日焼けと関連する遺伝的要因
日焼けと関連する遺伝的要因についての研究(Visconti et al., 2018)が公表されました。日に焼けると、皮膚が黒くなる(皮膚の色が濃くなる)のか(サンタン)、炎症を起こして赤くなるのか(サンバーン)、個人により異なります。この研究は、日光曝露に対する各人の反応が、その遺伝的構成によってどのように決まるのかという疑問を解明するため、多数の被験者における遺伝的多様性を解析しました。これらの被験者に日焼けに関して自己申告させたところ、いつもサンバーンが起こり、サンタンが起こったことはない、またはサンタンは時々しか起こらないと回答した人が46768人、いつもサンタンでサンバーンが起こったことはないと回答した人が74528人でした。
この結果については、別の55382人の追試サンプルによって再現性が確認されました。この解析により、10の座位において、これまで日焼け反応と関連づけられていなかった新たな多様性が明らかになりました。また、日焼け能力の低さと関連づけられてきた、AGR3/AHR座位における多様体の一部が皮膚癌のリスクを高める可能性のあることも明らかになりました。このの研究は、結果が日焼けと皮膚癌の自己申告(質問票による回答)に基づいているため、報告バイアスがかかりやすい可能性も想定され、今回同定された遺伝的多様体がこれらの過程で果たし得る機能的役割を確認するためには、さらなる研究の必要がある、と指摘しています。日焼けへの対応は適応度とも関わっており、それは環境により異なると予想されるだけに、人類進化史の観点からも注目される研究だと思います。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【遺伝学】日焼けに関連すると考えられる遺伝的要因
日に焼けると、皮膚が黒くなるのか(サンタン)、炎症を起こして赤くなるのか(サンバーン)は、特定のゲノム領域(「座位」)の変異によって、少なくとも部分的に決まることを報告する論文が、今週掲載される。今回行われたゲノム規模関連解析(GWAS)は、過去の研究成果を発展させ、ヨーロッパ系の人々の皮膚の日焼け反応に関連すると考えられる遺伝的座位を新たに同定した。
今回、Mario Falchiたちの研究グループは、日光曝露に対する個々人の反応が、その遺伝的構成によってどのように決まるのかという疑問の解明を進めるため、多数の被験者における遺伝的多様性の解析を行った。これらの被験者に日焼けに関して自己申告させたところ、いつもサンバーンが起こり、サンタンが起こったことはない、またはサンタンは時々しか起こらないと回答した者が4万6768人、いつもサンタンでサンバーンが起こったことはないと回答した者が7万4528人だった。この結果については、別の5万5382人の追試サンプルによって再現性を確認した。今回の解析によって、10の座位において、これまで日焼け反応と関連付けられていなかった新たな多様性が明らかになった。また、AGR3/AHR座位(日焼け能力の低さと関連付けられてきた)におけるバリアントの一部が皮膚がんのリスクを高める可能性のあることも明らかになった。
Falchiたちは、今回の研究結果が日焼けと皮膚がんの自己申告(質問票による回答)に基づいているため、報告バイアスがかかりやすい可能性があり、今回同定された遺伝的バリアントがこれらの過程で果たし得る機能的役割を確認するためには、さらなる研究を行う必要のあることを指摘している。
参考文献:
Visconti A. et al.(2018): Genome-wide association study in 176,678 Europeans reveals genetic loci for tanning response to sun exposure. Nature Communications, 9, 1684.
http://dx.doi.org/10.1038/s41467-018-04086-y
この結果については、別の55382人の追試サンプルによって再現性が確認されました。この解析により、10の座位において、これまで日焼け反応と関連づけられていなかった新たな多様性が明らかになりました。また、日焼け能力の低さと関連づけられてきた、AGR3/AHR座位における多様体の一部が皮膚癌のリスクを高める可能性のあることも明らかになりました。このの研究は、結果が日焼けと皮膚癌の自己申告(質問票による回答)に基づいているため、報告バイアスがかかりやすい可能性も想定され、今回同定された遺伝的多様体がこれらの過程で果たし得る機能的役割を確認するためには、さらなる研究の必要がある、と指摘しています。日焼けへの対応は適応度とも関わっており、それは環境により異なると予想されるだけに、人類進化史の観点からも注目される研究だと思います。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【遺伝学】日焼けに関連すると考えられる遺伝的要因
日に焼けると、皮膚が黒くなるのか(サンタン)、炎症を起こして赤くなるのか(サンバーン)は、特定のゲノム領域(「座位」)の変異によって、少なくとも部分的に決まることを報告する論文が、今週掲載される。今回行われたゲノム規模関連解析(GWAS)は、過去の研究成果を発展させ、ヨーロッパ系の人々の皮膚の日焼け反応に関連すると考えられる遺伝的座位を新たに同定した。
今回、Mario Falchiたちの研究グループは、日光曝露に対する個々人の反応が、その遺伝的構成によってどのように決まるのかという疑問の解明を進めるため、多数の被験者における遺伝的多様性の解析を行った。これらの被験者に日焼けに関して自己申告させたところ、いつもサンバーンが起こり、サンタンが起こったことはない、またはサンタンは時々しか起こらないと回答した者が4万6768人、いつもサンタンでサンバーンが起こったことはないと回答した者が7万4528人だった。この結果については、別の5万5382人の追試サンプルによって再現性を確認した。今回の解析によって、10の座位において、これまで日焼け反応と関連付けられていなかった新たな多様性が明らかになった。また、AGR3/AHR座位(日焼け能力の低さと関連付けられてきた)におけるバリアントの一部が皮膚がんのリスクを高める可能性のあることも明らかになった。
Falchiたちは、今回の研究結果が日焼けと皮膚がんの自己申告(質問票による回答)に基づいているため、報告バイアスがかかりやすい可能性があり、今回同定された遺伝的バリアントがこれらの過程で果たし得る機能的役割を確認するためには、さらなる研究を行う必要のあることを指摘している。
参考文献:
Visconti A. et al.(2018): Genome-wide association study in 176,678 Europeans reveals genetic loci for tanning response to sun exposure. Nature Communications, 9, 1684.
http://dx.doi.org/10.1038/s41467-018-04086-y
この記事へのコメント