中国における対北朝鮮認識・感情
中華人民共和国における朝鮮民主主義人民共和国への認識・感情について、これまでそれなりに新聞や雑誌などで読んできましたが、記憶が曖昧になってきたので、備忘録として検索して見つけた近年の記事を引用し、短い雑感を述べておきます。大韓民国外交部が統一研究院に発注し、2017年末に作成された「中国人の韓国に対する認識調査」報告書には、中国の一般人1000人を対象に2017年9月19日~10月19日に行なわれた個別面談調査の結果が掲載されているそうです(関連記事)。
それによると、中国人の周辺8ヶ国にたいする好感度調査(10点満点)は、アメリカ合衆国(5.84点)→日本(4.49点)→ロシア(3.77点)→インド(3.44点)→韓国(3.40点)→ベトナム(3.37点)→フィリピン(3.31点)→北朝鮮(3.23点)の順番だったそうです。アメリカ合衆国がずば抜けて、日本はやや抜けて、ロシアは頭一つ抜けて高い感がありますが、インド・韓国・ベトナム・フィリピン・北朝鮮では大きな差はない、と言えそうです。
こうして見ると、米中関係には競合的側面も多分にあるとはいえ、やはり多くの中国人にとってアメリカ合衆国は憧れの先進国という印象が強いのでしょう。それは、政府間の関係が悪い日本にたいしても同様なのだと思います。日本は衰退国家と言われ続けていそうですし、その認識は実態としてかなり妥当なところもあると思いますが、少なからぬ中国人にとって憧れる要素があることも確かなのでしょう。もちろん、それが虚像である側面も多分にあるでしょうが、それだけとも言えないとは思います。ロシアに対する好感度の高さは、政治的関係が少なくとも表面的には良好であることが大きいのかもしれませんが、かつての社会主義国の模範という印象がまだあるためなのかもしれません。
残りの5ヶ国にたいする認識はさほど変わりませんが、これは、まだ中国人にとって模範とすべき国ではない、との印象が強いためでしょうか。この中では、政治的には対立する側面も少なくないインドに対する好感度が最も高いのは注目されます。あるいは、将来、中国にとって強力な競合相手になりそうだ、との警戒を込めた敬意もあるのでしょうか。韓国に対する好感度は高くありませんが、注目されるのは、50代では4.33点と高いのに、10代では2.76点と低いことです。若い世代の中国人にとって、韓国はもはや完全に格下の国ということでしょうか。門外漢なので、的外れなことを言っているかもしれませんが。
ベトナムとフィリピンは中国との間に深刻な領土問題を抱えていますが、中国にとって唯一の同盟国とさえ言えるかもしれない北朝鮮は、その両国よりも好感度が低く、最下位となっています。中国では2018年になって憲法改正により国家主席の任期が撤廃されましたが、これにたいして、「ああ、われわれは北朝鮮になるのか」と嘆きの声が挙がったそうです(関連記事)。これは政府批判となるので削除されたそうですが、中国人の北朝鮮にたいする軽蔑が感じられ、「唯一の同盟国」にも関わらず、領土問題で揉めている日本・ベトナム・フィリピンよりも好感度が低かったのは、もっともな結果なのかもしれません。
じっさい、北朝鮮で2011年末に金正恩政権が発足して以降、中国では「棄朝鮮」「厭朝鮮」関連の論調が多く見られるようになり、近年では、2013~2014年頃と比較して、各種媒体で幅広く公然と議論されるようになって、中国の報道機関では以前とは異なり、北朝鮮の最高指導者である金正恩氏にたいする批判が公然となされているそうです(関連記事)。中国においてこうした言説が許可されているということは、中国の政治指導部にとって北朝鮮は丁重に扱い配慮すべき対象ではなく、国内世論を圧力に使ってもよいような低く見ている存在ということなのでしょう。
今年になって、金正恩委員長が中国の習近平首席と2回会談しましたが、だからといって、中朝双方の政治指導層の間の相互不信が解消されたわけではないでしょうし、中国人の間の対北朝鮮感情が改善されたわけでもないでしょう。北朝鮮における一般国民の対中感情がどのようなものか、信頼できる情報がなさそうなので、よく分かりません。北朝鮮政府が意図的に反感を煽ったせいで、北朝鮮国民の間では最近、反日感情より反中感情の方が強くなっている、との情報もありますが(関連記事)、北朝鮮がせめて現在の中国並に開放的な社会にならないと、その真偽を論ずることは難しそうです。
