伊藤詩織氏宅の盗聴器

 伊藤詩織氏の自宅で盗聴器が発見された、との情報が拡散しているようです。BBCのドキュメンタリー「Japan’s Secret Shame(日本の秘められた恥)」でそのような場面があったそうですが、私は視聴できていなので、断定はできません。ただ、「まあ、そもそもドキュメンタリーのなかでは盗聴器が見つかったとは明言してないですからね」との指摘もあります。じっさい、BBCの記事でも、「伊藤氏が簡易版の盗聴探知機を買い求め、自宅内を調べてみる様子も映し出した」とはありますが、盗聴器が発見されたとは明言されていません。盗聴探知機が反応したとの情報もあるようですが、それは電磁波の発生源が見つかっただけで、おそらくは室内照明のスイッチだろう、との指摘もあります。また、伊藤氏が「あった」と明言した、との情報もありますが、伊藤氏の発言は「なにかあっても、やっぱりあったんだ、と思う」とのことで、盗聴器を指していない、との指摘もあります。

 もちろん、伊藤氏宅にじっさいに盗聴器が仕掛けられていた可能性もありますが、少なくとも現時点では、伊藤氏宅に盗聴器が仕掛けられていたとの認識を前提に、安倍政権、さらには日本社会を批判するのは、ひじょうに筋が悪いというか、やるべきではないと思います。ただ、国会議員も含めてさまざまな人々から散々罵倒された伊藤氏が、盗聴器が仕掛けられたのではないか、と疑ったとしても不思議ではないでしょうから、盗聴器の件で伊藤氏を批判することもまた問題ではないか、とも思います。

 伊藤氏の件は、広く日本社会、さらには人類社会に一般的に見られる問題です。問題を絞ると、日本の報道業界(日本に限らないのでしょうが)では伊藤氏のような件は珍しくなく、立場の強い者が弱い者を性的に搾取してきた構造が根深くあるので、日本の報道機関は伊藤氏の件に冷淡(だと私には思えました)だったのではないか、と邪推してしまいます。これまで、被害者は泣き寝入りしてきたことが多かったでしょうから、この点で伊藤氏の功績は大きいと思います。また、こうした性的搾取において加害者側の政治的立場は固定的ではなく、そのため、安倍政権に否定的な報道機関の動きも鈍いのではないか、とも邪推したくなります。

 個人的には、安倍首相最大の問題点は政権の私物化にあると考えていますが、それはよく報道されている一連の醜聞ではなく、憲法改正にあまりにも前のめりであることだと思います。率直に言って、安倍首相にとって個人的思い入れの強い憲法改正が政権運営の大前提にあり、それが一時しのぎ的な経済運営などの政策にも反映されているのではないか、と推測しています。確かに、第二次以降の安倍政権で景気は回復したと思います。詳しくは言えませんが、私の業務上、リーマンショックからの1年間ほどや民主党政権期と比較して、この点は強く実感しています。しかし、好景気とはいっても、おそらく私も含めて多くの人にとっては、生活水準が向上したわけでも将来の展望が明るくなったわけでもないでしょう。どうも、安倍首相は、憲法改正まで一定以上の支持と求心力を確保し続ければよく、その後、自分の政権の政策の結果、日本社会がどうなるかにはあまり関心がないのではないか、とさえ思います。まあ、こうしは問題に関してはあまりにも不勉強なので、いつかある程度以上まとまった記事を当ブログに掲載したい、とは思っていますが。

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