最終氷期~間氷期の移行期における全球平均海水温

 最終氷期~間氷期の移行期における全球平均海水温についての研究(Bereiter et al., 2018)が公表されました。過去の海水温を再構築する手法は多くありますが、こうした手法の大半は、特定の深さや季節の研究にしか使用できないか、複雑であまり解明されていない生物学的過程に基づいています。この研究は、氷床コア中の希ガスを用いて、最終氷期極大期から初期完新世(2万~1万年前頃)の平均海水温を高分解能で再構築しました。その結果、この期間に全球平均海水温が2.57 ± 0.24°C上昇し、南極の気温の変動と密接に相関していたことが明らかになりました。また、ヤンガードライアス期の初期(1万2000年前頃)に、海洋では現在を上回る著しい温暖化が生じていたことも明らかになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


気候科学:最終氷期–間氷期遷移期間における全球平均海水温

気候科学:過去の海水温を再構築する

 過去の海水温を再構築する手法は、たくさんある。しかし、こうした手法の大半は、特定の深さや季節の研究にしか使用できないか、複雑であまり解明されていない生物学的過程に基づいている。今回B Bereiterたちは、氷床コア中の希ガスを用いて、最終氷期極大期から初期完新世の平均海水温を高分解能で再構築している。その結果、この期間に海洋全体が約2.5°C温暖化し、南極の気温の変動と密接に相関していたことが見いだされた。北半球高緯度域の陸塊の大半が急激に寒冷化したヤンガードライアス期に、海洋では現在を上回る著しい温暖化が生じていたことも分かった。



参考文献:
Bereiter B. et al.(2018): Mean global ocean temperatures during the last glacial transition. Nature, 553, 7686, 39–44.
http://dx.doi.org/10.1038/nature25152

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック