繰り返されていたグレートバリアリーフの移動
過去3万年のグレートバリアリーフの移動に関する研究(Webster et al., 2018)が公表されました。海水面は過去3万年にわたり、大陸氷床の拡大・縮小とともに劇的に変化してきました。21000年前頃の最終氷期極大期には、海水面は現在よりも約120メートル低く、その分、現在よりも陸地が広がっていました。少なからぬ当時の人類の痕跡は現在では海面下にあり、発見は容易ではなさそうですが、それだけに、調査が進めば多くの知見が得られそうで、今後の研究の進展が期待されます。この研究は、現在のグレートバリアリーフの近くで採集された掘削コアを調べ、サンゴ礁群が過去の海水面変動にどのように応答したのか、評価しました。
その結果、サンゴ礁の死滅事象は過去に5回あり、そのうち2回では海水面が降下したときにサンゴ礁が露出したことが、他の3回ではサンゴが成長する速度よりも速く、海水面が上昇したことが原因と明らかになりました。最後にサンゴが死滅したのは1万年前頃で、堆積物が急激に流入したことで起き、その結果、サンゴ礁が現在の場所に定着しました。この研究はまた、サンゴ礁は、それぞれの事象の後の数百~数千年以内に、より生息に適した深さで再定着できたことを明らかにしました。このことから、サンゴ礁の長期のレジリエンスは、移動して再生息した場所の周囲のサンゴ礁との連携により支持されていたと考えられます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
複数にわたるグレートバリアリーフの移動
過去3万年の大きな海水面変動に伴って、グレートバリアリーフは海底で前進と後進を繰り返し移動していることを報告する論文が、今週掲載される。
海水面は、過去3万年にわたって、大陸氷床の拡大・縮小とともに劇的に変化してきた。約2万1000年前の最終氷期極大期には、海水面は現在よりも約120メートル低かった。
Jody Websterたちは、現在のグレートバリアリーフの近くで採集された掘削コアを調べ、サンゴ礁群が過去の海水面変動にどのように応答したかを評価した。その結果、サンゴ礁の死滅事象は過去に5回あり、うち2回は海水面が降下したときにサンゴ礁が露出したことが、3回は海水面がサンゴが成長する速度よりも速く上昇したことが原因だと判明した。最後にサンゴが死滅したのは1万年前で、堆積物が急激に流入したことで起こり、その結果、サンゴ礁が現在の場所に定着した。Websterたちはまた、サンゴ礁は、それぞれの事象の後の数百~数千年以内に、より生息に適した深さで再定着できたことを見いだした。このことから、サンゴ礁の長期のレジリエンスは、移動して再生息した場所の周囲のサンゴ礁との連携により支持されていたと考えられる。
参考文献:
Webster JM. et al.(2018): Response of the Great Barrier Reef to sea-level and environmental changes over the past 30,000 years. Nature Geoscience, 11, 6, 426–432.
https://dx.doi.org/10.1038/s41561-018-0127-3
その結果、サンゴ礁の死滅事象は過去に5回あり、そのうち2回では海水面が降下したときにサンゴ礁が露出したことが、他の3回ではサンゴが成長する速度よりも速く、海水面が上昇したことが原因と明らかになりました。最後にサンゴが死滅したのは1万年前頃で、堆積物が急激に流入したことで起き、その結果、サンゴ礁が現在の場所に定着しました。この研究はまた、サンゴ礁は、それぞれの事象の後の数百~数千年以内に、より生息に適した深さで再定着できたことを明らかにしました。このことから、サンゴ礁の長期のレジリエンスは、移動して再生息した場所の周囲のサンゴ礁との連携により支持されていたと考えられます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
複数にわたるグレートバリアリーフの移動
過去3万年の大きな海水面変動に伴って、グレートバリアリーフは海底で前進と後進を繰り返し移動していることを報告する論文が、今週掲載される。
海水面は、過去3万年にわたって、大陸氷床の拡大・縮小とともに劇的に変化してきた。約2万1000年前の最終氷期極大期には、海水面は現在よりも約120メートル低かった。
Jody Websterたちは、現在のグレートバリアリーフの近くで採集された掘削コアを調べ、サンゴ礁群が過去の海水面変動にどのように応答したかを評価した。その結果、サンゴ礁の死滅事象は過去に5回あり、うち2回は海水面が降下したときにサンゴ礁が露出したことが、3回は海水面がサンゴが成長する速度よりも速く上昇したことが原因だと判明した。最後にサンゴが死滅したのは1万年前で、堆積物が急激に流入したことで起こり、その結果、サンゴ礁が現在の場所に定着した。Websterたちはまた、サンゴ礁は、それぞれの事象の後の数百~数千年以内に、より生息に適した深さで再定着できたことを見いだした。このことから、サンゴ礁の長期のレジリエンスは、移動して再生息した場所の周囲のサンゴ礁との連携により支持されていたと考えられる。
参考文献:
Webster JM. et al.(2018): Response of the Great Barrier Reef to sea-level and environmental changes over the past 30,000 years. Nature Geoscience, 11, 6, 426–432.
https://dx.doi.org/10.1038/s41561-018-0127-3
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