子供は外国語を話す相手でも声の調子から感情を認識できる
子供が外国語を話す相手の感情を認識できるのか、検証した研究(Chronaki et al., 2018)が公表されました。この研究は、外国語の経験のない子供57人と若年成人22人に感情音声認識課題を実施しました。この課題では、声優が、怒り・幸福・悲しみ・恐怖・中間状態のいずれかを表現した声で疑似文を読み、被験者はそれを聞いて読み手の感情を判断します。課題は、被験者の母国語(英語)とスペイン語・中国語・アラビア語の3外国語で実施されました。
その結果、子供たちは、母国語の場合に感情声音をより正確に認識できるものの、外国語の場合でも感情声音を認識できる、と明らかになりました。また子供たちは、幸福や恐怖を表現した声よりも、怒りや悲しみを表現した声をより正確に認識できました。この課題では無意味な内容の疑似文を用いたため、感情の認識は、言語的側面ではなく発声的側面に特異なものだ、と指摘されています。さらに本論文は、他人の声を聞いて、何を言っているかではなく、声音(音の高低・音量・リズム)から感情を認識する能力は小児期から備わっており普遍的ではあるものの、社会・文化的規範を背景として母国語の方が正確な感情の認識ができるという「内集団優位性」も見られる、と指摘しています。
また本論文は、感情音声の認識能力が、小児期から青年期よりも、青年期から成人期の間に大きく向上することを明らかにしました。これは、青年期が感情認識技能の発達にとって重要な時期であることを示唆しています。声の調子から感情を認識できる能力は、人類進化史においてかなり古い起源を有するというよりも、他の動物にも現代人と似たような能力は備わっており、ひじょうに古い進化的起源を有するのではないか、と思われます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【人間行動】子どもは外国語であっても、その声の調子から相手の感情を認識できる
子どもは、声音から相手の感情を認識でき、母国語の方が正確に認識できるが、外国語であってもそうした感情を認識できるということを示した論文が、今週掲載される。
今回、Georgia Chronakiたちの研究グループは、外国語の経験のない子ども(57人)と若年成人(22人)に感情音声認識課題を実施した。この課題では、声優が、怒り、幸福、悲しみ、恐怖、中間状態のいずれかを表現した声で疑似文を読み、被験者はそれを聞いて読み手の感情を判断する。課題は、被験者の母国語(英語)と3つの外国語(スペイン語、中国語、アラビア語)で行われた。
その結果、子どもたちは、母国語の場合に感情声音をより正確に認識できるが、外国語の場合でも感情声音を認識できることが分かった。また、子どもたちは、幸福や恐怖を表現した声よりも、怒りや悲しみを表現した声をより正確に認識できた。今回の課題では無意味な内容の疑似文を用いたため、感情の認識は、言語的側面ではなく発声的側面に特異なものだとChronakiたちは考えている。また、Chronakiたちは、他人の声を聞いて、何を言っているかではなく、声音(音の高低、音量、リズム)から感情を認識する能力は、小児期から備わっている普遍的な能力だが、社会・文化的規範を背景として母国語の方が正確な感情の認識ができるという「内集団優位性」も見られるという考えを示している。
またChronakiたちは、感情音声の認識能力が、小児期から青年期よりも、青年期から成人期の間に大きく向上することを明らかにした。これは、青年期が感情認識技能の発達にとって重要な時期であることを示唆している。
参考文献:
Chronaki G. et al.(2018): The development of cross-cultural recognition of vocal emotion during childhood and adolescence. Scientific Reports, 8, 8659.
https://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-26889-1
その結果、子供たちは、母国語の場合に感情声音をより正確に認識できるものの、外国語の場合でも感情声音を認識できる、と明らかになりました。また子供たちは、幸福や恐怖を表現した声よりも、怒りや悲しみを表現した声をより正確に認識できました。この課題では無意味な内容の疑似文を用いたため、感情の認識は、言語的側面ではなく発声的側面に特異なものだ、と指摘されています。さらに本論文は、他人の声を聞いて、何を言っているかではなく、声音(音の高低・音量・リズム)から感情を認識する能力は小児期から備わっており普遍的ではあるものの、社会・文化的規範を背景として母国語の方が正確な感情の認識ができるという「内集団優位性」も見られる、と指摘しています。
また本論文は、感情音声の認識能力が、小児期から青年期よりも、青年期から成人期の間に大きく向上することを明らかにしました。これは、青年期が感情認識技能の発達にとって重要な時期であることを示唆しています。声の調子から感情を認識できる能力は、人類進化史においてかなり古い起源を有するというよりも、他の動物にも現代人と似たような能力は備わっており、ひじょうに古い進化的起源を有するのではないか、と思われます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【人間行動】子どもは外国語であっても、その声の調子から相手の感情を認識できる
子どもは、声音から相手の感情を認識でき、母国語の方が正確に認識できるが、外国語であってもそうした感情を認識できるということを示した論文が、今週掲載される。
今回、Georgia Chronakiたちの研究グループは、外国語の経験のない子ども(57人)と若年成人(22人)に感情音声認識課題を実施した。この課題では、声優が、怒り、幸福、悲しみ、恐怖、中間状態のいずれかを表現した声で疑似文を読み、被験者はそれを聞いて読み手の感情を判断する。課題は、被験者の母国語(英語)と3つの外国語(スペイン語、中国語、アラビア語)で行われた。
その結果、子どもたちは、母国語の場合に感情声音をより正確に認識できるが、外国語の場合でも感情声音を認識できることが分かった。また、子どもたちは、幸福や恐怖を表現した声よりも、怒りや悲しみを表現した声をより正確に認識できた。今回の課題では無意味な内容の疑似文を用いたため、感情の認識は、言語的側面ではなく発声的側面に特異なものだとChronakiたちは考えている。また、Chronakiたちは、他人の声を聞いて、何を言っているかではなく、声音(音の高低、音量、リズム)から感情を認識する能力は、小児期から備わっている普遍的な能力だが、社会・文化的規範を背景として母国語の方が正確な感情の認識ができるという「内集団優位性」も見られるという考えを示している。
またChronakiたちは、感情音声の認識能力が、小児期から青年期よりも、青年期から成人期の間に大きく向上することを明らかにした。これは、青年期が感情認識技能の発達にとって重要な時期であることを示唆している。
参考文献:
Chronaki G. et al.(2018): The development of cross-cultural recognition of vocal emotion during childhood and adolescence. Scientific Reports, 8, 8659.
https://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-26889-1
この記事へのコメント