既知のネアンデルタール人化石での新たな発見
これは3月29日分の記事として掲載しておきます。既知のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)化石の新たな分析結果を報告した研究(Gómez-Olivencia et al., 2018)が報道されました。本論文が分析したのは、1902年にフランスのドルドーニュ県(Dordogne)のラフェラシー(La Ferrassie)遺跡で発見された、54000~40000年前頃と推定されているラフェラシー1(La Ferrassie 1)です。ラフェラシー1はおそらく50歳以上のネアンデルタール人男性です。既知のネアンデルタール人遺骸ではかなりの高齢と言えるでしょう。ラフェラシー1は、ネアンデルタール人の形態と生活史の研究において重要な役割を果たしてきました。
本論文はCTスキャンを用いて、ラフェラシー1の新たな骨格部位を確認しました。それは一連の完全な右側中耳小骨(槌骨・砧骨・鐙骨)と3個の脊椎骨断片と2個の肋骨です。中耳小骨は聴力において重要な役割を果たしますが、ひじょうに小さい骨格なので、化石哺乳類では稀にしか発見されません。本論文は、現在の石膏復元ではこうした微小な骨を見逃すことになる可能性が高いので、CTスキャンによる3D画像化には研究を進展させる可能性がある、と指摘しています。
以前から指摘されていたように、本論文でも、ラフェラシー1の病変状態が改めて確認されました。それは脊柱関節炎や脊柱側弯症などです。一方、ラフェラシー1の頭蓋と長骨の骨折パターンの化石生成論的分析により、これらの骨折のほぼ全てはコラーゲンが失われた後のもので、死後の上層の堆積物重さに比例しているようです。この骨折パターンから、ラフェラシー1は意図的に埋葬されていた、とのじゅうらいの見解が改めて確認された、と指摘されています。ラフェラシー1は、成人女性1人と何人かの子供とともに埋葬されたようです。
参考文献:
Gómez-Olivencia A. et al.(2018): La Ferrassie 1: New perspectives on a “classic” Neandertal. Journal of Human Evolution, 117, 13–32.
https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2017.12.004
本論文はCTスキャンを用いて、ラフェラシー1の新たな骨格部位を確認しました。それは一連の完全な右側中耳小骨(槌骨・砧骨・鐙骨)と3個の脊椎骨断片と2個の肋骨です。中耳小骨は聴力において重要な役割を果たしますが、ひじょうに小さい骨格なので、化石哺乳類では稀にしか発見されません。本論文は、現在の石膏復元ではこうした微小な骨を見逃すことになる可能性が高いので、CTスキャンによる3D画像化には研究を進展させる可能性がある、と指摘しています。
以前から指摘されていたように、本論文でも、ラフェラシー1の病変状態が改めて確認されました。それは脊柱関節炎や脊柱側弯症などです。一方、ラフェラシー1の頭蓋と長骨の骨折パターンの化石生成論的分析により、これらの骨折のほぼ全てはコラーゲンが失われた後のもので、死後の上層の堆積物重さに比例しているようです。この骨折パターンから、ラフェラシー1は意図的に埋葬されていた、とのじゅうらいの見解が改めて確認された、と指摘されています。ラフェラシー1は、成人女性1人と何人かの子供とともに埋葬されたようです。
参考文献:
Gómez-Olivencia A. et al.(2018): La Ferrassie 1: New perspectives on a “classic” Neandertal. Journal of Human Evolution, 117, 13–32.
https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2017.12.004
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