協力行動と不確実性の許容との関係
協力行動と不確実性の許容との関係についての研究(Vives, and FeldmanHall., 2018)が公表されました。心理学と経済学においてこれまで、リスク(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっている場合)と多義性(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっていない場合)という2種類の不確実性が明らかになっています。この2種類の不確実性に対する耐性には、個人差のあることが知られています。
この研究は、女性106人と男性94人から構成される計200人のボランティアの被験者を対象として、一連の実験を実施しました。最初の実験では、被験者が単独でギャンブルゲームを行ない、リスクと不確実性に対する各人の耐性が評価されました。次の実験では、被験者が他のプレーヤーらと協力すべきかどうかを決めるソーシャルゲームを行ないました。協力行動は協力する双方のプレーヤーの利益になる可能性がありましたが、協力者が裏切られて損をするリスクを伴っていました。
以上の実験の結果から、多義性に対する耐性と向社会的行動の量は正の相関関係にある、と明らかになりました。どの程度報われる可能性があるのかを分からなくてもリスクを負うことに前向きな人ほど、他人と協力したり、他人を信頼したりしやすい、というわけです。これに対して、リスクに対する耐性と社会的意思決定の間に関連は認められなかった。この研究は、人間が他人を信頼するかどうかの決定と勝つ確率の分からないギャンブルとを同視しており、多義的な不確実性に対する耐性という性格特性が、社会的行動を促進する上で役立っている、との見解を提示しています得。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【心理学】不確実性を許容する心が協力行動を生み出す
どの程度報われる可能性があるのかを分からなくてもリスクを負うことに前向きな人ほど、他人と協力したり、他人を信頼したりしやすいという考えを示した論文が、今週掲載される。
心理学者と経済学者はこれまでに、リスク(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっている場合)と多義性(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっていない場合)という2種類の不確実性を明らかにしている。この2種類の不確実性に対する耐性には、個人差のあることが知られている。
今回、Oriel FeldmannHallの研究チームは、合計200人(女性106人、男性94人)のボランティアの被験者を対象として、一連の実験を実施した。最初の実験では、被験者が単独でギャンブルゲームを行い、リスクと不確実性に対する各人の耐性が評価された。次の実験では、被験者が他のプレーヤーらと協力すべきかどうかを決めるソーシャルゲームを行った。協力行動は協力する双方のプレーヤーの利益になる可能性があったが、協力者が裏切られて損をするリスクを伴った。以上の実験の結果から、多義性に対する耐性と向社会的行動の量は正の相関関係にあることが判明した。これに対して、リスクに対する耐性と社会的意思決定の間に関連は認められなかった。
FeldmannHallたちは、我々が、他人を信頼するかどうかの決定と勝つ確率が分からないギャンブルとを同視しており、多義的な不確実性に対する耐性という性格特性が我々の社会的行動を促進する上で役立っているという考えを示している。
参考文献:
Vives ML, and FeldmanHall O.(2018): Tolerance to ambiguous uncertainty predicts prosocial behavior. Nature Communications, 9, 2156.
https://dx.doi.org/10.1038/s41467-018-04631-9
この研究は、女性106人と男性94人から構成される計200人のボランティアの被験者を対象として、一連の実験を実施しました。最初の実験では、被験者が単独でギャンブルゲームを行ない、リスクと不確実性に対する各人の耐性が評価されました。次の実験では、被験者が他のプレーヤーらと協力すべきかどうかを決めるソーシャルゲームを行ないました。協力行動は協力する双方のプレーヤーの利益になる可能性がありましたが、協力者が裏切られて損をするリスクを伴っていました。
以上の実験の結果から、多義性に対する耐性と向社会的行動の量は正の相関関係にある、と明らかになりました。どの程度報われる可能性があるのかを分からなくてもリスクを負うことに前向きな人ほど、他人と協力したり、他人を信頼したりしやすい、というわけです。これに対して、リスクに対する耐性と社会的意思決定の間に関連は認められなかった。この研究は、人間が他人を信頼するかどうかの決定と勝つ確率の分からないギャンブルとを同視しており、多義的な不確実性に対する耐性という性格特性が、社会的行動を促進する上で役立っている、との見解を提示しています得。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【心理学】不確実性を許容する心が協力行動を生み出す
どの程度報われる可能性があるのかを分からなくてもリスクを負うことに前向きな人ほど、他人と協力したり、他人を信頼したりしやすいという考えを示した論文が、今週掲載される。
心理学者と経済学者はこれまでに、リスク(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっている場合)と多義性(将来的な結果のそれぞれの発生確率が分かっていない場合)という2種類の不確実性を明らかにしている。この2種類の不確実性に対する耐性には、個人差のあることが知られている。
今回、Oriel FeldmannHallの研究チームは、合計200人(女性106人、男性94人)のボランティアの被験者を対象として、一連の実験を実施した。最初の実験では、被験者が単独でギャンブルゲームを行い、リスクと不確実性に対する各人の耐性が評価された。次の実験では、被験者が他のプレーヤーらと協力すべきかどうかを決めるソーシャルゲームを行った。協力行動は協力する双方のプレーヤーの利益になる可能性があったが、協力者が裏切られて損をするリスクを伴った。以上の実験の結果から、多義性に対する耐性と向社会的行動の量は正の相関関係にあることが判明した。これに対して、リスクに対する耐性と社会的意思決定の間に関連は認められなかった。
FeldmannHallたちは、我々が、他人を信頼するかどうかの決定と勝つ確率が分からないギャンブルとを同視しており、多義的な不確実性に対する耐性という性格特性が我々の社会的行動を促進する上で役立っているという考えを示している。
参考文献:
Vives ML, and FeldmanHall O.(2018): Tolerance to ambiguous uncertainty predicts prosocial behavior. Nature Communications, 9, 2156.
https://dx.doi.org/10.1038/s41467-018-04631-9
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