仲間が危険を冒すと自分も危険を冒しやすい

 危険性を伴う選択における他者への影響に関する研究(Tomova, and Pessoa., 2018)が公表されました。この研究は、18~25歳の学生52人に、危険を冒す行動の測定を目的とした実験室内での課題を行なわせました。この課題は、被験者が空気入れを使って風船をふくらませて金銭を得るというもので、空気入れのレバーを押す回数が増えると風船が爆発して、被験者は金銭を得られなくなる。1回目の試験終了時に、被験者はレバーを押す回数を決めた後で、他の被験者が何回レバーを押すことにしたのか、聞かされましたが、実際には、あらかじめ決まっていた回数を告げられました。

 次に被験者には、レバーを押す回数を変更する機会が与えられました。その結果、被験者は、仲間が危険性の高い行動を取ると思われる時には自分も危険性の高い行動を取り、反対に仲間が危険性の低い行動を取ると思われる時には自分も危険性の低い行動を取りました。ソーシャルメディアや新たな方式の情報技術により、他人のライフスタイルや意見に関する情報を入手しやすくなっているため、自身の危険な行動に他人の選択がいかに影響し得るかを理解することがますます重要になってきている、とこの研究は指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【人間行動学】学生は「仲間が危険を冒すなら自分も危険を冒す」ことになりやすい

 危険な行動を取る仲間が近くにいるという状況が、危険を伴う行動の選択に影響を及ぼす可能性のあることを示唆する論文が、今週掲載される。今回の研究では、被験者に実験室内で課題を遂行させ、仲間が自分よりも危険な行動を取ったことを知ると、被験者は、より危険性が高い行動を選択する傾向があることを示した。また、仲間が自分より危険性の低い行動を選んだことが分かると、被験者は危険性の低い行動を選んだ。

 Livia TomovaとLuiz Pessoaは、18~25歳の学生52人に、危険を冒す行動の測定を目的とした実験室内での課題を行わせた。この課題は、被験者が空気入れを使って風船をふくらませて金銭を得るというもので、空気入れのレバーを押す回数が増えると風船が爆発して、被験者は金銭を得られなくなる。1回目の試験が終わったところで、被験者は、レバーを押す回数を決めた後で、他の被験者が何回レバーを押すことにしたのかを聞かされた(実際は、あらかじめ決まっていた回数を告げられた)。次に被験者には、レバーを押す回数を変更する機会が与えられた。その結果、被験者は、仲間が危険性の高い行動を取ると思われる時には自分も危険性の高い行動を取り、反対に仲間が危険性の低い行動を取ると思われる時には自分も危険性の低い行動を取った。

 ソーシャルメディアや新たな方式の情報技術によって他人のライフスタイルや意見に関する情報を入手しやすくなっているため、著者たちは、自身の危険な行動に他人の選択がいかに影響し得るかを理解することがますます重要になってきている、との考えを示している。



参考文献:
Tomova L, and Pessoa L.(2018): Information about peer choices shapes human risky decision-making. Scientific Reports, 8, 5129.
https://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-23455-7

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