それによると、中国人の周辺8ヶ国にたいする好感度調査(10点満点)は、アメリカ合衆国(5.84点)→日本(4.49点)→ロシア(3.77点)→インド(3.44点)→韓国(3.40点)→ベトナム(3.37点)→フィリピン(3.31点)→北朝鮮(3.23点)の順番だったそうです。アメリカ合衆国がずば抜けて、日本はやや抜けて、ロシアは頭一つ抜けて高い感がありますが、インド・韓国・ベトナム・フィリピン・北朝鮮では大きな差はない、と言えそうです。
こうして見ると、米中関係には競合的側面も多分にあるとはいえ、やはり多くの中国人にとってアメリカ合衆国は憧れの先進国という印象が強いのでしょう。それは、政府間の関係が悪い日本にたいしても同様なのだと思います。日本は衰退国家と言われ続けていそうですし、その認識は実態としてかなり妥当なところもあると思いますが、少なからぬ中国人にとって憧れる要素があることも確かなのでしょう。もちろん、それが虚像である側面も多分にあるでしょうが、それだけとも言えないとは思います。ロシアに対する好感度の高さは、政治的関係が少なくとも表面的には良好であることが大きいのかもしれませんが、かつての社会主義国の模範という印象がまだあるためなのかもしれません。
残りの5ヶ国にたいする認識はさほど変わりませんが、これは、まだ中国人にとって模範とすべき国ではない、との印象が強いためでしょうか。この中では、政治的には対立する側面も少なくないインドに対する好感度が最も高いのは注目されます。あるいは、将来、中国にとって強力な競合相手になりそうだ、との警戒を込めた敬意もあるのでしょうか。韓国に対する好感度は高くありませんが、注目されるのは、50代では4.33点と高いのに、10代では2.76点と低いことです。若い世代の中国人にとって、韓国はもはや完全に格下の国ということでしょうか。門外漢なので、的外れなことを言っているかもしれませんが。
ベトナムとフィリピンは中国との間に深刻な領土問題を抱えていますが、中国にとって唯一の同盟国とさえ言えるかもしれない北朝鮮は、その両国よりも好感度が低く、最下位となっています。中国では2018年になって憲法改正により国家主席の任期が撤廃されましたが、これにたいして、「ああ、われわれは北朝鮮になるのか」と嘆きの声が挙がったそうです(関連記事)。これは政府批判となるので削除されたそうですが、中国人の北朝鮮にたいする軽蔑が感じられ、「唯一の同盟国」にも関わらず、領土問題で揉めている日本・ベトナム・フィリピンよりも好感度が低かったのは、もっともな結果なのかもしれません。
じっさい、北朝鮮で2011年末に金正恩政権が発足して以降、中国では「棄朝鮮」「厭朝鮮」関連の論調が多く見られるようになり、近年では、2013~2014年頃と比較して、各種媒体で幅広く公然と議論されるようになって、中国の報道機関では以前とは異なり、北朝鮮の最高指導者である金正恩氏にたいする批判が公然となされているそうです(関連記事)。中国においてこうした言説が許可されているということは、中国の政治指導部にとって北朝鮮は丁重に扱い配慮すべき対象ではなく、国内世論を圧力に使ってもよいような低く見ている存在ということなのでしょう。
今年になって、金正恩委員長が中国の習近平首席と2回会談しましたが、だからといって、中朝双方の政治指導層の間の相互不信が解消されたわけではないでしょうし、中国人の間の対北朝鮮感情が改善されたわけでもないでしょう。北朝鮮における一般国民の対中感情がどのようなものか、信頼できる情報がなさそうなので、よく分かりません。北朝鮮政府が意図的に反感を煽ったせいで、北朝鮮国民の間では最近、反日感情より反中感情の方が強くなっている、との情報もありますが(関連記事)、北朝鮮がせめて現在の中国並に開放的な社会にならないと、その真偽を論ずることは難しそうです。
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