大河ドラマ『西郷どん』第30回「怪人 岩倉具視」

 一橋(徳川)慶喜に見切りをつけた西郷吉之助(隆盛)は、倒幕へと動き出し、近衛家を頼りますが、孝明帝は慶喜を頼りきっており、近衛家は情勢不利と判断して消極的です。吉之助は近衛家で岩倉具視のことを聞き、すでに岩倉と面識のある大久保一蔵(正助、利通)に、岩倉との面会を仲介してもらえないか、と頼みます。一蔵は渋りつつ吉之助を岩倉が蟄居している邸宅に案内します。吉之助は岩倉に倒幕の意志を打ち明け、岩倉は吉之助から金を受け取り、協力すると吉之助に伝えますが、岩倉は吉之助と一蔵を賭場に案内するだけで、

 吉之助に協力する様子はありません。吉之助はその賭場で、桂小五郎(木戸孝允)と再会します。桂は吉之助にたいして恨み節全開で突き放した態度を取りますが、吉之助は桂に、薩摩藩と長州藩との提携を申し出ます。桂は吉之助の提案を一蹴し、一蔵と斬り合いになりかけますが、岩倉が仲裁します。岩倉は吉之助に、倒幕は叶うかもしれない、と伝えます。吉之助は岩倉に仕えて、岩倉が大人物であることを知ります。倒幕を訴える吉之助に、自分は孝明帝から嫌われてしまった、と自暴自棄になった岩倉を、吉之助はなおも見捨てようとせず、一蔵は呆れます。吉之助に連れて来られた薩摩藩士たちに持ち上げられてもなお、自暴自棄な岩倉でしたが、息子たちが赦免され、自分も孝明帝から見捨てられていないと知り、政治への意欲を取り戻します。

 今回は岩倉と吉之助との出会いが描かれ、吉之助は一蔵だけではなく岩倉と桂にも倒幕の意志を明らかにし、物語としては第一の山場である江戸開城へとはっきりと動き出しました。岩倉の人となり、岩倉と吉之助との出会い、岩倉の復活までの経緯が描かれたのは、悪くないと思います。しかし、次回でようやく、いわゆる薩長同盟の前の吉之助と坂本龍馬とのやり取りが描かれるわけで、率直に言って進行が遅すぎると思います。同じく西郷隆盛が主人公ということで、本作と比較対象になる『翔ぶが如く』は1990年放送で、今年(2018年)と日付・曜日が一致しています。『翔ぶが如く』で薩長同盟が描かれたのは7月1日放送分で、本作では8月26日放送分になりそうですから、約2ヶ月遅れていることになります。明治編が『翔ぶが如く』と比較して随分と短くなりそうで、これでは吉之助を主人公とする意味があったのか、と疑問に思ってしまいます。

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