完新世最初期の急激な気候変動に対応した人類
完新世最初期の急激な気候変動への人類の対応に関する研究(Blockley et al., 2018)が公表されました。この研究は、イギリスのノースヨークシャー州にある中石器時代のスターカー(Star Carr)遺跡に隣接する湖の堆積物を調べました。スターカー遺跡は、湿地の狩猟採集民の営みがきわめて良好に保存されていることで知られています。この研究は、化石化した動植物および安定同位体比の調査結果と、放射性炭素年代測定法および遠く離れた火山の噴火による火山灰から割り出した年代に基づき、過去の環境の記録を組み立て、この記録をスターカー遺跡から直接得た新たな放射性炭素年代測定結果および考古学的データと相関させました。その結果、こうした高分解能の記録により、気候事象がこの遺跡での人類の活動と初めて結びつけられました。
この場所に居住していた人類は、木材や動物材料(儀礼的活動に使用していたと考えられるアカシカの枝角の頭飾りなど)を加工し、家屋と考えられる木製構造物を建設し、湖辺の湿地に木製の高床を構築していました。この研究は、11000年前頃に、それぞれわずか1世紀ほどの急激な気候事象が2回起きたことを明らかにしました。そのさい、気温がそれぞれ10℃および4℃低下したと推定され、現地の森林の成長に連鎖的に影響を及ぼしました。このような不安定な気候にもかかわらず、この地の居住者たちは、地元で入手することができた豊富な環境資源や自らの文化的適応に支えられて、彼らの生活様式を維持していました。この頃のブリテン島の人類は、急激な気候変動に耐える能力を備えていたようです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
中石器時代の英国の急激な気候変動を乗り切る
約1万1000年前の前期完新世の英国で、中石器時代の狩猟採集民がわずか数世紀の間に繰り返された急激な厳しい気候事象に適応し、生き抜いていたことを明らかにした論文が、今週掲載される。今回の知見は、後氷期最初期の欧州定住に関する理解に寄与するとともに、人類が急激な気候変動に耐える能力を備えていたことを示している。
Simon Blockleyたちは、英国ノースヨークシャー州の中石器時代のスターカー遺跡に隣接する湖の堆積物を調べた。この遺跡は、湿地の狩猟採集民の営みが極めて良好に保存されていることで知られている。著者たちは、化石化した動植物および安定同位体比の調査結果と、放射性炭素年代測定法および遠く離れた火山の噴火による火山灰から割り出した年代に基づき、過去の環境の記録を組み立てた。そして、この記録を、スターカー遺跡から直接得た新たな放射性炭素年代測定結果および考古学的データと相関させた。その結果、こうした高分解能の記録により、気候事象がこの遺跡での人類の活動と初めて結び付けられた。
この場所に居住していた人類は、木材や動物材料(儀礼的活動に使用していたと考えられるアカシカの枝角の頭飾りなど)を加工し、家屋と考えられる木製構造物を建設し、湖辺の湿地に木製の高床を構築していた。著者たちは、この年代に、それぞれわずか1世紀ほどの急激な気候事象が2回起こっていたことを明らかにした。その際は、気温がそれぞれ10℃および4℃低下したと考えられ、現地の森林の成長に連鎖的に影響を及ぼした。このような不安定な気候にもかかわらず、この地の居住者たちは、地元で入手することができた豊富な環境資源や自らの文化的適応に支えられて、彼らの生活様式を維持していた。
参考文献:
Blockley B. et al.(2018): The resilience of postglacial hunter-gatherers to abrupt climate change. Nature Ecology & Evolution, 2, 810–818.
https://dx.doi.org/10.1038/s41559-018-0508-4
この場所に居住していた人類は、木材や動物材料(儀礼的活動に使用していたと考えられるアカシカの枝角の頭飾りなど)を加工し、家屋と考えられる木製構造物を建設し、湖辺の湿地に木製の高床を構築していました。この研究は、11000年前頃に、それぞれわずか1世紀ほどの急激な気候事象が2回起きたことを明らかにしました。そのさい、気温がそれぞれ10℃および4℃低下したと推定され、現地の森林の成長に連鎖的に影響を及ぼしました。このような不安定な気候にもかかわらず、この地の居住者たちは、地元で入手することができた豊富な環境資源や自らの文化的適応に支えられて、彼らの生活様式を維持していました。この頃のブリテン島の人類は、急激な気候変動に耐える能力を備えていたようです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
中石器時代の英国の急激な気候変動を乗り切る
約1万1000年前の前期完新世の英国で、中石器時代の狩猟採集民がわずか数世紀の間に繰り返された急激な厳しい気候事象に適応し、生き抜いていたことを明らかにした論文が、今週掲載される。今回の知見は、後氷期最初期の欧州定住に関する理解に寄与するとともに、人類が急激な気候変動に耐える能力を備えていたことを示している。
Simon Blockleyたちは、英国ノースヨークシャー州の中石器時代のスターカー遺跡に隣接する湖の堆積物を調べた。この遺跡は、湿地の狩猟採集民の営みが極めて良好に保存されていることで知られている。著者たちは、化石化した動植物および安定同位体比の調査結果と、放射性炭素年代測定法および遠く離れた火山の噴火による火山灰から割り出した年代に基づき、過去の環境の記録を組み立てた。そして、この記録を、スターカー遺跡から直接得た新たな放射性炭素年代測定結果および考古学的データと相関させた。その結果、こうした高分解能の記録により、気候事象がこの遺跡での人類の活動と初めて結び付けられた。
この場所に居住していた人類は、木材や動物材料(儀礼的活動に使用していたと考えられるアカシカの枝角の頭飾りなど)を加工し、家屋と考えられる木製構造物を建設し、湖辺の湿地に木製の高床を構築していた。著者たちは、この年代に、それぞれわずか1世紀ほどの急激な気候事象が2回起こっていたことを明らかにした。その際は、気温がそれぞれ10℃および4℃低下したと考えられ、現地の森林の成長に連鎖的に影響を及ぼした。このような不安定な気候にもかかわらず、この地の居住者たちは、地元で入手することができた豊富な環境資源や自らの文化的適応に支えられて、彼らの生活様式を維持していた。
参考文献:
Blockley B. et al.(2018): The resilience of postglacial hunter-gatherers to abrupt climate change. Nature Ecology & Evolution, 2, 810–818.
https://dx.doi.org/10.1038/s41559-018-0508-4
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