アフリカ南部の人類の足跡
これは3月3日分の記事として掲載しておきます。アフリカ南部の人類の足跡に関する研究(Helm k et al., 2018)が公表されました。本論文が分析したのは、南アフリカ共和国西ケープ州南岸のケープ・サウス・コースト地域で発見された人類の足跡です。足跡は、当時の人類の移動様式や社会構造を解明するうえで重要な手がかりとなります。アフリカ南部は、現生人類(Homo sapiens)の起源をめぐる議論において重要な地域の一つです。この遺跡では、最大40個の人類の足跡が確認されました。その多くは、砂丘を下っていく時のものだと推測されています。
光刺激ルミネッセンス法(OSL)による年代測定の結果、これらの足跡は9万年前頃までさかのぼる可能性が高い、と推定されています。南アフリカ共和国では他には、東ケープ州のナホーン(Nahoon)遺跡で126000年前頃の、西ケープ州のランゲバーン(Langebaan)遺跡で117000年前頃の人類の足跡が発見されています。これらの足跡を残した人類としては、現生人類が最有力候補です。ただ、本論文では、他のホモ属の可能性も考えられるとして、現時点では下限年代が236000年前頃(関連記事)となるナレディ(Homo naledi)もその候補とされています。
本論文は、これらの足跡から当時の人類の歩様や速度、さらには集団の規模・構造などを解明するうえでの今後の課題として、さらなる足跡の発見と高精度の記録が必要になる、と指摘しています。これまでに発見された更新世人類の足跡はさほど多くないのですが、上述したように、当時の人類の歩様や速度、さらには集団の規模・構造の解明の重要な手がかりとなりますし、これらは人類遺骸では推測の難しいことなので、人類の足跡の研究の進展は今後も大いに注目されます。
参考文献:
Helm CW. et al.(2018): A New Pleistocene Hominin Tracksite from the Cape South Coast, South Africa. Scientific Reports, 8, 3772.
http://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-22059-5
光刺激ルミネッセンス法(OSL)による年代測定の結果、これらの足跡は9万年前頃までさかのぼる可能性が高い、と推定されています。南アフリカ共和国では他には、東ケープ州のナホーン(Nahoon)遺跡で126000年前頃の、西ケープ州のランゲバーン(Langebaan)遺跡で117000年前頃の人類の足跡が発見されています。これらの足跡を残した人類としては、現生人類が最有力候補です。ただ、本論文では、他のホモ属の可能性も考えられるとして、現時点では下限年代が236000年前頃(関連記事)となるナレディ(Homo naledi)もその候補とされています。
本論文は、これらの足跡から当時の人類の歩様や速度、さらには集団の規模・構造などを解明するうえでの今後の課題として、さらなる足跡の発見と高精度の記録が必要になる、と指摘しています。これまでに発見された更新世人類の足跡はさほど多くないのですが、上述したように、当時の人類の歩様や速度、さらには集団の規模・構造の解明の重要な手がかりとなりますし、これらは人類遺骸では推測の難しいことなので、人類の足跡の研究の進展は今後も大いに注目されます。
参考文献:
Helm CW. et al.(2018): A New Pleistocene Hominin Tracksite from the Cape South Coast, South Africa. Scientific Reports, 8, 3772.
http://dx.doi.org/10.1038/s41598-018-22059-5
この記事へのコメント