ストーンヘンジの埋葬者の出身地
ストーンヘンジの埋葬者の出身地に関する研究(Snoeck et al., 2018)が公表されました。ストーンヘンジは、イギリスにおける最大級の新石器時代後期の墓地遺跡で、これまでおもにその建設に関する研究が進められてきましたが、ストーンヘンジの周辺で生活していた人々やストーンヘンジに埋葬された人々については、ほとんど明らかになっていません。
この研究は、ストロンチウム同位体分析法を用いて、ストーンヘンジで発掘された25体の火葬遺体(紀元前3180~2380年と推定されています)に由来する骨の断片を再分析し、その再分析結果を現代のイギリスの植物・水・歯のデータに基づいた記録と比較しました。その結果、25体のうち15体がストーンヘンジ出身者で、残りの10体は、死ぬ直前にストーンヘンジ周辺との結びつきがなく、死亡するまでの少なくとも10年間はイギリス西部で過ごしていた可能性がひじょうに高い、と推定されています。
また遺体の火葬は、さまざまな種類の燃料を用いて、さまざまな条件下で行なわれたことも示唆されています。ストーンヘンジ周辺地域出身者と同定された遺体の火葬は、ウェセックス地方の地形と矛盾しない広大な土地で生育した樹木由来の薪を山積みにして行なわれたのにたいして、その他の遺体の火葬には、西ウェールズにあるような、樹木が密生している森林地で伐採された木材の薪が用いられた、と明らかになりました。こうした分析結果から、ストーンヘンジで発掘された遺体の一部が、別の場所で火葬に付された後、埋葬目的でストーンヘンジに運ばれてきたのではない、と推測されています。と考えている。
なお、ブリテン島では紀元前2500年頃を境に、住民の遺伝子プールのおよそ90%は置換した、と推定されています(関連記事)。ストーンヘンジを築いた集団の遺伝的影響は、ブリテン島の現代人の間ではかなり低いようです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【考古学】ストーンヘンジにウェールズ出身者も埋葬されていた
ストーンヘンジに埋葬された新石器人の一部が、地元出身でなかったことを示唆する研究について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、人間の火葬遺体の分析が新たに行われ、埋葬された人々の一部が英国西部の別の地域(西ウェールズである可能性が非常に高い)の出身者であり、埋葬するためだけにストーンヘンジまで運ばれた人もいた可能性のあることが明らかになった。
ストーンヘンジは、英国で最大級の新石器時代後期の墓地遺跡であり、これまでは主にその建設に関する研究が行われてきたが、ストーンヘンジの周辺で生活していた人々やストーンヘンジに埋葬された人々についてはほとんど分かっていない。
今回、Christophe Snoeckたちの研究グループは、ストロンチウム同位体分析法を用いて、ストーンヘンジで発掘された25体の火葬遺体(紀元前3180~2380年のものとされる)に由来する骨の断片を再分析し、その再分析結果を現代の英国の植物、水、および歯のデータに基づいた記録と比較した。その結果、Snoeckたちは、そのうち15体がストーンヘンジ出身者で、残りの10体は、死ぬ直前に地元との結び付きがなく、死亡するまでの少なくとも10年間は英国西部で過ごしていた可能性が非常に高いことが示唆されたと結論付けている。
また、今回の研究からは、遺体の火葬はさまざまな種類の燃料を用いて、さまざまな条件下で行われたことも示唆されている。地元出身者と同定された遺体の火葬は、ウェセックス地方の地形と矛盾しない広大な土地で生育した樹木由来の薪を山積みにして行われたのに対し、その他の遺体の火葬には、西ウェールズにあるような、樹木が密生している森林地で伐採された木材の薪が用いられたことが示された。Snoeckたちは以上の分析結果から、ストーンヘンジで発掘された遺体の一部が、別の場所で火葬に付されてから、埋葬目的でストーンヘンジに運ばれてきたことが示されていると考えている。
参考文献:
Snoeck C. et al.(2018): Strontium isotope analysis on cremated human remains from Stonehenge support links with west Wales. Scientific Reports, 8, 10790.
