大河ドラマ『西郷どん』第17回「西郷入水」

 井伊直弼が独裁的な体制を確立した幕府から追われる身となった西郷吉之助(隆盛)と月照は、有村俊斎(海江田信義)とともに薩摩へ向かいます。3人は幕府の追求を何とか切り抜け、薩摩の自宅へとたどり着きます。島津斉彬は死の間際、異母弟である久光の息子の茂久(忠義)を後継者とし、久光が後見人となるよう、遺言を残していました。久光は江戸から戻ってきた両親と対面し、斉彬の遺志を継いで挙兵上洛するつもりだと力強く宣言しますが、父の斉興は冷ややかです。江戸では天璋院(篤姫)と14代将軍家茂が対面し、天璋院は家茂から、信頼できない、と言われます。幾島は将軍後継者争いで敗れた責任をとり、大奥から去ります。

 吉之助はすぐにも月照の庇護を藩上層に願い出ようとしますが、斉興が帰国したので、吉之助は動かない方がよい、と大久保正助(利通)は忠告します。正助は家老の山田為久を通じて吉之助と月照の助命を願い出ようとします。斉興は幕府への恭順と新式軍備の廃止を指示します。斉興は藩財政を立て直した自分の功績を主張し、重臣陣の賛同も得て実権を再度掌握します。吉之助と月照は処刑されることになり、吉之助は諦めかけますが、なおも諦めきれない正助は、久光に2人の助命を嘆願します。しかし、久光は激昂し、2人を見捨てます。正助はなおも、山田を動かして斉興に拝謁し、吉之助を助けようと斉興を説得します。

 斉興が提示した吉之助を助ける条件は、月照を斬ることでした。正助は必死に吉之助を説得し、吉之助も月照を斬る、と正助に約束します。しかし、月照とともに沖に舟で出た吉之助は、月照を斬らず、共に入水します。今回は歴史ドラマとしての側面が強かったように思いますが、それ以上に、仲間との強い絆とそれぞれの個性が描かれた人間ドラマになっていました。やはり、こうした普遍的な物語の方が一般的な受けはよいでしょうから、長期連続娯楽ドラマとして悪くはない構成のように思います。昔からの「声の大きな」大河ドラマ愛好者の多くは本作に否定的なのかもしれませんが、私は、放送開始前の期待値が低かったこともあり、そこそこ楽しみに視聴を続けています。

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