能動的飛行をしていた始祖鳥

 始祖鳥の飛行に関する研究(Voeten et al., 2018)が公表されました。始祖鳥が羽毛の生えた翼を使って能動的飛行をしていたのか、それとも受動的滑空をしていたのか、これまでの研究で解決されていませんでした。この研究は、位相差シンクロトロン・マイクロトモグラフィーという手法を用い、化石を破壊せずに骨の内部を可視化し、始祖鳥の翼の骨の構造を分析しました。この研究は、絶滅した翼竜類から現生鳥類に至る広範囲の動物種との比較により、骨の構造から飛翔様式を高い信頼性で予測できると示し、始祖鳥が短距離飛行やバースト飛行の時に羽ばたきをする現生鳥類と類似している、と明らかにしました。始祖鳥と現生鳥類は、骨の内部構造に類似点があるものの、始祖鳥の解剖学的構造は現生鳥類の飛翔時の羽ばたきに適していないため、この研究は、始祖鳥が現生鳥類と異なる羽ばたき運動をし、異なる空中姿勢をとっていた、との見解を提示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【化石】始祖鳥は能動的飛行をしていた

 ジュラ紀後期の恐竜である始祖鳥は動力飛行できたことを示唆する論文が、今週掲載される。始祖鳥が羽毛の生えた翼を使って能動的飛行をしていたのか、それとも受動的滑空をしていたのかという疑問は、これまでの研究で解決されていない。

 今回、Dennis Voetenたちの研究グループは、位相差シンクロトロン・マイクロトモグラフィーという手法を用いて化石を破壊せずに骨の内部を可視化し、始祖鳥の翼の骨の構造を分析した。Voetenたちは、絶滅した翼竜類から現生鳥類に至る広範囲の動物種との比較により、骨の構造から飛翔様式を高い信頼性をもって予測できることを示し、始祖鳥が、短距離飛行やバースト飛行の時に羽ばたきをする現生鳥類と類似していることを明らかにした。

 始祖鳥と現生鳥類は、骨の内部構造に類似点があるが、始祖鳥の解剖学的構造は現生鳥類の飛翔時の羽ばたきに適していないため、Voetenたちは、始祖鳥が現生鳥類と異なる羽ばたき運動をし、異なる空中姿勢をとっていたと考えている。



参考文献:
Voeten DFAE. et al.(2018): Wing bone geometry reveals active flight in Archaeopteryx. Nature Communications, 9, 923.
http://dx.doi.org/10.1038/s41467-018-03296-8

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