https://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-28969-8
この研究は、ストロンチウム同位体分析法を用いて、ストーンヘンジで発掘された25体の火葬遺体(紀元前3180~2380年と推定されています)に由来する骨の断片を再分析し、その再分析結果を現代のイギリスの植物・水・歯のデータに基づいた記録と比較しました。その結果、25体のうち15体がストーンヘンジ出身者で、残りの10体は、死ぬ直前にストーンヘンジ周辺との結びつきがなく、死亡するまでの少なくとも10年間はイギリス西部で過ごしていた可能性がひじょうに高い、と推定されています。
また遺体の火葬は、さまざまな種類の燃料を用いて、さまざまな条件下で行なわれたことも示唆されています。ストーンヘンジ周辺地域出身者と同定された遺体の火葬は、ウェセックス地方の地形と矛盾しない広大な土地で生育した樹木由来の薪を山積みにして行なわれたのにたいして、その他の遺体の火葬には、西ウェールズにあるような、樹木が密生している森林地で伐採された木材の薪が用いられた、と明らかになりました。こうした分析結果から、ストーンヘンジで発掘された遺体の一部が、別の場所で火葬に付された後、埋葬目的でストーンヘンジに運ばれてきたのではない、と推測されています。と考えている。
なお、ブリテン島では紀元前2500年頃を境に、住民の遺伝子プールのおよそ90%は置換した、と推定されています(関連記事)。ストーンヘンジを築いた集団の遺伝的影響は、ブリテン島の現代人の間ではかなり低いようです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【考古学】ストーンヘンジにウェールズ出身者も埋葬されていた
ストーンヘンジに埋葬された新石器人の一部が、地元出身でなかったことを示唆する研究について報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、人間の火葬遺体の分析が新たに行われ、埋葬された人々の一部が英国西部の別の地域(西ウェールズである可能性が非常に高い)の出身者であり、埋葬するためだけにストーンヘンジまで運ばれた人もいた可能性のあることが明らかになった。
ストーンヘンジは、英国で最大級の新石器時代後期の墓地遺跡であり、これまでは主にその建設に関する研究が行われてきたが、ストーンヘンジの周辺で生活していた人々やストーンヘンジに埋葬された人々についてはほとんど分かっていない。
今回、Christophe Snoeckたちの研究グループは、ストロンチウム同位体分析法を用いて、ストーンヘンジで発掘された25体の火葬遺体(紀元前3180~2380年のものとされる)に由来する骨の断片を再分析し、その再分析結果を現代の英国の植物、水、および歯のデータに基づいた記録と比較した。その結果、Snoeckたちは、そのうち15体がストーンヘンジ出身者で、残りの10体は、死ぬ直前に地元との結び付きがなく、死亡するまでの少なくとも10年間は英国西部で過ごしていた可能性が非常に高いことが示唆されたと結論付けている。
また、今回の研究からは、遺体の火葬はさまざまな種類の燃料を用いて、さまざまな条件下で行われたことも示唆されている。地元出身者と同定された遺体の火葬は、ウェセックス地方の地形と矛盾しない広大な土地で生育した樹木由来の薪を山積みにして行われたのに対し、その他の遺体の火葬には、西ウェールズにあるような、樹木が密生している森林地で伐採された木材の薪が用いられたことが示された。Snoeckたちは以上の分析結果から、ストーンヘンジで発掘された遺体の一部が、別の場所で火葬に付されてから、埋葬目的でストーンヘンジに運ばれてきたことが示されていると考えている。
参考文献:
Snoeck C. et al.(2018): Strontium isotope analysis on cremated human remains from Stonehenge support links with west Wales. Scientific Reports, 8, 10790.
https://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-28969-8
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