクラスターがあり、一方が鬱気分、もう一方が不安感に関連している、との見解を提示しています。これら二つの研究から、認知の神経生物学的性質と遺伝学的性質に関する新たな手掛かりがもたらされました。これらの研究で得られたデータセットは、今後の神経精神疾患の研究に役立つのではないか、と指摘されています。また、こうした遺伝子の進化過程も注目されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
知能と神経症傾向に関連する遺伝子が新たに見つかる
知能と神経症傾向に関連する数百の遺伝的座位が新たに同定され、認知機能の解明がかなり幅広く進んだことを報告する2編の論文が、今週掲載される。
今回、Danielle Posthumaたちの研究グループは、25万人以上の遺伝的データと知能の測定値を解析した。その結果、知能に関連する205の座位(うち190座位が新規)と、1016の特異的な遺伝子(うち939遺伝子が新規)が見つかった。Posthumaたちは、今回の解析結果に基づいて、知能が高い場合に、アルツハイマー病とADHDに対する防御効果が認められるという考えを示している。また、Posthumaたちは、神経系の発達とシナプス構造に関連する遺伝的経路も同定した。
もう1つの論文で、Posthumaたちは、うつ病と統合失調症の重要なリスク因子である神経症傾向について調べた。この研究では、約50万人について解析が行われ、神経症傾向に関連する500以上の遺伝子が同定された。Posthumaたちは、神経症傾向には2つの異なる遺伝的サブクラスターがあり、一方がうつ気分、もう一方が不安感に関連していると説明している。
これら2報の論文から、認知の神経生物学的性質と遺伝学的性質に関する新たな手掛かりがもたらされた。Posthumaたちは、今回の研究で得られたデータセットが今後の神経精神疾患の研究に役立つと考えている。
参考文献:
Nagel M. et al.(2018): Meta-analysis of genome-wide association studies for neuroticism in 449,484 individuals identifies novel genetic loci and pathways. Nature Genetics, 50, 7, 920–927.
https://doi.org/10.1038/s41588-018-0151-7
Savage JE. et al.(2018): Genome-wide association meta-analysis in 269,867 individuals identifies new genetic and functional links to intelligence. Nature Genetics, 50, 7, 912–919.
https://doi.org/10.1038/s41588-018-0152-6
この記事へのコメント