最終氷期極大期から完新世までの温度変動

 最終氷期極大期から完新世までの温度変動に関する研究(Rehfeld et al., 2018)が公表されました。気候変動の変化は、社会が取り組む上で、平均的な気候の変化と同じくらい重要です。最終氷期極大期と完新世の温度変動の対比からは、気候の平均的な状態とその変動の関係に関する知見が得られます。しかし、氷期~間氷期の変動の変化は、グリーンランドについては定量化されていますが、全球的な描像はまだ得られていません。この研究は、海洋と陸上の温度の代理指標のネットワークを用いて、最終氷期極大期(21000年前頃)から完新世(直近11500年間)にかけて気候が3~8℃温暖化するにつれ、全球の温度変動が1/4に低下したことを示します。

 この変動の低下には明瞭な帯状のパターンがあり、熱帯域ではあまり変化しなかったのにたいして(1/1.6~1/2.8)、両半球の中緯度域では変化がより大きくなりました(1/3.3~1/14)。対照的に、グリーンランドの氷床コアの記録は、温度変動が1/73に低下したことを示しており、グリーンランドでは、局地的な温度を上回る影響があること、あるいは気温変動と全球表面の温度変動が無関係であることが示唆されます。こうした変動の低下の全体的なパターンは南北温度勾配の変化によって説明でき、この機構では、温暖化した将来において温度変動がさらに低下することが示されています。


参考文献:
Rehfeld K. et al.(2018): Global patterns of declining temperature variability from the Last Glacial Maximum to the Holocene. Nature, 554, 7692, 356–359.
https://dx.doi.org/10.1038/nature25454

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